1950年代や60年代の古いレッドウイングのアイリッシュセッターには、色がアンバーの様に見えるものがあります。
下はレッドウイング・ベルリンが投稿したTumblrのリブログです。
一番最初のアイリッシュセッター、854が誕生したのは1950年です。
レッドウイング社の説明には、1950年にレッドウイングはスタイル番号854のブーツをアイリッシュセッターを連想して開発された特徴的な赤のオロ-ラセットレザーを用いて作られたとあります。
アイリッシュセッター・ブーツのロゴが開発されたのは854登場から3年後ですが、当初からアイリッシュセッターをイメージした色の革が作られ、それを使用していた可能性が高いです。
カリフォルニアの巨木レッドウッドの樹液を使用してタンニングした特徴的な赤のオロ-ラセットレザーを使用しているのが特徴とレッドウイングのサイトやカタログに書かれています。
猟犬のアイリッシュセッターの写真です。(Wikipediaからの引用)
確かにアイリッシュセッターをイメージさせる色から名前が付けられたことが納得できます。さらにちょっと面白いことに2枚目の写真の毛の色が少しアンバーっぽくも見えます。
こちらは、1950年代、最初期アイリッシュセッター854のデッドストックです。
私の手元にあるユーズドの1950年代、1960年代のレッドウイング・アイリッシュセッターにもアンバーっぽい色をしているものがあります。
1950年代のアイリッシュセッター 854 デッドストックとユーズドを並べてみました。
左のアイリッシュセッターの元々の色が右と似た色だったとは思えない程、異なった色をしています。
なぜ、これだけ色が違うのかについて考えてみました。当初、頭に浮かんだのは以下の様な可能性でした。
1. アイリッシュセッターには、異なる色(アンバー色)の革が用意されていた。
2. 当時のタンニングでは、色味の個体差がかなりあり、アンバーに近い色の革もあった。
3. 経年変化によって、色がアンバーぽい色味になった。
1.については、カタログ等を見ても、アイリッシュセッターにいくつかの色が用意されていた様には書かれていません。
さらに、アイリッシュセッターと言うラインであることは、レッド・オロ-ラセットの革を使用していることが一大特徴であるはずです。となると元々の色はやはりレッド・オロ-ラセットの赤みを帯びた茶色であると思います。
可能性として、2と3のどちらかか、両方なのではないかと考えました。
ここで、上の写真左の854の屋外の写真を紹介します。
ヴィンテージのレッドウイングは、屋外でも日が当たっているか日が陰っているかでも色味が変わります。上は日が陰っている時、下は日が射した時の写真です。
上はアンバーっぽい色をしていますが、下の写真はそれ程でもありません。また、上部の後ろに近いところの色は茶色です。
この写真を見ているうちにある考えが頭に浮かびました。
下の写真を見ると部分的に黒っぽい色をしている箇所があります。長い期間オイルを使用して手入れをされていたと思われるブーツでは、色が黒っぽくなっているものがあります。
オイルを塗られて長い期間経過したことによる黒っぽい色と茶色がまざって、日の当たり方によってアンバーに見えると言うのが私の仮説です。
下は最初の方で紹介したもう一足のアンバーに近い色をしている1960年代のアイリッシュセッターの丸洗い乾燥直後、紐を外した状態の写真です。
このアイリッシュセッターは、トング(舌革)にはオイルやコンディショナーを塗っていなかった様で油分がなく、からからに乾いてパリパリの状態でした。さらに注目はトングの色です。
オイルを塗っていなかったので、明るい茶色になったと思われます。さらには、元の色自体はやはりアンバーではなく普通の茶色のレッド・オロ-ラセットだったことが色からも推測できます。
以上、まとめると、現段階では以下の様に考察します。
「古い年代のアイリッシュセッターでアンバーの様な色に見えるものは、元は通常のレッドのオロ-ラセットの革の色だった。しかし、手入れにオイルを使用したことによる色味の変化、さらに経年変化が加わわることで、アンバーに近い色味に変化して行った。」
と考えています。
注).長期間ミンクオイルを手入れに使用していたと思われる70年代以降のレッドウイング・アイリッシュセッターは、色が赤黒っぽくなりますが、アンバーと言う感じではありません。個人的な意見ですが、あまり良い感じの色の変化ではないです。
関連記事: ヴィンテージ レッドウイングの大きな魅力: 革の色味
下はレッドウイング・ベルリンが投稿したTumblrのリブログです。
レッドウイング・ベルリンの投稿です。1950年代のアイリッシュセッター875。古い年代の875は非常に珍しいです。The real Irish Setter colour! 本物のアイリッシュセッターの色です!のコメントが面白いです。 http://t.co/MP05uc8HdQ
— AGR@ロングホーンインポート (@LonghornImport) October 18, 2014
レッドウイング社の説明には、1950年にレッドウイングはスタイル番号854のブーツをアイリッシュセッターを連想して開発された特徴的な赤のオロ-ラセットレザーを用いて作られたとあります。
アイリッシュセッター・ブーツのロゴが開発されたのは854登場から3年後ですが、当初からアイリッシュセッターをイメージした色の革が作られ、それを使用していた可能性が高いです。
カリフォルニアの巨木レッドウッドの樹液を使用してタンニングした特徴的な赤のオロ-ラセットレザーを使用しているのが特徴とレッドウイングのサイトやカタログに書かれています。
猟犬のアイリッシュセッターの写真です。(Wikipediaからの引用)
確かにアイリッシュセッターをイメージさせる色から名前が付けられたことが納得できます。さらにちょっと面白いことに2枚目の写真の毛の色が少しアンバーっぽくも見えます。
こちらは、1950年代、最初期アイリッシュセッター854のデッドストックです。
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1950年代 アイリッシュセッター 854 |
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1960年代 アイリッシュセッター |
なぜ、これだけ色が違うのかについて考えてみました。当初、頭に浮かんだのは以下の様な可能性でした。
1. アイリッシュセッターには、異なる色(アンバー色)の革が用意されていた。
2. 当時のタンニングでは、色味の個体差がかなりあり、アンバーに近い色の革もあった。
3. 経年変化によって、色がアンバーぽい色味になった。
1.については、カタログ等を見ても、アイリッシュセッターにいくつかの色が用意されていた様には書かれていません。
さらに、アイリッシュセッターと言うラインであることは、レッド・オロ-ラセットの革を使用していることが一大特徴であるはずです。となると元々の色はやはりレッド・オロ-ラセットの赤みを帯びた茶色であると思います。
可能性として、2と3のどちらかか、両方なのではないかと考えました。
ここで、上の写真左の854の屋外の写真を紹介します。
ヴィンテージのレッドウイングは、屋外でも日が当たっているか日が陰っているかでも色味が変わります。上は日が陰っている時、下は日が射した時の写真です。
上はアンバーっぽい色をしていますが、下の写真はそれ程でもありません。また、上部の後ろに近いところの色は茶色です。
この写真を見ているうちにある考えが頭に浮かびました。
下の写真を見ると部分的に黒っぽい色をしている箇所があります。長い期間オイルを使用して手入れをされていたと思われるブーツでは、色が黒っぽくなっているものがあります。
オイルを塗られて長い期間経過したことによる黒っぽい色と茶色がまざって、日の当たり方によってアンバーに見えると言うのが私の仮説です。
下は最初の方で紹介したもう一足のアンバーに近い色をしている1960年代のアイリッシュセッターの丸洗い乾燥直後、紐を外した状態の写真です。
このアイリッシュセッターは、トング(舌革)にはオイルやコンディショナーを塗っていなかった様で油分がなく、からからに乾いてパリパリの状態でした。さらに注目はトングの色です。
オイルを塗っていなかったので、明るい茶色になったと思われます。さらには、元の色自体はやはりアンバーではなく普通の茶色のレッド・オロ-ラセットだったことが色からも推測できます。
以上、まとめると、現段階では以下の様に考察します。
「古い年代のアイリッシュセッターでアンバーの様な色に見えるものは、元は通常のレッドのオロ-ラセットの革の色だった。しかし、手入れにオイルを使用したことによる色味の変化、さらに経年変化が加わわることで、アンバーに近い色味に変化して行った。」
と考えています。
注).長期間ミンクオイルを手入れに使用していたと思われる70年代以降のレッドウイング・アイリッシュセッターは、色が赤黒っぽくなりますが、アンバーと言う感じではありません。個人的な意見ですが、あまり良い感じの色の変化ではないです。
関連記事: ヴィンテージ レッドウイングの大きな魅力: 革の色味
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