前回投稿した記事では、1930年代から1950年代のリーバイス・ジーンズとジージャンに使用されているリベットの種類を紹介しました。ヴィンテージリーバイス501xxと506xxに使用されているリベットに着目してみると興味深い点・謎があります。その謎について順を追って紹介します。
1930年代から1950年代の501XXと使用されているリベットについての相関表を以下に添付します。
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1930年代後半の501xxは、通称バックルバックと呼ばれる後ろにサイズ調整のためのシンチバックベルトが取り付けられているのが、外観・仕様上の大きな特徴です。バックルバック501XXは、oが小文字のリベットが使用されています。
1940年代前半は第二次世界大戦中です。バックルバックに代わって通称大戦モデルと呼ばれるパーツなどを簡素化した仕様の501XXが製造されました。大戦モデルが登場したのは1942年頃と言われています。
大戦モデルはシンチバックベルト、クロッチリベット、ウォッチポケットのリベットが省かれました。また、アーキュエットステッチは、糸を使用せず手書きのペイントで描かれました。
大戦モデルに使用されているリベットは、無刻印かOが大文字で全体の文字の大きさが小さく、中央に寄っている表記のリベットの2種類が主です。戦時中は汎用品パーツを使用することがありました。
無刻印(汎用品)は基本的に大戦モデルのみに見られるリベットです。文字が中央に寄っている表記のリベットは、大戦モデルから採用が始まり、戦後の後継モデル、片面タブの501XXにも使用されています。
片面タブの501XXに使用されているリベットは、上記、大戦モデルと共通の字が小さく中央に寄ったタイプと文字が大きく彫りが浅めのタイプの2種類があります。
片面タブ501XXで小さい字で中央に寄ったリベットが使われていれば1940年代、大きい字のリベットが使われていれば1950年代初め頃と判定するのが一般的です。
この年代判定は妥当だと思うのですが、興味深いことに片面タブ501xxと同年代のデニムジャケット506xxには当てはまりません。
501XXの片面タブでは、大きな文字のリベットが使われている物も少なからずあるにも関わらず、片面タブを使っている506xxでは、501XXでは1940年代まで使われていたとされる全て小さい字で中央よりのリベットが少なくとも1952年いっぱい、恐らく1953年の前半まで製造されていたと考えられる506xxに使用されていることになります。
尚、501xxと506xxリベットを見比べると、微妙に大きさが違うようにも見えます。(本当に微妙な差です。)多少大きさが違うのは、古い年代の製品なので、誤差・個体差などによる可能性も十分に考えられます。
リベットの種類・年代は、501xxと506xxでは異なることはほぼ確実です。
片面タブの501xxや506xxをお持ちの方、お時間のある時に是非、リベットをご覧になってみて下さい。特に後の年代の大きな文字刻印のリベットを使っている506xxをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご連絡頂けると大変ありがたいです。
本件については、少し異なる見地から別途考察を行う予定です。
関連記事:
[1930年代から1950年代のリーバイス・ジーンズとジージャンに使用されているリベット ##link##]
501XXモデルとリベットの種類
1930年代から1950年代の501XXと使用されているリベットについての相関表を以下に添付します。
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501XXモデルとリベットの種類 |
1930年代後半の501xxは、通称バックルバックと呼ばれる後ろにサイズ調整のためのシンチバックベルトが取り付けられているのが、外観・仕様上の大きな特徴です。バックルバック501XXは、oが小文字のリベットが使用されています。
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1930年代後半リーバイス501XX バックルバック 写真:ロングホーンインポートのお客様K様 |
大戦モデルはシンチバックベルト、クロッチリベット、ウォッチポケットのリベットが省かれました。また、アーキュエットステッチは、糸を使用せず手書きのペイントで描かれました。
大戦モデルに使用されているリベットは、無刻印かOが大文字で全体の文字の大きさが小さく、中央に寄っている表記のリベットの2種類が主です。戦時中は汎用品パーツを使用することがありました。
無刻印(汎用品)は基本的に大戦モデルのみに見られるリベットです。文字が中央に寄っている表記のリベットは、大戦モデルから採用が始まり、戦後の後継モデル、片面タブの501XXにも使用されています。
片面タブの501XXに使用されているリベットは、上記、大戦モデルと共通の字が小さく中央に寄ったタイプと文字が大きく彫りが浅めのタイプの2種類があります。
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片面タブ(後期)501XXのリベット |
この年代判定は妥当だと思うのですが、興味深いことに片面タブ501xxと同年代のデニムジャケット506xxには当てはまりません。
506xxで使用されているリベットの謎
506xxは大きく分けると針付きのシンチバックルと針無しのシンチバックルの2種類に分かれます。前者は戦前(と戦後直後)、後者は戦後のモデルと認知されています。
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ヴィンテージリーバイス 506xx 針シンチ |
バックルの種類とプリーツを固定するボックスステッチ位置などの仕様の相関性があるため、戦後501XXがモデルチェンジしたのと同時期頃に506XXもモデルチェンジしたと考えられます。ところが、字が小さく中央に寄ったリベットを使っている針シンチ506xxは、少なからずあります。
小さな文字中央よりリベットの針シンチ506xxは、戦後直後1946年から1947年頃に製造されたモデルと考えることもできるのですが、針シンチの506xxの中での当該リベットの比率は比較的多いため、戦前からこのリベットを使用していた可能性が考えられます。
さらに不思議なことは、これまで私が見てきた全ての針無しバックルの506xxは、この小さい字で中央に寄った刻印のリベットを使用していることです。
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針無しシンチ 506xxのリベット |
針無しシンチの文字は微妙に大きいような気もしますが、中央に寄っている特徴は明らかです。また、上で紹介した片面タブ後期のリベットの文字はリベット全面に広がっていて大きいです。表記文字の大きさは明らかに異なります。
506xxのタブは全て片面です。両面タブに移行したのは後継モデル507xxからになります。507xxが市場に登場したのは1953年です。また、最初期と思われる507xxは、片面タブが取り付けられています。
501XXの片面タブでは、大きな文字のリベットが使われている物も少なからずあるにも関わらず、片面タブを使っている506xxでは、501XXでは1940年代まで使われていたとされる全て小さい字で中央よりのリベットが少なくとも1952年いっぱい、恐らく1953年の前半まで製造されていたと考えられる506xxに使用されていることになります。
尚、501xxと506xxリベットを見比べると、微妙に大きさが違うようにも見えます。(本当に微妙な差です。)多少大きさが違うのは、古い年代の製品なので、誤差・個体差などによる可能性も十分に考えられます。
リベットの種類・年代は、501xxと506xxでは異なることはほぼ確実です。
片面タブの501xxや506xxをお持ちの方、お時間のある時に是非、リベットをご覧になってみて下さい。特に後の年代の大きな文字刻印のリベットを使っている506xxをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご連絡頂けると大変ありがたいです。
本件については、少し異なる見地から別途考察を行う予定です。
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[1930年代から1950年代のリーバイス・ジーンズとジージャンに使用されているリベット ##link##]
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