「彼女はバトンをやっていて、その後、高校のバンドでドラムの担当だった。彼女のボーイフレンドはフットボール選手の選手で、そのジャケットはフィールドの脇にいつもいたんだよ。(試合の観戦のために競技場に着て行ったんだよ。)彼らは結婚して、子供ができて、今も元気にしているよ」と言った話でした。
ヴィンテージを入手する時、この様にまれに前オーナーとそのヴィンテージについての話を聞ける事があります。なにか少し得をした様な気持ちになります。と言った様なことをツイートした後、別にこれは前オーナーだけでなく自分にも当てはまるなと思いました。それで、以下の様なツイートをしました。
ユーズドでも新品・デッドストックでも、着込んでいく・穿いていくうちに自分との思い出が色々できます。昔穿いていたジーンズやジージャンを見ると思い出が蘇ってきたりします。それもデニムの楽しさだと思います。
— AGR/私のリーバイス (@LonghornImport) October 8, 2013
今回は私が90年代前半から後半にかけてメインで穿いていたポールスミスの最初期のジーンズの思い出話を書きます。少し話が長くなりますが、良かったらおつき合い下さい。
私は長年501を穿き続けてきました。しかし、501から遠ざかっていた時期が過去に2回あります。一回目は80年代の終わり頃でその当時自分はサーフィンをしていて、サーファーのごく一部で流行ったイタリアのデザイナーブランドのジーンズを穿いていた時があります。そのジーンズは、ハイライズでテーパードがかかった特徴的なシルエットとデザインで取り扱っている店も非常に少なく、値段も高価でプレミアム感もあり好んで穿いていました。そのジーンズの同じモデルを2着穿き潰した後、気分的にも飽きてきて501に戻りました。
90年代の前半頃は、依然としてハイウエスト(ハイライズ)が脚が長く見えるシルエットとして人気がありました。501に戻ったものの、当時「501はなんでこんなに股上が浅いんだろう。もっと深くなれば良いのに...」と思っていました。(現在の基準で見ると501は股上が深い方に位置すると思いますが、当時は浅い方でした!)
(追記:80年代の後半から90年代の初頭の501(パッチのロット表記が赤字の501)は、股上が少し深くなり、バックポケットの位置が高くなっているのが特徴です。その501とこのPaul Smithのジーンズの後ろ股上を計って比べて見たところ、はほぼ同じ位でした。一方、バックヨークの角度、形状、ポケットの形状、大きさと取り付け位置は結構違いがありました。歴代の501でもそうなのですが、数字上の差がほとんどなくても着用時に体感的なシルエットの差を大きく感じる場合があります。)
そんなある日、当時のファッション紙(確かMen's EXかBeginだったと思います)でジーンズの特集がありました。細かい内容は良く覚えていないのですが、当時ヴィンテージが流行となる兆しがある様な時期に書かれた記事でした。記事には「ヴィンテージリーバイスが注目されつつある。その魅力は縦に筋になる色落ちが見られる事だ。」とあり、その後に「今回、ポールスミスがジーンズを手がけ、その第一段のジーンズが発表された。」として、そのジーンズの紹介記事がありました。
記事によると、このジーンズは穿きこんでいくとヴィンテージのリーバイスに見られる様な縦落ちをする生地を厳選して選んだ事。オーソドックスながら少しテーパードがかかったシルエット。深い股上!。ボタンフライ。と言った特徴が書かれていました。
当時私は仕事関係の方の服はポールスミスが大好きで、仕事で着るスーツやシャツ等はほぼ全てポールスミスで買っていました。お気に入りのブランドからの新ラインの初めてのジーンズ、しかも、自分が求めていた現代的にモディファイされた501のイメージがあり、「これだ!」と思い、すぐに当時の青山の骨董通りにある(あった)ポールスミスに行きました。ポールスミス青山店は2階建ての個店で一階がカジュアルウェア、二階がフォーマル・オフィスウェアのラインを置いていました。私はそれまで二階でしか買った事がなく、その時初めて一階に行きました。二階の店員さんは顔見知りの人ばかりでしたが、一階へはそれまで一度も立ち寄った事はありませんでした。)
一階のフロアにいた女性の店員さんに「今回、新しく発表されたポールスミスのジーンズを試着したいのですが、ウエスト28インチはありますか?」と聞いたところ、その女性店員は少し困った様な顔をして「申し訳ありませんが、あのジーンズはものすごく細いので、サイズが合うお客さんはほとんどいません。」と答えて、私の試着のリクエストを断ろうとしました。「自分は外見よりも実際は細いので試しに穿かせてもらえませんか?穿いてみたいんです!」と強くお願いし、店員さんはしぶしぶ「本当にもの凄く細いので合わないと思いますよ」と言いながらジーンズを手渡してくれました。
当時自分はサーフィンを結構真剣にやっていて、体脂肪率も9%位だったので、痩せてはいませんでしたが、体はそれなりに絞れている自信があったものの、店員さんにそこまで言われて、不安になりながらも、穿いてみました。確かに結構細かったのですが、何とか入りました。穿いた状態で試着室から出て、店員さんに「一応、穿けたんですけど。どうですか?」と聞いたところ、店員さんは一変した態度になっていて、「お客様、お似合いですよ!凄くきれいに穿けていると思います!!」と言われました。自分としても凄く嬉しくなって、「そうですか?良かった〜。じゃあこれお願いします(=裾詰め)」と言って無事購入する事ができました。私も嬉しくて、ついでに何着か新しく発表されたラインのトップスもついでに買ってしまいました。店員さんも上機嫌で、色々小物をプレゼントで付けてくれました。その時一緒に買ったのは、スタンドカラーのコットンの長袖シャツの紺と黒等でした。黒の方はスティーブジョブズさんのトレードマークのものと見た感じは似ています。それらは今も持っていて時折、着ています。
そうして手に入れたポーススミスのジーンズを週末はいつも穿いて海に行っていました。501以外でこれほど気に入ったジーンズは初めてでした。私の場合、ジーンズは穿き続けていると膝が破れます。破れたら新しいのを買い直します。それが私の基本的なジーンズの穿き方です。ずっと穿いているうちにこれも膝が破れてしまいました。
と言うことで前置きが非常に長くなりましたが、私のポールスミスのジーンズを紹介します。
色はかなり落ちています。元々は濃紺でした。ヒゲもそれなりに目立ちます。裾はシングルステッチ、サイドシームは脇割りです。
購入したのは確か93年だったと思います。当時はインターネットは一般に普及する前でした。YahooもGoogleもありませんでした。
今は、セルビッジや裾はチェーンステッチ等は必須のディテール・特徴として有名ですが、当時はその様な情報は一般に知られていませんでした。
私ももちろんその様な用語や特徴は知りませんでした。
結構良い感じでヒゲができています。また、生地も自然な感じで縦落ち気味に色落ちしています。
股上は今の感覚だとかなり深いです。当時はそれが流行でした。
生地の感じが掴めるかなと思い別の角度で撮ってみました。相変わらず写真撮るのが下手です。
色落ちの傾向はBig-Eに少し似ています。
それ程明確に縦に筋状に色落ちはしていませんが、私はこのくらいの方が好きです。ヴィンテージのリーバイスも66以外はそれ程明確に長い縦落ちはしません。
やはり王道の501のディテールであるボタンフライを採用しています。
私にとってはジーンズはボタンフライです。
アーキュエットが自分にとって基本ですが、それはリーバイスであることの証です。
このバックポケット部のステッチやデザインは気に入っています。
もちろんタブもついていません。右バックポケットにタブを付ける事もリーバイスの商標登録です。
パッチはレザーパッチです。このデザインも気に入っています。
”MADE IN JAPAN"と表示されています。
このポールスミスジーンズは股上が深く、今の基準で言うと時代遅れかもしれませんが、自分にとっては思い出がたくさんあって、愛着のある特別なものです。いつか膝を修理して、また穿きたいと思っています。ただし、体型が維持できない場合は穿けません。
ここまで読んで下さった方、おつき合い下さいまして、ありがとうございました。
私は長年501を穿き続けてきました。しかし、501から遠ざかっていた時期が過去に2回あります。一回目は80年代の終わり頃でその当時自分はサーフィンをしていて、サーファーのごく一部で流行ったイタリアのデザイナーブランドのジーンズを穿いていた時があります。そのジーンズは、ハイライズでテーパードがかかった特徴的なシルエットとデザインで取り扱っている店も非常に少なく、値段も高価でプレミアム感もあり好んで穿いていました。そのジーンズの同じモデルを2着穿き潰した後、気分的にも飽きてきて501に戻りました。
90年代の前半頃は、依然としてハイウエスト(ハイライズ)が脚が長く見えるシルエットとして人気がありました。501に戻ったものの、当時「501はなんでこんなに股上が浅いんだろう。もっと深くなれば良いのに...」と思っていました。(現在の基準で見ると501は股上が深い方に位置すると思いますが、当時は浅い方でした!)
(追記:80年代の後半から90年代の初頭の501(パッチのロット表記が赤字の501)は、股上が少し深くなり、バックポケットの位置が高くなっているのが特徴です。その501とこのPaul Smithのジーンズの後ろ股上を計って比べて見たところ、はほぼ同じ位でした。一方、バックヨークの角度、形状、ポケットの形状、大きさと取り付け位置は結構違いがありました。歴代の501でもそうなのですが、数字上の差がほとんどなくても着用時に体感的なシルエットの差を大きく感じる場合があります。)
そんなある日、当時のファッション紙(確かMen's EXかBeginだったと思います)でジーンズの特集がありました。細かい内容は良く覚えていないのですが、当時ヴィンテージが流行となる兆しがある様な時期に書かれた記事でした。記事には「ヴィンテージリーバイスが注目されつつある。その魅力は縦に筋になる色落ちが見られる事だ。」とあり、その後に「今回、ポールスミスがジーンズを手がけ、その第一段のジーンズが発表された。」として、そのジーンズの紹介記事がありました。
記事によると、このジーンズは穿きこんでいくとヴィンテージのリーバイスに見られる様な縦落ちをする生地を厳選して選んだ事。オーソドックスながら少しテーパードがかかったシルエット。深い股上!。ボタンフライ。と言った特徴が書かれていました。
当時私は仕事関係の方の服はポールスミスが大好きで、仕事で着るスーツやシャツ等はほぼ全てポールスミスで買っていました。お気に入りのブランドからの新ラインの初めてのジーンズ、しかも、自分が求めていた現代的にモディファイされた501のイメージがあり、「これだ!」と思い、すぐに当時の青山の骨董通りにある(あった)ポールスミスに行きました。ポールスミス青山店は2階建ての個店で一階がカジュアルウェア、二階がフォーマル・オフィスウェアのラインを置いていました。私はそれまで二階でしか買った事がなく、その時初めて一階に行きました。二階の店員さんは顔見知りの人ばかりでしたが、一階へはそれまで一度も立ち寄った事はありませんでした。)
一階のフロアにいた女性の店員さんに「今回、新しく発表されたポールスミスのジーンズを試着したいのですが、ウエスト28インチはありますか?」と聞いたところ、その女性店員は少し困った様な顔をして「申し訳ありませんが、あのジーンズはものすごく細いので、サイズが合うお客さんはほとんどいません。」と答えて、私の試着のリクエストを断ろうとしました。「自分は外見よりも実際は細いので試しに穿かせてもらえませんか?穿いてみたいんです!」と強くお願いし、店員さんはしぶしぶ「本当にもの凄く細いので合わないと思いますよ」と言いながらジーンズを手渡してくれました。
当時自分はサーフィンを結構真剣にやっていて、体脂肪率も9%位だったので、痩せてはいませんでしたが、体はそれなりに絞れている自信があったものの、店員さんにそこまで言われて、不安になりながらも、穿いてみました。確かに結構細かったのですが、何とか入りました。穿いた状態で試着室から出て、店員さんに「一応、穿けたんですけど。どうですか?」と聞いたところ、店員さんは一変した態度になっていて、「お客様、お似合いですよ!凄くきれいに穿けていると思います!!」と言われました。自分としても凄く嬉しくなって、「そうですか?良かった〜。じゃあこれお願いします(=裾詰め)」と言って無事購入する事ができました。私も嬉しくて、ついでに何着か新しく発表されたラインのトップスもついでに買ってしまいました。店員さんも上機嫌で、色々小物をプレゼントで付けてくれました。その時一緒に買ったのは、スタンドカラーのコットンの長袖シャツの紺と黒等でした。黒の方はスティーブジョブズさんのトレードマークのものと見た感じは似ています。それらは今も持っていて時折、着ています。
そうして手に入れたポーススミスのジーンズを週末はいつも穿いて海に行っていました。501以外でこれほど気に入ったジーンズは初めてでした。私の場合、ジーンズは穿き続けていると膝が破れます。破れたら新しいのを買い直します。それが私の基本的なジーンズの穿き方です。ずっと穿いているうちにこれも膝が破れてしまいました。
と言うことで前置きが非常に長くなりましたが、私のポールスミスのジーンズを紹介します。
色はかなり落ちています。元々は濃紺でした。ヒゲもそれなりに目立ちます。裾はシングルステッチ、サイドシームは脇割りです。
購入したのは確か93年だったと思います。当時はインターネットは一般に普及する前でした。YahooもGoogleもありませんでした。
今は、セルビッジや裾はチェーンステッチ等は必須のディテール・特徴として有名ですが、当時はその様な情報は一般に知られていませんでした。
私ももちろんその様な用語や特徴は知りませんでした。
結構良い感じでヒゲができています。また、生地も自然な感じで縦落ち気味に色落ちしています。
股上は今の感覚だとかなり深いです。当時はそれが流行でした。
生地の感じが掴めるかなと思い別の角度で撮ってみました。相変わらず写真撮るのが下手です。
色落ちの傾向はBig-Eに少し似ています。
それ程明確に縦に筋状に色落ちはしていませんが、私はこのくらいの方が好きです。ヴィンテージのリーバイスも66以外はそれ程明確に長い縦落ちはしません。
やはり王道の501のディテールであるボタンフライを採用しています。
私にとってはジーンズはボタンフライです。
アーキュエットが自分にとって基本ですが、それはリーバイスであることの証です。
このバックポケット部のステッチやデザインは気に入っています。
もちろんタブもついていません。右バックポケットにタブを付ける事もリーバイスの商標登録です。
パッチはレザーパッチです。このデザインも気に入っています。
”MADE IN JAPAN"と表示されています。
このポールスミスジーンズは股上が深く、今の基準で言うと時代遅れかもしれませんが、自分にとっては思い出がたくさんあって、愛着のある特別なものです。いつか膝を修理して、また穿きたいと思っています。ただし、体型が維持できない場合は穿けません。
ここまで読んで下さった方、おつき合い下さいまして、ありがとうございました。
素敵ですね。
返信削除コメントありがとうございます。その時は、別になんとも思わないようなことでも、後で思い出すと良い思い出になっていることもありますよね。
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