ヴィンテージ リーバイスは、他のヴィンテージ品に比べて、かなり具体的なディテールや年代などの情報があります。ヴィンテージリーバイスの情報の中で、通説となっているものでも、後で判明した事柄などによって、推定・判定する年代や内容が変更になる場合があります。
年代推定する上での元となる材料が、どれほどの確度のものなのかということも重要です。確度、確かさやそれまで一般的な認識、通説、概念が見直されることもあります。推定年代や一般的に認知普及されていた内容が変更・修正されることは、考古学や歴史、アンティーク品などの世界でも珍しいことではありません。
以下の関連記事の中で、40年代から50年代前半(初めの方)の革パッチ片面タブの501XX(通称47年モデル)は、10オンスデニムを使用していると書きました。
関連記事:
[ヴィンテージ501のオンス数について ##link##]
オンス数の推定の材料は、その年代の501に取り付けられていたと考えられるFOR OVER 80 YEARSのギャランティーチケットに10オンスデニム使用が明記されていることでした。
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ギャランティーチケットは、品質保証書に該当するものなので、チケットに記載されている内容は、保証されるべき内容の説明であるため、記載内容の信頼性は高いです。
また、ギャランティーチケットのFOR OVER xx YEARSの部分は定期的に更新されているため、年代の確度も比較的高いです。例えば、70 YEARSのチケットは、大戦前から大戦モデル、大戦直後のモデルに取り付けられていることが、複数のデッドストックの存在から確認できています。
70 YEARSの次の年は80 YEARSです。初期の501XX 片面タブは、FOR OVER 70 YEARSが取付けられており、中後期はFOR OVER 80 YEARS使用されていると推定しています。
その後の年代のチケットからも逆算して、再確認することができます。
70 YEARSと80 YEARSの両方のギャランティーチケットで10オンスデニムを使用していることが記載されていることから、片面タブの501xxは、10オンスデニムを使用していたことがほぼ確定となります。(非常に高い確度で10オンスデニムが使用されていたと推測できます。)
ここまで高い確度の材料は、あまり見つかりません。
その一方で、片面タブの501XXを所有している方の中には、「これが10オンス??? 信じられない。」と思われる方も少なくないのではと思います。
そこで、今回は他の材料などから検証を行ってみます。私の手元には、40年代の後半から50年代の前半のカウボーイカタログが複数あります。下の写真は、1950年に発行されたカタログ中の506XXです。10オンスのデニムを使用していると書かれています。(赤線でアンダーラインを入れている箇所)
別のカタログには、506XXのオンス数の表記はなく、その代わり、パンツ(501XX)と同じデニムを使用と書かれています。オリジナルの506XXと501XXの両方をお持ちの方は、両者が同じデニムを使用していることは、お分かりいただけるかと思います。
FOR OVER 60 YEARSから80YEARSまでのギャランティーチケットには、"THEY ARE MADE OF SELECTED TEN OUNCE AMERICAN DENIM"と10オンスのデニムを使用している旨の表記があります。
それ以前の年代のギャランティーチケットでは、9オンスです。
FOR OVER 85 YEARSのギャランティーチケットから文言は、"EXCLUSIVE XX TOP WEIGHT DENIM TESTS STRONGEST WEARS LONGEST"に変更となります。
具体的な数字で重さを示すのではなくTOP WEIGHT(トップウェイト:最も重い)としているのが特徴です
以下の関連記事の中でも書きましたが、オンス数の表記を止めた理由は、競合会社の宣伝手法が関係しているのではないかと考えています。
関連記事:
[ヴィンテージ501のオンス数について ##link##]
最初の写真で紹介した506XXのイラスト・商品説明と同じカタログに載っているラングラーのページを部分的に抜粋します。
”11-OZ. HEAVY WEIGHT Sanforized Denim SADDLE PANTS”と大きめの目立つ表示がされ、11オンスデニムを使用していることを強調しています。Sanforizedは、防縮加工のことです。
下の画像は、1949年のカウボーイカタログに掲載されているLeeの商品ページです。商品の特徴に、11.5オンスデニムを使用していると説明があります。
Leeのデニムも、サンフォライズド(防縮加工)されたデニムです。商品説明にも、Sanforized Shrunk ... to insure perfect fit. ”パーフェクトなフィットになるように、サンフォライズドして縮ませてある”と説明されています。
縮む前の状態の生デニムと縮ませた後の状態である防縮加工済みデニムを、オンス数で比較した場合、後者の方が数字上大きくなります。
生デニムを使用していることが特徴のリーバイス501XXは、防縮加工デニムを使用しているLee 101やラングラー11MW(Z)に対して、1940年代の終わりごろから1950年代にかけて、カタログ等に表示するオンス数では、低くなってしまう状況にありました。
そのため、1953-55年頃から登場したと推測されるFOR OVER 85 YEARSのギャランティーチケットには、オンス数の記載を廃止したと考えています。
1960年代からリーバイスも防縮加工デニムを使用したジーンズを市場に投入します。防縮加工デニムを使用した551ZXX/505ダブルネームのフラッシャーには、目立つ形でオンス数が表示されています。
PRE-SHRUNKは、あらかじめ縮ませてあることを意味します。防縮加工と同義です。リーバイスも防縮加工デニムには、オンス数を積極的に明記していたことを示しています。
501のフラッシャーでは、オンス数の表記はないのとは対照的です。このことも、生デニム使用の501では、オンス表記を控えていたこと(の理由)を間接的に示しています。
1970年代の正規販売店に配布されたフィッティングガイドの数値や1960年代後半のヴィンテージ501 ダブルネームの表記と実寸値などを用いて縮み前、縮み後のオンスを推定しています。
[生デニムの縮み後のオンス数計算例 ##link##]
年代推定する上での元となる材料が、どれほどの確度のものなのかということも重要です。確度、確かさやそれまで一般的な認識、通説、概念が見直されることもあります。推定年代や一般的に認知普及されていた内容が変更・修正されることは、考古学や歴史、アンティーク品などの世界でも珍しいことではありません。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- 一般的には、一つの年代推定材料よりも複数の材料がある方が年代推定の確度が高くなります。ただし、情報、材料の確度のレベルなどにもよります。一つの材料であっても確度が非常に高ければ、十分の場合もあります。逆に複数の年代判定材料があっても、それらの確度が低ければ、推定の信頼度・確かさも下がります。
501XXの片面タブのオンス数
以下の関連記事の中で、40年代から50年代前半(初めの方)の革パッチ片面タブの501XX(通称47年モデル)は、10オンスデニムを使用していると書きました。
関連記事:
[ヴィンテージ501のオンス数について ##link##]
オンス数の推定の材料は、その年代の501に取り付けられていたと考えられるFOR OVER 80 YEARSのギャランティーチケットに10オンスデニム使用が明記されていることでした。
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40年代以前のギャランティーチケットにはオンス数が明記
ギャランティーチケットは、品質保証書に該当するものなので、チケットに記載されている内容は、保証されるべき内容の説明であるため、記載内容の信頼性は高いです。
また、ギャランティーチケットのFOR OVER xx YEARSの部分は定期的に更新されているため、年代の確度も比較的高いです。例えば、70 YEARSのチケットは、大戦前から大戦モデル、大戦直後のモデルに取り付けられていることが、複数のデッドストックの存在から確認できています。
70 YEARSの次の年は80 YEARSです。初期の501XX 片面タブは、FOR OVER 70 YEARSが取付けられており、中後期はFOR OVER 80 YEARS使用されていると推定しています。
その後の年代のチケットからも逆算して、再確認することができます。
70 YEARSと80 YEARSの両方のギャランティーチケットで10オンスデニムを使用していることが記載されていることから、片面タブの501xxは、10オンスデニムを使用していたことがほぼ確定となります。(非常に高い確度で10オンスデニムが使用されていたと推測できます。)
ここまで高い確度の材料は、あまり見つかりません。
その一方で、片面タブの501XXを所有している方の中には、「これが10オンス??? 信じられない。」と思われる方も少なくないのではと思います。
1940年代後半から50年代のカタログでのオンス表記
そこで、今回は他の材料などから検証を行ってみます。私の手元には、40年代の後半から50年代の前半のカウボーイカタログが複数あります。下の写真は、1950年に発行されたカタログ中の506XXです。10オンスのデニムを使用していると書かれています。(赤線でアンダーラインを入れている箇所)
別のカタログには、506XXのオンス数の表記はなく、その代わり、パンツ(501XX)と同じデニムを使用と書かれています。オリジナルの506XXと501XXの両方をお持ちの方は、両者が同じデニムを使用していることは、お分かりいただけるかと思います。
リーバイスがオンス数の表記を止めた理由の考察
FOR OVER 60 YEARSから80YEARSまでのギャランティーチケットには、"THEY ARE MADE OF SELECTED TEN OUNCE AMERICAN DENIM"と10オンスのデニムを使用している旨の表記があります。
それ以前の年代のギャランティーチケットでは、9オンスです。
FOR OVER 85 YEARSのギャランティーチケットから文言は、"EXCLUSIVE XX TOP WEIGHT DENIM TESTS STRONGEST WEARS LONGEST"に変更となります。
具体的な数字で重さを示すのではなくTOP WEIGHT(トップウェイト:最も重い)としているのが特徴です
以下の関連記事の中でも書きましたが、オンス数の表記を止めた理由は、競合会社の宣伝手法が関係しているのではないかと考えています。
関連記事:
[ヴィンテージ501のオンス数について ##link##]
最初の写真で紹介した506XXのイラスト・商品説明と同じカタログに載っているラングラーのページを部分的に抜粋します。
”11-OZ. HEAVY WEIGHT Sanforized Denim SADDLE PANTS”と大きめの目立つ表示がされ、11オンスデニムを使用していることを強調しています。Sanforizedは、防縮加工のことです。
下の画像は、1949年のカウボーイカタログに掲載されているLeeの商品ページです。商品の特徴に、11.5オンスデニムを使用していると説明があります。
Leeのデニムも、サンフォライズド(防縮加工)されたデニムです。商品説明にも、Sanforized Shrunk ... to insure perfect fit. ”パーフェクトなフィットになるように、サンフォライズドして縮ませてある”と説明されています。
縮む前の状態の生デニムと縮ませた後の状態である防縮加工済みデニムを、オンス数で比較した場合、後者の方が数字上大きくなります。
生デニムを使用していることが特徴のリーバイス501XXは、防縮加工デニムを使用しているLee 101やラングラー11MW(Z)に対して、1940年代の終わりごろから1950年代にかけて、カタログ等に表示するオンス数では、低くなってしまう状況にありました。
そのため、1953-55年頃から登場したと推測されるFOR OVER 85 YEARSのギャランティーチケットには、オンス数の記載を廃止したと考えています。
551ZXX/505 ダブルネームのフラッシャーのオンス表記
1960年代からリーバイスも防縮加工デニムを使用したジーンズを市場に投入します。防縮加工デニムを使用した551ZXX/505ダブルネームのフラッシャーには、目立つ形でオンス数が表示されています。
PRE-SHRUNKは、あらかじめ縮ませてあることを意味します。防縮加工と同義です。リーバイスも防縮加工デニムには、オンス数を積極的に明記していたことを示しています。
501のフラッシャーでは、オンス数の表記はないのとは対照的です。このことも、生デニム使用の501では、オンス表記を控えていたこと(の理由)を間接的に示しています。
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- ##hand-o-right## 備考
- 1960年代後半の製品551ZXX/505ダブルネームのフラッシャーに14オンスと記載されていることは、プリシュランクのデニムが14オンスである可能性が高いです。プリシュランクが14オンスと仮定した場合、同じ生地で未防縮の生デニム(1960年代後半の501)は、約12オンスだったと推定しています。詳しくは以下の記事をご参照下さい。
1970年代の正規販売店に配布されたフィッティングガイドの数値や1960年代後半のヴィンテージ501 ダブルネームの表記と実寸値などを用いて縮み前、縮み後のオンスを推定しています。
[生デニムの縮み後のオンス数計算例 ##link##]
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