昨日紹介したデッドストック551ZXX/505 ダブルネームと505タイプものの比較を行います。
写真はクリックすると拡大します。
505のタイプ物は色は比較的残っていますが、着用感がそれなりにあるものです。
ロット番号表示は両方共、通称"デカ文字"と呼ばれる大きめの数字表記です。よく見ると字体が若干異なる様に見えます。
ウエストとレングスのサイズ表記の文字の大きさが異っています。
この505はタイプ物はパッチに"S"がスタンプされている通称"Sタイプ”です。
尚、60年代後半のパッチは様々な表記形式があります。ダブルネーム、タイプ物とも文字の大きさや字体等、表記方法が何種類かのバージョンがあります。
パッチの縫い付け方
ダブルネームはウエストバンド裏上部がシングルステッチです。この場合、フロント脇がVステッチになります。そして、このステッチディテールでは、左の様にウエストバンドの上部のステッチと一緒にパッチを一筆書きの様に縫い付けます。
今回比較で使用したタイプ物は、ウエストバンド裏上部がチェーンステッチの仕様です。この仕様の場合、画面右の様にパッチの取り付けは独立したステッチで取り付けられています。
ヴィンテージの505は501に比べてバックポケットが大きめで縦に長いのが特徴です。
右のタイプ物はいかにも505らしいバックもポケットの形をしています。
左のダブルネームも形的には似ていますが、縦が若干短く、横幅があります。
アーキュエットステッチのピッチ
ダブルネームやタイプ物等、最初期のビッグEのモデルのアーキュエットステッチのピッチは、501XX等の年代の古いモデルと同様の間隔がそれなりにあるピッチをしているのが特徴です。
このピッチだと穿き込むとステッチが消失してしまい易いため、品番変更後比較的すぐにアーキュエットステッチのピッチが詰まった仕様に変更になりました。(写真右)このアーキュエットステッチの仕様は66前期、後期等の後のモデルでも継続して採用されています。
尚、本505ダブルネームのアーキュエットはオレンジ色ですが、501XX-501ダブルネーム等の最初期のビッグEでは、501XXと同様にイエローです。
アーキュエットステッチは品番変更直後にオレンジ色に変更となり、それ以降、2003年の最終米国製501までオレンジ色の仕様が継続して使われました。
ジッパー
ヴィンテージ・リーバイスのジップフライでは、60年代前半以前の古い年代のモデルでは、グリッパージッパー(写真左)がメインで使用されていました。
60年代後半から70年代にかけては、TALON-42が主流となります。(例外は502。502はグリッパージッパー採用が多い)
フロントクロッチ近辺のステッチ・バータック
クロッチ付近のバータックは右の写真の様にオレンジ色の糸で斜めに入れられているのが505の特徴です。
左のダブルネームでは、黒っぽい糸でバータックが入れられています。
品番変更前後からクロッチ付近のバータックは施される様になりました。品番変更直後は、(501の)バータックの仕様が確定していなかった様で、最初期の501ビッグEでは、通称ズレカンやカンヌキ(バータック)の糸の色が紫等が使用されている場合があります。
左は501ビッグEの刻印K(恐らくダブルネーム)のクロッチ部のバータックの写真です。
バータックが紫色の糸を使用しています。バータックの位置も少しずれています。
セルビッジ
60年代後半の505でもセルビッジではなく脇割りのものがあります。これは、60年代後半から大量生産に適した広幅デニムを採用した事によるものです。501のセルビッジは、白い耳の部分に赤のラインが入っていることから、通称”赤耳”と呼ばれています。
今回、デッドストックの551ZXX-505のダブルネームの耳に通常1本の赤のラインが2本入っている事に気がつきました。
今回の比較に使用したタイプ物のセルビッジもよく見ると赤線が2本入っていました。(写真はクリックすると拡大されます。)
恐らく、501で使用する生デニムと識別できる様に、505用の防縮加工デニムでは2本にしたのではと想像しています。
ウエストからヒップ脇の外側のステッチ
アウトシーム外側のウエストバンド下からヒップにかけての糸がダブルネームでは、太めの糸が採用されています。
非常に細かいところですが、この太い糸を使っているのは501XX等古い年代の伝統的ディテールです。
ここも品番変更直後以降に仕様変更となった箇所と思われます。
ご参考までに501ビッグE 刻印K(写真右端)も太めの糸を使用していました。
全く関係ない事ですが、生地の色味、風合い、感じがそれぞれ異なるのがこの写真でもお分かり頂けるかと思います。
これもヴィンテージの大きな特徴、そして魅力です。
個人的には、このタイプ物の生地の色はかなり良いと思っています。また、ダブルネームの色はギャラ入り以前の古い年代に見られる様な黒みがかっているとても魅力的な色をしていると思います。
シルエット・生地の色味
ヴィンテージの505は501と比べ、股上が少し深めで細身のシルエットである事が特徴です。
左の写真は、ダブルネームとタイプ物を並べて撮影したものです。写真では左のダブルネームが少し太く見えますが、実際に重ねて見ると渡り幅から膝下までは、ほぼ同じ感じでした。
写真右のタイプ物は膝下から裾にかけてテーパードがかかっており、左のダブルネームはそれほどかかっていません。
ダブルネームはデッドストックで、洗濯すると防縮加工デニムとは言え、多少は縮むことが予想されます。同じ条件ではないので一概には言えませんが、全体的なシルエットとしてはほぼ同じ、もしかするとタイプ物の方がテーパードが強めにかかっている様に思われます。
左の写真は、カメラのフラッシュを使用せずに撮影したものです。生地の風合いや色落ちの度合いを見るのにはこの写真の方が適していると思います。
両方共とても魅力的な色をしています。上にも書きましたが、ダブルネームの生地は古い年代のデニムと似た黒っぽい色味をしています。
このタイプ物の生地の色は、501とは少し違ったとても味わい深い色をしています。
当初、考えていた以上に長い記事となってしまいました。最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
別の機会にこのダブルネームと黒みがかった濃紺のギャラ入りの557XXと並べて写真を撮って、色味等の比較をしてみたいと思っています。
尚、ヴィンテージではディテール等でも個体差もあります。この比較が全てではありません。予めご了承下さい。
ディテール比較
パッチ
ウエストとレングスのサイズ表記の文字の大きさが異っています。
この505はタイプ物はパッチに"S"がスタンプされている通称"Sタイプ”です。
尚、60年代後半のパッチは様々な表記形式があります。ダブルネーム、タイプ物とも文字の大きさや字体等、表記方法が何種類かのバージョンがあります。
パッチの縫い付け方
今回比較で使用したタイプ物は、ウエストバンド裏上部がチェーンステッチの仕様です。この仕様の場合、画面右の様にパッチの取り付けは独立したステッチで取り付けられています。
尚、タイプ物でVステッチ、腰裏シングルのものは、基本的に全て今回のダブルネームと同じパッチの取り付け方法を採用しています。
ボタン裏刻印
刻印は、工場または製造ラインを意味すると認知されています。
アルファベット一文字のボタン裏刻印は1962-3年頃から1967年頃までの製品に見られるディテールです。1967年以降は一桁数字に切り替ります。例外は16刻印で、50年代から70年代までの製品で存在が確認されています。
ビッグEのモデルでアルファベットの刻印のものは最初期のものであると判断してほぼ構わないと思います。
バックポケットの形状
右のタイプ物はいかにも505らしいバックもポケットの形をしています。
左のダブルネームも形的には似ていますが、縦が若干短く、横幅があります。
アーキュエットステッチのピッチ
ダブルネームやタイプ物等、最初期のビッグEのモデルのアーキュエットステッチのピッチは、501XX等の年代の古いモデルと同様の間隔がそれなりにあるピッチをしているのが特徴です。
このピッチだと穿き込むとステッチが消失してしまい易いため、品番変更後比較的すぐにアーキュエットステッチのピッチが詰まった仕様に変更になりました。(写真右)このアーキュエットステッチの仕様は66前期、後期等の後のモデルでも継続して採用されています。
尚、本505ダブルネームのアーキュエットはオレンジ色ですが、501XX-501ダブルネーム等の最初期のビッグEでは、501XXと同様にイエローです。
アーキュエットステッチは品番変更直後にオレンジ色に変更となり、それ以降、2003年の最終米国製501までオレンジ色の仕様が継続して使われました。
ジッパー
ヴィンテージ・リーバイスのジップフライでは、60年代前半以前の古い年代のモデルでは、グリッパージッパー(写真左)がメインで使用されていました。
60年代後半から70年代にかけては、TALON-42が主流となります。(例外は502。502はグリッパージッパー採用が多い)
フロントクロッチ近辺のステッチ・バータック
クロッチ付近のバータックは右の写真の様にオレンジ色の糸で斜めに入れられているのが505の特徴です。
左のダブルネームでは、黒っぽい糸でバータックが入れられています。
品番変更前後からクロッチ付近のバータックは施される様になりました。品番変更直後は、(501の)バータックの仕様が確定していなかった様で、最初期の501ビッグEでは、通称ズレカンやカンヌキ(バータック)の糸の色が紫等が使用されている場合があります。
左は501ビッグEの刻印K(恐らくダブルネーム)のクロッチ部のバータックの写真です。
バータックが紫色の糸を使用しています。バータックの位置も少しずれています。
セルビッジ
60年代後半の505でもセルビッジではなく脇割りのものがあります。これは、60年代後半から大量生産に適した広幅デニムを採用した事によるものです。501のセルビッジは、白い耳の部分に赤のラインが入っていることから、通称”赤耳”と呼ばれています。
今回、デッドストックの551ZXX-505のダブルネームの耳に通常1本の赤のラインが2本入っている事に気がつきました。
今回の比較に使用したタイプ物のセルビッジもよく見ると赤線が2本入っていました。(写真はクリックすると拡大されます。)
恐らく、501で使用する生デニムと識別できる様に、505用の防縮加工デニムでは2本にしたのではと想像しています。
ウエストからヒップ脇の外側のステッチ
アウトシーム外側のウエストバンド下からヒップにかけての糸がダブルネームでは、太めの糸が採用されています。
非常に細かいところですが、この太い糸を使っているのは501XX等古い年代の伝統的ディテールです。
ここも品番変更直後以降に仕様変更となった箇所と思われます。
ご参考までに501ビッグE 刻印K(写真右端)も太めの糸を使用していました。
全く関係ない事ですが、生地の色味、風合い、感じがそれぞれ異なるのがこの写真でもお分かり頂けるかと思います。
これもヴィンテージの大きな特徴、そして魅力です。
個人的には、このタイプ物の生地の色はかなり良いと思っています。また、ダブルネームの色はギャラ入り以前の古い年代に見られる様な黒みがかっているとても魅力的な色をしていると思います。
シルエット・生地の色味
ヴィンテージの505は501と比べ、股上が少し深めで細身のシルエットである事が特徴です。
左の写真は、ダブルネームとタイプ物を並べて撮影したものです。写真では左のダブルネームが少し太く見えますが、実際に重ねて見ると渡り幅から膝下までは、ほぼ同じ感じでした。
写真右のタイプ物は膝下から裾にかけてテーパードがかかっており、左のダブルネームはそれほどかかっていません。
ダブルネームはデッドストックで、洗濯すると防縮加工デニムとは言え、多少は縮むことが予想されます。同じ条件ではないので一概には言えませんが、全体的なシルエットとしてはほぼ同じ、もしかするとタイプ物の方がテーパードが強めにかかっている様に思われます。
左の写真は、カメラのフラッシュを使用せずに撮影したものです。生地の風合いや色落ちの度合いを見るのにはこの写真の方が適していると思います。
両方共とても魅力的な色をしています。上にも書きましたが、ダブルネームの生地は古い年代のデニムと似た黒っぽい色味をしています。
このタイプ物の生地の色は、501とは少し違ったとても味わい深い色をしています。
当初、考えていた以上に長い記事となってしまいました。最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
別の機会にこのダブルネームと黒みがかった濃紺のギャラ入りの557XXと並べて写真を撮って、色味等の比較をしてみたいと思っています。
はじめてコメントさせて頂きます。
返信削除私も551ZXX,505Eが好きなのでとても興味深く読ませて頂きました。
独特のぺったりとした色と生地は何ともいえません。
505は年代によって形やサイズがまちまちで、それがまた楽しいですね。
28インチが穿けるとはうらやましい。28ならまだデッドストックで入手出来るのではないでしょうか。
TOORIさん、
返信削除はじめまして。コメントありがとうございます!
私が現時点で551ZXX/505Eで持っているのは、この2本だけなのですが、おっしゃる生地の感じと色の魅力は分かる気がします。
穿いた感じの生地感((501に比べて)しんなりした繊細で柔らかい肌ざわり)や色味は501とは異なった何とも言えない魅力があります。
505は年代によって形(シルエット)や細部のサイズが異なるので、確かにそこも楽しみの一つですね。
元々の505のシルエットは総じて細身で股上が深いのが特徴だと認識しております。(違ったらご指摘下さい)
505のシルエットは個人的にはもの凄い好みです。
小さいサイズはヴィンテージでも程度の良いものが見つかる可能性は相対的には高いですが、デッドストックはさすがに見る事はほとんど無くなっています。
いつかデッドの551ZXXや505Eを入手して、穿き込んでみたいです。
今後ともよろしくお願い致します。