前回のブログ記事で"FOR OVER 85 YEARS"のオイルクロスのギャランティーチケットまでを紹介しました。
本記事では、"FOR OVER 85 YEARS"後のギャランティーチケットの記載内容など注目点を紹介します。残念ながら、現時点で60年代から70年代の501のギャランティーチケットが手元にないため、私の認識でのギャランティーチケットの流れを以下に簡単に書きます。
ちなみに”FOR OVER 85 YEARS”以前のオイルクロス製ギャランティーチケットは、サイズがかなり大きいです。
左側の501は上で紹介したものと同じです。右は50年代初頭の革パッチ501XXになります。
下の写真も80年代後半のギャランティーチケットです。"FOR OVER 135 YEARS"の表記で、フラッシャーの更新年も1987年となっており上と同様です。
下の写真は、97年製の501のギャランティーチケットです。"FOR OVER 140 YEARS"になります。フラッシャーの更新年は1993年です。
本記事では、"FOR OVER 85 YEARS"後のギャランティーチケットの記載内容など注目点を紹介します。残念ながら、現時点で60年代から70年代の501のギャランティーチケットが手元にないため、私の認識でのギャランティーチケットの流れを以下に簡単に書きます。
1960年代のギャランティーチケット
1960年代は"FOR OVER 100 YEARS"が主です。 ギャランティーチケットの素材は"FOR OVER 85 YEARS"の間に、オイルクロスから紙製に変更となり、以降は紙製となります。
"FOR OVER 90 YEARS"や"95 YEARS"の存在は確認できておらず、スキップして一気にFOR OVER 100 YEARSとなったと認識しています。
記載内容で変更となっている箇所は、"This is a pair of Levi's”の下の文言が、"THEY ARE POSITIVELY SUPERIOR"から"THEY ARE THE ORIGINAL BLUE JEANS"に変わっています。
1970年代は、70年代前半の66前期は"FOR OVER 110 YEARS”が取り付けられており、その後、15年加算されて、"FOR OVER 125 YEARS"となります。"115 YEARS"や"120 YEARS"は見た事がありません。
以下の記事で紹介するポスターでは、1850年にリーバイストラウスが最初のジーンズを作ったと書かれている箇所などを紹介しています。
[The Birth of the Blues - ヴィンテージ リーバイス ポスターの記載内容と年代の考察 ##link##]
66前期の後の年代と思われる品では、FOR OVER 125 YEARSのチケットがついているのも見た事があります。66前期の後半(70年代半ば頃)に"FOR OVER 125 YEARS"に変更となったと推測しています。後のモデルである66後期は、"FOR OVER 125 YEARS"のギャランティーチケットになります。
"FOR OVER 90 YEARS"や"95 YEARS"の存在は確認できておらず、スキップして一気にFOR OVER 100 YEARSとなったと認識しています。
記載内容で変更となっている箇所は、"This is a pair of Levi's”の下の文言が、"THEY ARE POSITIVELY SUPERIOR"から"THEY ARE THE ORIGINAL BLUE JEANS"に変わっています。
リーバイス社の資料では、1960年に広告やラベルに"overalls"に換えて”ジーンズ(Jeans)”を使用する様になった、とあります。"FOR OVER 100 YEARS"のチケットでも"THEY ARE THE ORIGINAL BLUE JEANS"となっており、リーバイスの資料と整合する材料の一つです。
また、紙ギャラのデッドストックでこの100年チケットを見た事もあります。これらのことから、1960年に"FOR OVER 100 YEARS"のギャランティーチケットが使われだした(古いチケットとの混在あり)と推測しています。
また、紙ギャラのデッドストックでこの100年チケットを見た事もあります。これらのことから、1960年に"FOR OVER 100 YEARS"のギャランティーチケットが使われだした(古いチケットとの混在あり)と推測しています。
もう一つの注目すべき"FOR OVER 100 YEARS"での変更点は、使用生地に関連する記述部で、85年チケットに記載されている"EXCLUSIVE XX TOP WEIGHT DENIM TESTS STRONGEST. WEARS LONGEST"から、"EXCLUSIVE XX SPECIAL TOP WEIGHT ALL COTTON DENIM"に変更になっています。
上記部の上の記述も"EVERY PAIR SATISFACTION GUARANTEED"に変更になっています。この部分は、85年チケットでは、"EVERY PAIR GUARANTEED"、100と110年チケットでは、"GUARANTEED: A NEW PAIR FREE IF THEY RIP" (もし破けたら新品を無料で差し上げる事を保証します)となっています。"FOR OVER 125 YEARS"以降は、"EVERY PAIR SATISFACTION GUARANTEED"です。
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1970年代のギャランティーチケット
1970年代は、70年代前半の66前期は"FOR OVER 110 YEARS”が取り付けられており、その後、15年加算されて、"FOR OVER 125 YEARS"となります。"115 YEARS"や"120 YEARS"は見た事がありません。
- [message]
- ##hand-o-right## 考察
- "FOR OVER 110 YEARS”から"FOR OVER 125 YEARS"へと変更になったのが1975年前後と仮定して、起点年を逆算すると1850年になります。それまでは、リーバイスがジーンズ誕生年としているリベット特許取得年である1873年から、リーバイス創業年1850年を起算年に変更したと思われます。(創業は本当は1853年なのですが、当時は1850年としていました。)
以下の記事で紹介するポスターでは、1850年にリーバイストラウスが最初のジーンズを作ったと書かれている箇所などを紹介しています。
[The Birth of the Blues - ヴィンテージ リーバイス ポスターの記載内容と年代の考察 ##link##]
66前期の後の年代と思われる品では、FOR OVER 125 YEARSのチケットがついているのも見た事があります。66前期の後半(70年代半ば頃)に"FOR OVER 125 YEARS"に変更となったと推測しています。後のモデルである66後期は、"FOR OVER 125 YEARS"のギャランティーチケットになります。
1980年代のギャランティーチケット
下は1981年製のデッドストック 501 赤耳のフラッシャーとギャランティーチケットです。

1980年代前半は、基本的に"FOR OVER 130 YEARS"のチケットになります。
手元にある80年代と90年代のデッドストック3本のギャランティーチケットを順に紹介します。

"FOR OVER 135 YEARS"のチケットは私の知る限り2種類あります。
下の写真は80年代後半の501のギャランティーチケットです。この501はパッチからCARE表記が無くなった直後のモデルです。ロット番号は小さいフォントの黒字です。

フラッシャー中央下のコピーライトの更新年は1987年です。
記載内容は"FOR OVER 130 YEARS"のギャランティーチケットと同じです。
しかし、"FOR OVER 130 YEARS"のギャランティーチケットでは光沢のあるつるつるした表面でしたが、”FOR OVER 135 YEARS”のチケットは表面がざらざらした紙が使われています。下の写真はフラッシュを使用して上と同じチケットを撮影したものです。

少しザラザラしたチケット表面の状態がお分かり頂けるかと思います。オイルクロスの雰囲気を演出しようとする意図だったのかも知れません。
ちなみに”FOR OVER 85 YEARS”以前のオイルクロス製ギャランティーチケットは、サイズがかなり大きいです。

左側の501は上で紹介したものと同じです。右は50年代初頭の革パッチ501XXになります。
下の写真も80年代後半のギャランティーチケットです。"FOR OVER 135 YEARS"の表記で、フラッシャーの更新年も1987年となっており上と同様です。

しかし、ギャランティーチケットの大きさは上の135年のものよりも一回り小さいです。こちらは表面もさらっとしています。このチケットは、枠外の下中央に、"MADE FROM RECYCLED PAPER"とリサイクル紙を使用している事が表示されています。
下の写真は、97年製の501のギャランティーチケットです。"FOR OVER 140 YEARS"になります。フラッシャーの更新年は1993年です。

記載内容は同じです。枠外下左のコピーライト年は1994年で、その隣に"THIS LABEL PRINTED ON RECYCLED PAPERBOARD"と書かれています。表記形式は変わりましたが、リサイクル紙を使用していることの表示は変わりません。チケットのサイズと素材も同じものを使用していると思います。
"FOR OVER 140 YEARS"は1994年頃から使われる様になったと推測しています。2003年の最終米国製501まで、"FOR OVER 140 YEARS"が使われています。尚、最初期の非米国製でも、140年チケットが使われていた様です。
2000年代以降のギャランティーチケット
2003年リーバイス米国内工場全閉鎖後のモデルからはギャランティーチケットは外付けではなくなり、スレーキ部に印刷される様になります。
下は501STF(2012年製)のギャランティーチケットのスタンプです。

面白い事に"FOR OVER 135 YEARS"になっています。1990年代は、"FOR OVER 140 YEARS"だったのですが、それから20年前後経過した製品では、年表記が少なくなっているのは興味深いです。別の現行を見てみましたが、やはり135 YEARSでした。
- [message]
- ##hand-o-right## 考察
- ギャランティーチケットで表示する"FOR OVER XX YEARS"の起算年を1850年からリベット特許取得、最初のジーンズ誕生の1873年に戻したためと推測します。
使用生地に関する記述部上の文言が、"EVERY GARMENT GUARANTEED"になっています。
2017年の501-1995のギャランティーチケット
下は2017年に入手した米国製501-1995のギャランティーチケットです。
”FOR OVER 140 YEARS”に年が更新されています。左下のコピーライトは、2012と表示があるため、2012年にギャランティーチケットの表記が140年に更新されたと思われます。
変更前のギャランティーチケットでは、"EVERY GARMENT GUARANTEED"の箇所が、"EVERY PAIR SATISFACTION GUARANTEED"に変更になっています。
手元にある2012年以降の501STFでは、"FOR OVER 135 YEARS"のままです。最新の501STFでは、1995と同じになっているのかもしれません。(現時点では未確認です。)
手元にある2012年以降の501STFでは、"FOR OVER 135 YEARS"のままです。最新の501STFでは、1995と同じになっているのかもしれません。(現時点では未確認です。)
本記事を含め、3つの記事でギャランティーチケットについて書きました。ギャランティーチケットが最初に登場した1890年から、基本的なデザインと構成は変わらずに現代まで受け継がれている事に改めて501の歴史の長さを感じました。
関連記事:
[ギャランティーチケットの歴史と記載内容の検証と考察 ##link##]
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[ギャランティーチケットの歴史と記載内容の検証と考察 ##link##]
時代ごとに細かい表現や記述は変わっているものの、基本的なところは変わっていないところも501らしいところだと思います。ギャランティーチケットもリーバイスの歴史、そして、501の歴史を物語っています。
ボタンフライ、アーキュエットステッチ、レッドタブ、パッチ、生デニム、ギャランティーチケット、これら501の伝統ある特徴は現行モデルにも引き継がれています。
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