ブルース・スプリングスティーンが1984年にリリースしたBorn in the USAは、彼の代表作の一つです。米国内で1500万枚、全世界で3000万枚販売された史上もっとも売れたアルバムの一つです。
このアルバムの表紙の写真もタイトルを十二分にイメージさせてくれます。アルバムの曲だけでなく、この表紙の写真もとても印象的で心に残るものです。今回は、Born in the USAのブルース・スプリングスティーンのファッションについて、考察します。
星条旗をイメージさせる赤白のストライプの背景に、ジーンズに白いTシャツの後ろ姿のアップです。
ジーンズは、リーバイスであることを示す代表的なディテールであるバックポケットのアーキュエットステッチと赤タブが付いています。
この当時はまだユーズド加工は存在しません。スプリングスティーンが穿き込んだ愛用のジーンズだと思います。
さて、このリーバイスのジーンズは何か?
アルバムのリリース時期を考えると80年代初め頃以前の製品であることは分かります。
バックポケットの上端両側の補強も裏側からのバータックによる仕様です。アーキュエットのステッチの色とピッチなどからBig-Eの後期以降であると推定します。
生地の色落ち具合から見ると、66前期というより後期以降だと思います。または、逆にビッグEの可能性も少しあります。
バックポケットの形を見ると、501よりも505の様に見えます。下はアルバムの中の全身前からの写真です。左右逆に写っていますが、505っぽいバータックが入っているようにも見えます。また、同じジーンズではない可能性もあります。(笑)
デニムのウエスタンシャツ、首にバンダナ、ベルトは大きいバックル、伝統的なウエスタンの組み合わせです。
こちらはアルバム内の別の写真です。ベルトが表紙と同じように見えます。シルエットがかなり細くタイトです。この写真を見ると股上が深くないことから505よりも501っぽく見えます。
かなりタイトに穿いています。80年代以前はジーンズはタイトに穿くのが主流でした。靴はエンジニアブーツっぽいです。
この写真では、3ピースのバックルセットにスタッズ付きのベルトをしています。2番目の写真の大きなバックルや3番目の写真の3ピースのバックルセットは、ウエスタンの伝統的なスタイルの一つです。
下は1952年発行のカウボーイカタログのバックルとベルトのページです。左上の大きな四角のバックルは実寸であると記載があります。計ってみたところ一番大きいものは横が約9.5cmありました。
この大きなバックルはニッケルシルバーで4隅と中央のデザインの部分はゴールドのブロンズ、全て手彫りと書かれています。
右のページの3/4ピースのバックルセットはスターリングシルバーです。どれも手彫りで非常に凝ったデザインの彫刻が施されています。
カウボーイカタログで登場するこれらの大きなバックルや3/4ピースのバックルセットが、伝統的なウエスタンスタイルのパーツであることが分かります。
スプリングスティーンが、大きなバックルと3ピースのバックルセットを付けたベルトの両方をした写真があるところがとても印象的です。
スプリングスティーンはNew Jerseyの出身です。東海岸の若者が伝統的なウエスタンスタイルのファッションをしているということは、ウエスタンのスタイルが全米に広く普及していたことを間接的に示していると思います。
そして、スプリングスティーン自身、そして彼のファッションがアメリカ文化を代表しているとも言えるかと思います。
関連ブログ記事:
[##check## Born In the USAのジーンズは501で決着!?]
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星条旗をイメージさせる赤白のストライプの背景に、ジーンズに白いTシャツの後ろ姿のアップです。
ジーンズは、リーバイスであることを示す代表的なディテールであるバックポケットのアーキュエットステッチと赤タブが付いています。
この当時はまだユーズド加工は存在しません。スプリングスティーンが穿き込んだ愛用のジーンズだと思います。
さて、このリーバイスのジーンズは何か?
アルバムのリリース時期を考えると80年代初め頃以前の製品であることは分かります。
バックポケットの上端両側の補強も裏側からのバータックによる仕様です。アーキュエットのステッチの色とピッチなどからBig-Eの後期以降であると推定します。
生地の色落ち具合から見ると、66前期というより後期以降だと思います。または、逆にビッグEの可能性も少しあります。
バックポケットの形を見ると、501よりも505の様に見えます。下はアルバムの中の全身前からの写真です。左右逆に写っていますが、505っぽいバータックが入っているようにも見えます。また、同じジーンズではない可能性もあります。(笑)
デニムのウエスタンシャツ、首にバンダナ、ベルトは大きいバックル、伝統的なウエスタンの組み合わせです。
こちらはアルバム内の別の写真です。ベルトが表紙と同じように見えます。シルエットがかなり細くタイトです。この写真を見ると股上が深くないことから505よりも501っぽく見えます。
かなりタイトに穿いています。80年代以前はジーンズはタイトに穿くのが主流でした。靴はエンジニアブーツっぽいです。
この写真では、3ピースのバックルセットにスタッズ付きのベルトをしています。2番目の写真の大きなバックルや3番目の写真の3ピースのバックルセットは、ウエスタンの伝統的なスタイルの一つです。
下は1952年発行のカウボーイカタログのバックルとベルトのページです。左上の大きな四角のバックルは実寸であると記載があります。計ってみたところ一番大きいものは横が約9.5cmありました。
この大きなバックルはニッケルシルバーで4隅と中央のデザインの部分はゴールドのブロンズ、全て手彫りと書かれています。
右のページの3/4ピースのバックルセットはスターリングシルバーです。どれも手彫りで非常に凝ったデザインの彫刻が施されています。
カウボーイカタログで登場するこれらの大きなバックルや3/4ピースのバックルセットが、伝統的なウエスタンスタイルのパーツであることが分かります。
スプリングスティーンが、大きなバックルと3ピースのバックルセットを付けたベルトの両方をした写真があるところがとても印象的です。
スプリングスティーンはNew Jerseyの出身です。東海岸の若者が伝統的なウエスタンスタイルのファッションをしているということは、ウエスタンのスタイルが全米に広く普及していたことを間接的に示していると思います。
そして、スプリングスティーン自身、そして彼のファッションがアメリカ文化を代表しているとも言えるかと思います。
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スプリングスティーンは「闇に吠える街」ツアーではリーバイス505をはいています。悲しいくらい?501と特定できる写真は見つけられません。
返信削除たぶん、形状から「ボーン・イン・ザ・USA」のジャケットのフォトセッションでは505、ボーン・イン・ザ・USA・ツアーから501をはいたのではないでしょうか?
当時、アメリカに住んでいた知人によると田舎には501しか売ってなくて、東部ではリーバイス501へのこだわりはあまりなかったようです。(ビリー・ジョエルもリーバイスをはいてません)
リーバイスの本社は西海岸のサンフランシスコだったせいか、1950-60 年代は合衆国東部においては進出が遅れていて、東部のデパードのバーゲン・セールの棚にリーバイスは悲しく置かれていたようです。東部の人々は501の前ボタンを嫌がるだけでなく、洗濯する度に縮む性質そのものを嫌がったそうです。リーバイス社はそんな東部販売向けにリーバイス505を製造し、より都会的なデザインで東部の支持を獲得したというようなことがリーバイスの本に書いてあります。
日本ではスプリングスティーン=501というイメージがありますが、実は東部のスプリングスティーンが501ではなく、505をはいていても不思議はありません。
コメントありがとうございます。貴重なお話、大変興味深く拝読しました。
返信削除私も写真で見る限り505ではないかなと思っておりました。
おっしゃる通りリーバイスは、サンフランシスコが発祥の地であり、戦前までは西部がメインで東部での知名度は皆無に近い状態だったと推測しています。
リーバイスが東部に本格的に進出したのは、1950年代に入ってからのことのようです。
おっしゃる通り東部の人は、ボタンフライに不慣れなで501は不評で、リーバイスはジップフライの501ZXXを東部市場向けに開発、1954年から販売を開始しました。
60年代の初め(1963年頃)に防縮加工デニムを使用したジッパーフライの551ZXXが投入されます。551ZXXの品番が変わったものが505です。
501は良くも悪くも昔ながらのジーンズです。505の方が都会的で洗練されたイメージがあったと思います。
どちらを選ぶかはその人の好みによると思います。
スプリングスティーンは、505がお気に入りのジーンズだったとしても、全く不思議ではないと思います。実際、Born In the USAのジャケットの写真は、ポケットの形状から505に見えます。
と言うことで、私もスプリングスティーンは505がお気に入りで、穿いていたと思っております。
貴重なコメントありがとうございました。
p.s. 個人的にはスプリングスティーン=アメリカ(文化を象徴する若者・人物)=リーバイス(アメリカ文化を代表する衣料品であるジーンズのメーカー)というイメージを私は持っています。
自分にとっては、スプリングスティーンが穿くジーンズのイメージは、リーバイスでLeeやラングラーではないです。
やはりリーバイスがしっくりきます。505であることについては、全く違和感はありません。
早々と返信いただきありがとうございます。
返信削除スプリングスティーンのお陰で1985-6年頃の501の売り上げは飛躍的に伸びたと当時のニュースで読みましたが、リーバイス社の度重なるCM依頼をスプリングスティーンは断り続けたと彼の伝記に書いてありました。
面白いのはお膝元のサンフランシスコのヒューイルイスがNYのビリージョエルと同じでエドウィンだったことですかね。
当時大学生だった私はエンジニアブーツに袖なしジージャンでバンダナにリーバイス501というスプリングスティーンの(アメリカ屋さん的な)ファッションで授業にでることは…だったので、カナダのブライアン・アダムスの格好=ドクターマーチン、コンバース、スタンスミスと白いコットンシャツ、ヘインズ(シャツ入れ)かジージャンをチョイスしていました。守屋商店さんで友人とよく買いにいきました。
80年代に流行ったロックミュージシャンの70年代の売れる前のファッションはだいたい長髪でカッコ悪い写真が多いので、マネージャーのイメージ戦略(彼女のセンスかも?)でリーバイスをシンプルに着こなすようになったと推測しています(笑)
たぶん70年代のディスコ、ヒッピーのファッションに対抗するために50年代のファッションを持ってきたのではないでしょうか?
コメントありがとうございます。返事が大変遅くなり、本当にすみません。
返信削除「スプリングスティーンのお陰で1985-6年頃の501の売り上げは飛躍的に伸びたと当時のニュース」は、日本でのことでしょうか?それとも、アメリカのことでしょうか?
日本では映画などで登場する人物のファッションに注目する人がかなり多いことを、ブログやツイッターを始めて知りました。スプリングスティーンの影響で、501の売上が飛躍的に伸びたのが、日本でのことであれば、とても納得できます。
売上増にスプリングスティーンがどの程度、貢献したのかは私の立場では知る由もありませんが、個人的には、アメリカでの501やリーバイスジーンズは、流行の影響はあまりないのではと思っています。
スプリングスティーンの伝記に書いてあったとのことなので、アメリカのことのようですが。。。。
ビジネス的なコンディションなどで折り合わなかったのかなと思います。
スプリングスティーンのBorn in the USAを発表後のエピソードとしては、彼のアルバムや歌の題名を聞いて、共和党の保守派が彼を、当時の大統領候補だったレーガン氏の宣伝に使おうと考えた話が面白いと思いました。スプリングスティーンは、民主党支持で正反対の立場にもかかわらず、レーガン氏が選挙演説のスピーチの中でスプリングスティーンを話題に出した話などを知って、大変興味深く思ったりしました。
上の話は、伝記などにも書かれているのでしょうか?多分、スプリングスティーンは、何も気にしていなかったと思うので、書いたなかったとしても全く不思議ではありませんが。。。少し、興味を持ちました。
いずれにせよ、80年代、リーバイスのビジネス・売上は順調に伸びたのは事実ですよね。
ヒューイルイスのエドウィンの話、初めて聞きました!
1985-1986年、リーバイスは、ヒューイルイス・アンド・ニュースのコンサートのスポンサーをしています。ヒューイルイスが登場するリーバイスのポスターもあります。(コンサートのスポンサーなので、当然とも言えますが。。。)
80年代、ヒューイルイス&ニュースのアルバムをよく聞いた思い出が蘇ってきました。彼がどこのジーンズを穿いているかは、全く情報を持っておりません。
思い出話をお書きくださり、ありがとうございます。大変興味深く拝読しました。ミュージシャンのファッションの影響と言うのは大きいのですね。
ブライアン・アダムスのファッションは、確かにおっしゃるようにイメージ戦略的なことが背景にあったという考察は、とても的を得ていると思います。
考えてみると、ブライアンアダムスは小綺麗な格好をしている印象がありますね。といっても、私はアルバムのジャケットの印象からの話です。
実は、私はブログを始めるまでは、映画俳優やミュージシャンのファッションなどについて、興味や知識は全くありませんでした。
そんな私が、後になって、このような記事を書いたり、マックイーンのファッション(と言っても、非常に限定的な話ですが)について書いたりしているのは、自分でも面白いなと思っております。
返信が遅れた上に、的外れなことを書いてしまい、申し訳ございません。