ジーンズの原点である501は元来、生デニムを使用してきました。洗うと縮む生デニムの特性を生かして着用者の体型にフィットさせることを、リーバイスはシュリンクトゥフィットと呼んでいます。
リーバイスの1873年の最初のジーンズも生デニムが使われています。実際のところ19世紀の時点では防縮加工はまだ発明されていなかったので、未防縮の生デニムを使用する事以外に選択肢はありませんでした。
しかし、防縮加工技術はアメリカ人のサンフォード・クルエット氏によって1920年代後半には発明され、1930年にサンフォライズ(Sanforized)の名前でトレードマークとして登録されました。
サンフォライズは綿のシャツでは1930年代には幅広く普及しました。シャツの場合、首回りのサイズが縮んだり、袖の長さが縮むのは好ましくないので、サンフォライズの必要性は非常に高かったと思います。30年代のリーバイスのシャツでも使われています。しかし、リーバイスはジーンズにはサンフォライズを使用しませんでした。
40年代後半から競合会社のラングラーやリーは、ジーンズに防縮加工のデニムを使用、同時にジッパーに移行して行きました。ヴィンテージのリーのデニム製品のタグに"Saforized"の表記があることは良く知られており、ご存知の方も多いと思います。
防縮加工のデニムであれば、サイズ選びも迷う事なくできます。競合が防縮デニムを採用し、その利点を積極的にアピールしている中、リーバイスは生デニム、ボタンフライの仕様を変える事はありませんでした。
50年代の中頃にリーバイスも競合に対抗する為にジップフライの501ZXXを投入しましたが、生地は生デニムでした。もしも多くの消費者が防縮加工の利点、”縮まない事”に魅力を感じるのであれば、50年代頃、または遅くとも60年代には生デニムは淘汰されていたと思います。
ジーンズは60年代から70年代にかけて若者を中心に爆発的な勢いで消費者に普及して行きました。ジーンズの以前からのユーザー層であるカウボーイや炭坑労働者、森林作業員等のワーカー達はジーンズは縮むのが当然と受け取っていたと考えられますが、新しいユーザー層に対しても縮まないジーンズがあるにも関わらず、縮むジーンズ=501が受け入れられたのは興味深いところです。
新しい顧客層への浸透する上で縮む事が障害になる可能性はあったと思います。ユーザー層が急速に拡大している中で新規ユーザーから受け入れられないリスクは少なからずありました。しかし、実際にはリーバイスのジーンズはユーザーから支持され、市場のリーダーの地位を堅持しました。
もちろん全てのユーザーが縮む事を望んでいた訳ではないので、リーバイスも1963年に防縮加工デニムを使用したジップフライのモデル、551ZXXを市場に投入しています。リーバイスが防縮加工デニムやウォッシュ加工の501を追加するのはそれからさらに約20年後の80年代半ばになります。
生デニムの場合、縮む事を考慮したサイズ選びが求められます。サイズ選びで失敗する事もある可能性もあります。この様な不利点がありながら、現在に至るまで市場に残っているのは理由があるからです。
ユーザーのし好は流行の影響も大きいです。縮む事がカッコ良いとの受け入れられ方があった可能性もあります。しかし、これだけの長期にわたって市場に受け入れらてきたのは何か理由、魅力がなければ説明がつきません。
シュリンクトゥフィット、縮む事で快適なフィットとなることは時代を超越して支持される魅力なのだと思います。
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リーバイスの1873年の最初のジーンズも生デニムが使われています。実際のところ19世紀の時点では防縮加工はまだ発明されていなかったので、未防縮の生デニムを使用する事以外に選択肢はありませんでした。
しかし、防縮加工技術はアメリカ人のサンフォード・クルエット氏によって1920年代後半には発明され、1930年にサンフォライズ(Sanforized)の名前でトレードマークとして登録されました。
サンフォライズは綿のシャツでは1930年代には幅広く普及しました。シャツの場合、首回りのサイズが縮んだり、袖の長さが縮むのは好ましくないので、サンフォライズの必要性は非常に高かったと思います。30年代のリーバイスのシャツでも使われています。しかし、リーバイスはジーンズにはサンフォライズを使用しませんでした。
40年代後半から競合会社のラングラーやリーは、ジーンズに防縮加工のデニムを使用、同時にジッパーに移行して行きました。ヴィンテージのリーのデニム製品のタグに"Saforized"の表記があることは良く知られており、ご存知の方も多いと思います。
防縮加工のデニムであれば、サイズ選びも迷う事なくできます。競合が防縮デニムを採用し、その利点を積極的にアピールしている中、リーバイスは生デニム、ボタンフライの仕様を変える事はありませんでした。
50年代の中頃にリーバイスも競合に対抗する為にジップフライの501ZXXを投入しましたが、生地は生デニムでした。もしも多くの消費者が防縮加工の利点、”縮まない事”に魅力を感じるのであれば、50年代頃、または遅くとも60年代には生デニムは淘汰されていたと思います。
ジーンズは60年代から70年代にかけて若者を中心に爆発的な勢いで消費者に普及して行きました。ジーンズの以前からのユーザー層であるカウボーイや炭坑労働者、森林作業員等のワーカー達はジーンズは縮むのが当然と受け取っていたと考えられますが、新しいユーザー層に対しても縮まないジーンズがあるにも関わらず、縮むジーンズ=501が受け入れられたのは興味深いところです。
新しい顧客層への浸透する上で縮む事が障害になる可能性はあったと思います。ユーザー層が急速に拡大している中で新規ユーザーから受け入れられないリスクは少なからずありました。しかし、実際にはリーバイスのジーンズはユーザーから支持され、市場のリーダーの地位を堅持しました。
もちろん全てのユーザーが縮む事を望んでいた訳ではないので、リーバイスも1963年に防縮加工デニムを使用したジップフライのモデル、551ZXXを市場に投入しています。リーバイスが防縮加工デニムやウォッシュ加工の501を追加するのはそれからさらに約20年後の80年代半ばになります。
生デニムの場合、縮む事を考慮したサイズ選びが求められます。サイズ選びで失敗する事もある可能性もあります。この様な不利点がありながら、現在に至るまで市場に残っているのは理由があるからです。
ユーザーのし好は流行の影響も大きいです。縮む事がカッコ良いとの受け入れられ方があった可能性もあります。しかし、これだけの長期にわたって市場に受け入れらてきたのは何か理由、魅力がなければ説明がつきません。
シュリンクトゥフィット、縮む事で快適なフィットとなることは時代を超越して支持される魅力なのだと思います。
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