新年特別企画として、551ZXX/505ダブルネームのディテールを紹介します。
551ZXXは1963年に発表されたジップフライ、防縮加工デニム採用のジーンズです。551ZXXはジャケットの557XXと共に、リーバイスの東海岸市場に本格進出に向けた戦略的な製品でした。
1967年に行われた品番変更により、551ZXXは505となります。品番変更直後のモデルには、両方の品番がパッチに記載されている通称"ダブル・ネーム”と呼ばれるモデルがあります。今回紹介するものは、551ZXX/505のダブルネームのデッドストックです。
本品は昨年の正月に紹介に紹介したものと同じです。入手時点で、写真の様に袋に入れられていました。
管理状態も非常に良好と思われること、袋に入っているので、左の写真の未開封の状態のまま保存していました。昨年の新年のブログ記事では、未開封の状態のみ紹介していました。
今回は袋を開封して、ディテール等を含めて紹介します。
本品の色はもの凄い魅力的な濃いインディゴです。恐らく最終501XXと同じ生地がベースで防縮加工が施されていると思います。
ロット番号表記は通称デカ文字の505-0217その上に小さい字で551ZXXと表記されています。
パッチは残念ながら既に硬化しており、クラックがあります。
パッチ上部にPre-SHRUNKと印刷された紙のタブが付いています。
フラッシャーです。"PRE-SHRUNK BUY YOUR EXACT SIZE"と表示されています。
日本語にすると”予め縮んでいるので、自分のサイズちょうどを買って下さい”と言った意味です。
50年代から、LeeやWrangler等の競合メーカーは、サンフォライズ(防縮)加工を施したデニムを使用して、縮まない事を盛んに宣伝していました。
対するリーバイスは、縮むデニムによるシュリンクトゥフィットを宣伝する一方、競合に対抗するため、そして防縮加工、ジップフライのニーズが強い東海岸市場に向けて防縮加工ジップフライの551ZXXを1963年に発表しました。
このフラッシャーは551ZXXのものと思われます。”Over 14oz. Denim"(14オンス超のデニム)が高らかに謳われています。これも当時、競合他社がヘビーオンスデニムを協調していた事に対抗している事の表れだと思います。
中央”LEVI’S"の表示のしたに"AMERIC'S ORIGINAL JEANS SINCE 1950"と記載されています。リーバイ・ストラウスが会社を創業したのは1953年です。この辺の大雑把さは古き良きアメリカ的おおらかさだと思います。
その下の文言は訳すと、"独自のプロセス686により洗濯が施され予め縮ませてあるためご自分のちょうどのサイズが選べる様になっています。レッドタブとポケットのアーキュエット、リーバイスの登録商標であり、リーバイス社製品である事の証しです。"
と書かれています。
コピーライトの更新年は1966年となっています。
上の写真でも分かると思いますが、赤タブは不均等Vです。不均等Vは最終501XXでも見られるディテールです。恐らく1966年頃から不均等Vが登場し、移行期は均等Vと混在していたと思われます。
上の写真で一つの注目すべきディテールは、アーキュエットステッチの幅です。ステッチの幅は501XXからビッグEに移行する際に変更が行われました。501XXでは穿き込むと、アーキュエットステッチがほつれてしまうことが多いため、ビッグEでは、ほつれにくい様にアーキュエットステッチの幅が詰められています。このステッチ幅が詰められたディテールは66まで継承されます。本ディテールについては、別途、記事を書く予定です。
ギャランティーチケットです。"FOR OVER 100 YEARS"です。
ここで一つの注目は、中央部"This is a pair of Levi's”の下の記載です。"PROCESS 686", "PRE_SHRUNK" "RIVETED OVERALLS"と記載されています。
501の"FOR OVER 100 YEARS"の場合、"This is a pair of Levi's"の下の記載は、"THEY ARE THE ORIGINAL BLUE JEANS"になります。リーバイスの公式なアナウンスとして、「1960年からジーンズ(Jeans)の名称を使いだした」としています。501のギャランティーチケットはその通りで、1960年代初頭から上記の通りBLUE JEANSの記載があります。
面白いことに、新規市場開拓向け製品である551ZXX系のギャランティーチケットでは、ジーンズではなく、相変わらず(ウエスト)オーバーオールの言葉を使っています。
尚、ギャランティーチケットの方のコピーライトの直近の更新年は1960年になっています。
このことは、このギャランティーチケットが551ZXXで使用されたものと同じであることを示しています。
仮にフラッシャーと同じ1966年の更新されたコピーライトであった場合、恐らく品番変更後の文言が記されていると思います。
この次の世代、505 Big-Eのフラッシャーとギャランティーチケットは、昨年1月の551ZXX/505の記事をご参照下さい。
この様に細かいところで、表記内容等が変化があったり、差異があることについて、考察したりする事もヴィンテージの楽しさの一つです。
防縮加工デニムを採用している551ZXXと505は、銅褐色のフロントボタンを使用している事が特徴です。これは、生デニムの501XXや501ZXXの使用していた銀色のボタンとの識別ポイントでもあります。
フロントボタン脇はVステッチになります。
本品はオールオレンジの糸を使用しています。
フロントボタン裏の刻印はKです。刻印は60年代の初め頃からアルファベット一文字が使用されてきましたが、1967年の品番変更後、ボタン裏刻印は一桁の数字に変更されます。(例外は16刻印)
品番変更後のアルファベットの刻印のモデルは非常に限られており、ダブルネーム等の最初期のBig-Eモデルのみに見られる特徴です。
ジッパーは、GRIPPER ZIPPERです。GRIPPER ZIPPERは501ZXX等でも使用されており、リーバイスの古い年代のヴィンテージモデルで良く見られるジッパーです。
この後の年代では、TALON 42が主流となります。
裾裏はチェーンステッチ、セルビッジデニムであることが分かります。
ここで注目は、耳の赤のラインが二本入っているところです。501の場合、通常、赤のラインは一本です。
この2本の赤のラインは、防縮デニムを意味するのかもしれません。(恐らくそうだと思います。)
以上、細かいところですが、ディテールの検証や考察は、新たな発見もあったりして、色々楽しめます。
次回は、この551ZXX/505 ダブルネームと505 Big-Eのタイプ物を比較してみる予定です。
551ZXXは1963年に発表されたジップフライ、防縮加工デニム採用のジーンズです。551ZXXはジャケットの557XXと共に、リーバイスの東海岸市場に本格進出に向けた戦略的な製品でした。
1967年に行われた品番変更により、551ZXXは505となります。品番変更直後のモデルには、両方の品番がパッチに記載されている通称"ダブル・ネーム”と呼ばれるモデルがあります。今回紹介するものは、551ZXX/505のダブルネームのデッドストックです。
本品は昨年の正月に紹介に紹介したものと同じです。入手時点で、写真の様に袋に入れられていました。
管理状態も非常に良好と思われること、袋に入っているので、左の写真の未開封の状態のまま保存していました。昨年の新年のブログ記事では、未開封の状態のみ紹介していました。
今回は袋を開封して、ディテール等を含めて紹介します。
本品の色はもの凄い魅力的な濃いインディゴです。恐らく最終501XXと同じ生地がベースで防縮加工が施されていると思います。
ロット番号表記は通称デカ文字の505-0217その上に小さい字で551ZXXと表記されています。
パッチは残念ながら既に硬化しており、クラックがあります。
パッチ上部にPre-SHRUNKと印刷された紙のタブが付いています。
フラッシャーです。"PRE-SHRUNK BUY YOUR EXACT SIZE"と表示されています。
日本語にすると”予め縮んでいるので、自分のサイズちょうどを買って下さい”と言った意味です。
50年代から、LeeやWrangler等の競合メーカーは、サンフォライズ(防縮)加工を施したデニムを使用して、縮まない事を盛んに宣伝していました。
対するリーバイスは、縮むデニムによるシュリンクトゥフィットを宣伝する一方、競合に対抗するため、そして防縮加工、ジップフライのニーズが強い東海岸市場に向けて防縮加工ジップフライの551ZXXを1963年に発表しました。
このフラッシャーは551ZXXのものと思われます。”Over 14oz. Denim"(14オンス超のデニム)が高らかに謳われています。これも当時、競合他社がヘビーオンスデニムを協調していた事に対抗している事の表れだと思います。
中央”LEVI’S"の表示のしたに"AMERIC'S ORIGINAL JEANS SINCE 1950"と記載されています。リーバイ・ストラウスが会社を創業したのは1953年です。この辺の大雑把さは古き良きアメリカ的おおらかさだと思います。
その下の文言は訳すと、"独自のプロセス686により洗濯が施され予め縮ませてあるためご自分のちょうどのサイズが選べる様になっています。レッドタブとポケットのアーキュエット、リーバイスの登録商標であり、リーバイス社製品である事の証しです。"
と書かれています。
コピーライトの更新年は1966年となっています。
上の写真でも分かると思いますが、赤タブは不均等Vです。不均等Vは最終501XXでも見られるディテールです。恐らく1966年頃から不均等Vが登場し、移行期は均等Vと混在していたと思われます。
上の写真で一つの注目すべきディテールは、アーキュエットステッチの幅です。ステッチの幅は501XXからビッグEに移行する際に変更が行われました。501XXでは穿き込むと、アーキュエットステッチがほつれてしまうことが多いため、ビッグEでは、ほつれにくい様にアーキュエットステッチの幅が詰められています。このステッチ幅が詰められたディテールは66まで継承されます。本ディテールについては、別途、記事を書く予定です。
ギャランティーチケットです。"FOR OVER 100 YEARS"です。
ここで一つの注目は、中央部"This is a pair of Levi's”の下の記載です。"PROCESS 686", "PRE_SHRUNK" "RIVETED OVERALLS"と記載されています。
501の"FOR OVER 100 YEARS"の場合、"This is a pair of Levi's"の下の記載は、"THEY ARE THE ORIGINAL BLUE JEANS"になります。リーバイスの公式なアナウンスとして、「1960年からジーンズ(Jeans)の名称を使いだした」としています。501のギャランティーチケットはその通りで、1960年代初頭から上記の通りBLUE JEANSの記載があります。
面白いことに、新規市場開拓向け製品である551ZXX系のギャランティーチケットでは、ジーンズではなく、相変わらず(ウエスト)オーバーオールの言葉を使っています。
尚、ギャランティーチケットの方のコピーライトの直近の更新年は1960年になっています。
このことは、このギャランティーチケットが551ZXXで使用されたものと同じであることを示しています。
仮にフラッシャーと同じ1966年の更新されたコピーライトであった場合、恐らく品番変更後の文言が記されていると思います。
この次の世代、505 Big-Eのフラッシャーとギャランティーチケットは、昨年1月の551ZXX/505の記事をご参照下さい。
この様に細かいところで、表記内容等が変化があったり、差異があることについて、考察したりする事もヴィンテージの楽しさの一つです。
防縮加工デニムを採用している551ZXXと505は、銅褐色のフロントボタンを使用している事が特徴です。これは、生デニムの501XXや501ZXXの使用していた銀色のボタンとの識別ポイントでもあります。
フロントボタン脇はVステッチになります。
本品はオールオレンジの糸を使用しています。
フロントボタン裏の刻印はKです。刻印は60年代の初め頃からアルファベット一文字が使用されてきましたが、1967年の品番変更後、ボタン裏刻印は一桁の数字に変更されます。(例外は16刻印)
品番変更後のアルファベットの刻印のモデルは非常に限られており、ダブルネーム等の最初期のBig-Eモデルのみに見られる特徴です。
ジッパーは、GRIPPER ZIPPERです。GRIPPER ZIPPERは501ZXX等でも使用されており、リーバイスの古い年代のヴィンテージモデルで良く見られるジッパーです。
この後の年代では、TALON 42が主流となります。
裾裏はチェーンステッチ、セルビッジデニムであることが分かります。
ここで注目は、耳の赤のラインが二本入っているところです。501の場合、通常、赤のラインは一本です。
この2本の赤のラインは、防縮デニムを意味するのかもしれません。(恐らくそうだと思います。)
以上、細かいところですが、ディテールの検証や考察は、新たな発見もあったりして、色々楽しめます。
次回は、この551ZXX/505 ダブルネームと505 Big-Eのタイプ物を比較してみる予定です。
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