ロングホーンインポートのFacebookに、以下のメッセージを頂きました。大変興味深い内容だったので、御承諾を頂き、本ブログで紹介いたします。
また、頂いたメッセージに対する私の考え、返信を加えて投稿いたします。
初めてまして。いつもブログをじっくり拝見させていただいております。ご相談といいますか、ご意見もお手すきの際に頂戴できれば幸いです。
私もリーバイスは大好きでして、わずかながら、50年代から赤耳まで、10年代おきに、1本〜2本程度保有しております。また日本産のジーンズも好んで穿きます。
そのような中で、どうしてもセルビッジ至上主義といいますか、それに固執してしまうといいますか、ある種のジーンズはこうあるべきというような概念から離れにくいところがあります。
もう少し、フラットに、現代の良いジーンズを探して穿きたいなと思いつつも、なかなか見当たらず。
原点にして頂点であるリーバイス社に、新しい価値観を醸成、発信して欲しいと願うものの、そうもいかないようです。
いきつくところ、個々の価値観でしかなく、自由にジーンズを選択すれば良いだけの話ですが、ロングホーンインポート様が、やはりこれは現代のベスト、と思われる1本というのはございますでしょうか?
最後のご質問、『現行・現代のベストのリーバイスは?』が本題だと思いますが、ベストと言うのは、選択する上での基準が伴うものです。
そして、その基準は価値観とも関わりが、大なり小なりあります。(一般的には大きいです。)
ジーンズに対する考え方、価値観は、本当に人によって異なると思います。
その一方で、やはりある程度の考え方、嗜好の傾向もあると思います。
その傾向は、個人差もありますが、時代、そして世代とも関連性が比較的強くあると思います。
ご質問された方は、50年代、60年代、70年代、80年代の各年代のヴィンテージリーバイスをお持ちで、レプリカブランド(日本産とおっしゃっているので)のジーンズも好んで穿いていらっしゃるとのことです。
お持ちになっているジーンズは、基本的に全てセルビッジ付きのジーンズになると思います。
これまで穿いてきた、そして今も持っている全てのジーンズが、セルビッジ付きであれば、その人にとっての”ジーンズ”と言うのは、セルビッジ付きであることが条件、当たり前になると思います。
『どうしてもセルビッジ至上主義といいますか、それに固執してしまうといいますか、ある種のジーンズはこうあるべきというような概念から離れにくいところがあります。』というお話は至極妥当だと思います。
しかし、この方は自分の固定観念に捉われず、現代の良いジーンズを探して穿きたいと言うお考えを持っていらっしゃることが、頂いたメッセージのご質問の背景にあると理解しております。
【固定観念】とは?
心の中にこり固まっていて,他人の意見や周りの状況によって変化せず,行動を規定するような観念。固着観念。
固定観念と言う言葉を使用しましたが、観念は物事に対して持つ考えのことです。
ジーンズに対するその人の価値観、その人にとってのジーンズ観と呼ぶ方が適切かもしれません。
いずれにせよ、己の殻に閉じ篭らずに、視野を広げて、より良い、最良と思われる新しいジーンズを見つけて、試してみたいということだと解釈しております。
素晴らしいことです。
おっしゃる通り、人はそれぞれ異なる価値観を持っているので、ジーンズの選択もその人の自由、いろいろな選択肢があると思います。
以下は、私の見解です。順を追って、考えをまとめながら、現代のベストのリーバイスジーンズは何かについて書きたいと思います。
ジーンズに何を求めるのか?
ジーンズに求めるもの、ジーンズを穿く目的は何かと言うことを改めて考えてみるのも一案と思います。
そして、求めるものによって、どのジーンズが良いかの選択も変わってきます。
用途も仕事着として穿く。ファッションで穿く。両方を兼ねている。色々あると思います。
ジーンズは自分を表すもの、ユニフォームだと考える人もいます。
関連記事:
ジーンズが似合う人。ジーンズがユニフォームな人。
私は上の記事の中で紹介した人が穿くジーンズがとても魅力的に感じます。
実際のところは、穿いている人が魅力的で、ジーンズはその人を表す存在となっていると思います。
ファッションと言っても、人から良く見られたいと思って人気のある・流行の服を好んで着る人もいます。
現在、ヴィンテージジーンズを好んで穿く人は、人からの評価でなく、ヴィンテージを好きだから穿く人が圧倒的だと思います。
他人の評価ではなく自分の評価・考えによってジーンズを選び穿いていることになります。
ヴィンテージだけでなく、ジーンズが好き、こだわりがある人は、自分の評価・考えへの比重が大きいと思います。
色落ちが好き、色落ちを重視する人は、レプリカか色落ちに定評のある復刻を選ぶ傾向があると思います。
色落ちは、ジーンズ、デニムの大きな魅力の一つです。
その一方で、色落ち重視の傾向はかなり長い期間続いているため、既に行きつくとこまで行ってしまった気がします。
ジーンズは、色落ち以外にも様々な魅力があります。色落ちをどこまで重視するのか?ということもベストのジーンズを選ぶ上での判断材料になると思います。
また、色落ちというのは、明確に縦落ちすることなのかにもよります。
例えば、私は昨年の初めに見たVOGUEの記事で、リーバイス社のEUREKA研究所を訪問した時の記者さんが穿いていた501は、とても魅力的な色をしていると思いました。
この501は、80年代のもので、縦落ちはしていません。
関連ブログ記事:(お勧めです)
米女性ファッション誌Vogueの501についてのブログ記事
デニムは、生地の色、風合い、穿き心地、そして、着用が進むにつれて変化していきます。
シルエット、サイズ選択もあります。
どこを重視するのかで、選択肢も変わります。
その上で、メッセージを拝読し、お考えをある程度、考慮した上での、私のお勧め・ベストと思われるリーバイスジーンズが何かについて書きます。
(ベストというのは、上に書いた様に何を基準にするかで変わります。ここで申し上げるベストは、コメントくださった方のお話を考慮した上で、お勧めとしてベストと言う意味・主旨です。)
私が考える現代・現行のベスト・リーバイスジーンズ
(注:ここでベストとの言葉を使っていますが、何がベストかは人によって異なると思います。)
総合的に考えると、やはりベストは、現行USモデルの501STFだと思います。
501STFの最大の魅力は、生デニムによるシュリンクトゥフィットを味わうことができることです。
尚、ルーズなフィットのジーンズが好きな人、穿き心地を気にしない・魅力とは思わない人は対象外です。
逆にジーンズを穿き込んでいった時、どんどん穿き心地が良くなってきていると思う人は、シュリンクトゥフィットの良さを味わう・魅力を感じる可能性が高いです。
シュリンクトゥフィットは、実際に体験しなければ、その良さ・魅力は(全く)分からないものです。
シュリンクトゥフィットを味わうためには、サイズ選択も重要です。
未洗いの新品の生デニムの501を穿いて、お風呂に入って縮めてみると、一生に記憶に残る思い出になります。(なる可能性が非常に高いです。)
実際にやってみないと本当に分からないことです。
やってみて、あまり何も感じない人もいると思いますが、比率としては低いと思います。
お風呂に入って縮めることは、一度はやってみる価値のあることです。
このシュリンクトゥフィットの体験をする場合に最も適したモデルが、現行501STFです。
ロングデイも生デニムですが、シュリンクトゥフィットを十分に体験できるのは501STFの生地に軍配が上がります。
ロングデイの主な魅力は、シュリンクトゥフィットではなく、他のところにあります。
尚、レプリカで生デニムの製品もあるかと思いますが、例えばワンウォッシュと呼ばれる洗い加工をしたものでは、シュリンクトゥフィットの体験はできません。
洗い加工をしたものは、生デニムを家で一回洗った状態とは異なります。
また、未洗いの生デニムでも色々な種類があります。上に書いたように、501ロングデイは未洗いの生デニムですが、シュリンクトゥフィットの体感は、501STFに比べると低いです。
501STFは、価格も廉価で手軽にシュリンクトゥフィットを楽しめる逸品だと思います。
私は2012年製の501STFを3年以上穿いていますが、2年を経過した後位から、穿き心地がどんどん良くなってきました。
色落ちも縦落ちではありませんが、鏡で見て、自分としてはとても良い色落ちをしていると思っています。
(床に置いて、写真などを撮ってみるのではなく、穿いて見ると良く見えるのです。)
縦落ちを重視するのであれば、もちろん対象外だと思います。(笑)
501STFは、セルビッジではなく、脇割りです。私は正直申し上げて、現行品ではセルビッジを強く求めていません。
また、私は米国製501が好きです。80年代後半以降の501は、脇割りです。
脇割りで全然OKです。
ヴィンテージの場合は、セルビッジでないヴィンテージ501はないため、セルビッジになります。セルビッジは、私にとっては、ヴィンテージ501のものであるとの認識が強いです。
まずは、501STFでシュリンクトゥフィットを体験していただくことを強くお勧めします。
場合によっては、ジーンズに対する価値観が変わる可能性もあると思います。
または、新しいジーンズの魅力の発見となる可能性も高いです。
501STFを穿いてみても、セルビッジでないところがやはり気に入らない、やはり自分の考えるジーンズは、セルビッジ付きに限るということであった場合、現行の中での最大のお勧めは501-1995です。
501-1995は、歴代の501の中でも抜きん出た魅力を持っていると思っています。
2年後、3年後に501-1995が継続して生産されているかは不明ですが、現時点でのベストのリーバイス501という場合は、501STFと並びます。
しかし、お勧めの順番としては、やはり501STFです。
とても長い記事になってしまいました。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
関連ブログ記事:
米国製 501 シュリンクトゥフィット 501-1995
米国製 501-1995をご入手された方のご感想
楽天のショップでは、501STFがかなり安く買えます。
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