リーバイスの506XXは別名ファーストと呼ばれるヴィンテージ・デニムジャケットを代表する製品の一つです。愛好家の間では、ヴィンテージジャケットの王様的存在として評価する人も少なくありません。
1ポケット、シンチバック、フロントプリーツ等の特有のディテールと短めの着丈、ボックス型のシルエットが506の特徴です。
506は年代によって細かいディテールの相違があります。以下に年代を推定する目安となるディテールを紹介します。
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a. 赤タブの有無
b. シンチの形状、タイプ
c. プリーツを固定するボックスステッチの大きさ
d. ボックスステッチとボタンの位置関係
e. リベットの刻印
f. ポケットに付くフラップの有無
リーバイスの赤タブ特許申請書類には、赤タブが初めて501(オーバーオール)の右バックポケットに取り付けられたのは1936年9月1日、ジャケットでは1937年7月1日との記載があります。
オリジナルの状態で赤タブが付いていない場合は、1937年6月以前の製品と判定できます。
506に付く赤タブは全て通称片面と呼ばれる最初期の赤タブの特徴である表側のみLEVI'Sの表記で裏はブランクで®が入らないタイプです。
尚、1936年以降の製品でも、何らかの理由で赤タブが欠損している506は比較的良く見かけます。そのため、赤タブの有無だけでなく、それ以外のディテールを見比べた上でないと年代の推定・判定は難しいです。
シンチは大きく分けて、二本針のタイプと針無しに分かれます。大まかな年代の区分けとしては前者が戦前と戦中、後者が戦後になります。
さらに針付きのシンチのバックルがプレーンなタイプと表面がギザギザな形状の滑り止めがあるタイプがあります。
目安としては前者がより古く、後者がその後の年代になります。二本針シンチには刻印が”SOLIDE"と”ANCHOR"等があります。前者の方がより古い年代と認知されています。
以下に添付する画像付きツイートはTwitterやGoogle+でいつもお世話になっている@yocwitterさんから頂いた506のシンチ部のツイートです。こちらはプレーンな古い年代のタイプです。後で追加で送って頂いた写真から、このシンチはSOLIDEの刻印のあるタイプであることが分かりました。
下はANCHORの刻印が入る滑り止めが付いているタイプです。
シンチの種類やブランドは、年代判定の決め手ではなく目安となる材料です。
二本針のシンチはソファーや椅子等の家具や車のシートを傷つけると不評だった様です。そのため、戦後のモデルでは針無しのバックルタイプのシンチが採用されます。
バックルの角もなめらかな形状になっていて、椅子等を傷つけない配慮がされたデザインです。
501でも戦前のモデルまではシンチが採用されており、シンチのバックルがプレーンの物と滑り止め付きが混在している時期もある様です。
501は大戦モデルでシンチは廃止となり、戦後のモデルで復活することはありませんでした。一方、506は大戦モデルでもシンチは残され、戦後のモデルでも継続されます。
506のシンチは、戦前と大戦モデルが二つ針、戦後モデルが針無しとなると判定するのが比較的主流の考えです。
しかし、第二次世界大戦終了後、直ぐにモデルチェンジしたのではなく、しばらくの間は針付きシンチを使って製造したと考えています。また、大戦モデル以降も在庫で残っていたシンチを使った場合もあったかもしれないと推測しています。
仕様変更時の移行期にディテールが混在した製品があるのは特に異例なことではありません。
赤タブが付く前、1936年以前の古い年代の506のプリーツを固定するボックスステッチの大きさが小さいのが特徴です。
(本記事の下に添付しております送って頂いたツイートの506のボックスステッチの写真をご参照下さい。)
その後の年代のボックスステッチは大きい長方形状でステッチの色はイエローです。手持ちの大戦後の506のボックスステッチの長さを計ってみました。
長さは約3.5cm弱位が多かったです。一カ所は4cm弱ありました。個体差もあると思いますが、恐らく3.5cmから4cm程度の長さが平均的な長さの範囲と思われます。
ボックスステッチは左右に各3カ所あります。古い年代の物はフロントヨーク下からウエストバンド上の長さを均等に4分割する場所に配置されています。そのため、ボタンより下の位置にあります。
戦後のモデルは、ボタン位置に合わせる様にボタンの左右にボックスステッチがあります。
しかし、戦後の初期の移行期のモデルでは、古い年代のボックスステッチの配置のものもあります。
これら以外にも細かいディテール等で差異がある様ですが、見比べないと分かりにくいので、ここでは主なポイントのみ紹介しました。
上記に代表される年代判定の材料、目安となる主要なディテール等から506は、大きく分けて以下の4つの年代に分かれます。
1. 1937年以前
2. 1936年から1941年
3. 1941年から1946年 (通称:大戦モデル)
4. 1946年から1953年
年代の区切りはきっちりしたものではなくある程度の目安です。
以下、年代ごとのモデルの特徴を紹介します。
1937年以前のモデルは赤タブ誕生以前の年代のため、タブが付いていないのが特徴の一つです。さらにシンチは滑り止めのないフラットで若干、丸みを帯びた形状のものである場合が多いです。
ボックスステッチは小さく、配置はボタンの横ではなく、下側に位置します。(ヨーク下からウエストバンドを4分割する位置)
リベットの刻印は小文字のoにアンダーバーが入るタイプです。
赤タブが付きます。ボックスステッチは大きい長方形。ボックスステッチの配置は古い年代のボタンより下の位置。
リベット刻印は小文字のoにアンダーバーが主と思われますが、大文字のOも混在していると仮定しています。
シンチは滑り止めが付いたタイプの方が多いです。
通称大戦モデルと呼ばれています。大きな外観上の特徴はフラップが省かれていることです。また、フロントのボタン数が通常の5つではなく一つ省かれて4つのものが多いです。
ボタンは通常のLEVI'Sと月桂樹のボタンが使用されている両方があります。
ボックスステッチの位置は、古い年代と同様にヨーク下からウエストバンドを4分割する位置にあります。
大戦モデルは簡略化された組み合わせ等で様々なバージョンがあります。
戦後、501と同様に506もモデルチェンジが行われ仕様が新しくなります。主な変更点は、椅子やソファー等の家具や車のシートを傷つけると不評だった二本針から針無しのシンチバックルが採用されたこととボックスステッチの位置がボタンの位置と同じになったことです。
戦後のモデルのリベットは小さい文字で中央に寄った配置で、Oは大文字でLS&COの刻印です。
1953年に後継モデルの507XXが登場し、506XXの後を継ぎます。一般に507が登場したのは1952年との説もありますが、リーバイス社の資料等では1953年となっていること、1952年のカウボーイカタログでは506、1953年には507が乗っていることなどから、507xxの登場は1953年と推定しています。
注:本記事の年代の推定や仮定は、現時点での情報を元にしたものです。新たに判明したことにより、推定年代等が変更になる場合もございます。あらかじめご了承下さい。
関連記事:
[リーバイス 年代判定における仮定と疑問点 ##link##]
@yocwitterさんから年代判定のポイントとなるディテールの写真をツイートで送ってもらいました。
a. 赤タブ無
b. シンチのバックルはプレーン。SOLIDEの刻印。
c. ボックスステッチの長さは約2.5cm程度と短い(小さい)
d. ボックスステッチの位置はボタンの横ではなく下。
e. リベットの刻印は、小文字のoにアンダーバー
f. フラップ付きポケット
上記から1936年以前の製品であると判定できます。
よっちんさん、ご協力ありがとうございました!
1ポケット、シンチバック、フロントプリーツ等の特有のディテールと短めの着丈、ボックス型のシルエットが506の特徴です。
506は年代によって細かいディテールの相違があります。以下に年代を推定する目安となるディテールを紹介します。
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年代を見分けるポイントとなるディテール
a. 赤タブの有無
b. シンチの形状、タイプ
c. プリーツを固定するボックスステッチの大きさ
d. ボックスステッチとボタンの位置関係
e. リベットの刻印
f. ポケットに付くフラップの有無
a. 赤タブについて
リーバイスの赤タブ特許申請書類には、赤タブが初めて501(オーバーオール)の右バックポケットに取り付けられたのは1936年9月1日、ジャケットでは1937年7月1日との記載があります。
オリジナルの状態で赤タブが付いていない場合は、1937年6月以前の製品と判定できます。
506に付く赤タブは全て通称片面と呼ばれる最初期の赤タブの特徴である表側のみLEVI'Sの表記で裏はブランクで®が入らないタイプです。
![]() |
ヴィンテージリーバイス 506xxの片面タブ |
b. シンチの形状と種類
シンチは大きく分けて、二本針のタイプと針無しに分かれます。大まかな年代の区分けとしては前者が戦前と戦中、後者が戦後になります。
さらに針付きのシンチのバックルがプレーンなタイプと表面がギザギザな形状の滑り止めがあるタイプがあります。
目安としては前者がより古く、後者がその後の年代になります。二本針シンチには刻印が”SOLIDE"と”ANCHOR"等があります。前者の方がより古い年代と認知されています。
以下に添付する画像付きツイートはTwitterやGoogle+でいつもお世話になっている@yocwitterさんから頂いた506のシンチ部のツイートです。こちらはプレーンな古い年代のタイプです。後で追加で送って頂いた写真から、このシンチはSOLIDEの刻印のあるタイプであることが分かりました。
@LonghornImport いいですねぇ〜( ͡° ͜ʖ ͡°)✧うちの506XXです♪ pic.twitter.com/gJ0r7lR6aL
— よっちんとスポンジボブ (@yocwitter) August 31, 2014
シンチの種類やブランドは、年代判定の決め手ではなく目安となる材料です。
二本針のシンチはソファーや椅子等の家具や車のシートを傷つけると不評だった様です。そのため、戦後のモデルでは針無しのバックルタイプのシンチが採用されます。
501でも戦前のモデルまではシンチが採用されており、シンチのバックルがプレーンの物と滑り止め付きが混在している時期もある様です。
501は大戦モデルでシンチは廃止となり、戦後のモデルで復活することはありませんでした。一方、506は大戦モデルでもシンチは残され、戦後のモデルでも継続されます。
506のシンチは、戦前と大戦モデルが二つ針、戦後モデルが針無しとなると判定するのが比較的主流の考えです。
しかし、第二次世界大戦終了後、直ぐにモデルチェンジしたのではなく、しばらくの間は針付きシンチを使って製造したと考えています。また、大戦モデル以降も在庫で残っていたシンチを使った場合もあったかもしれないと推測しています。
仕様変更時の移行期にディテールが混在した製品があるのは特に異例なことではありません。
c. プリーツを固定するボックスステッチの大きさ
赤タブが付く前、1936年以前の古い年代の506のプリーツを固定するボックスステッチの大きさが小さいのが特徴です。
(本記事の下に添付しております送って頂いたツイートの506のボックスステッチの写真をご参照下さい。)
その後の年代のボックスステッチは大きい長方形状でステッチの色はイエローです。手持ちの大戦後の506のボックスステッチの長さを計ってみました。
長さは約3.5cm弱位が多かったです。一カ所は4cm弱ありました。個体差もあると思いますが、恐らく3.5cmから4cm程度の長さが平均的な長さの範囲と思われます。
d. ボックスステッチとボタンの位置関係
ボックスステッチは左右に各3カ所あります。古い年代の物はフロントヨーク下からウエストバンド上の長さを均等に4分割する場所に配置されています。そのため、ボタンより下の位置にあります。
戦後のモデルは、ボタン位置に合わせる様にボタンの左右にボックスステッチがあります。
しかし、戦後の初期の移行期のモデルでは、古い年代のボックスステッチの配置のものもあります。
e. リベットの刻印
リベットの刻印はLS&Coとoが小文字でアンダーバーが入る物は大戦前の年代の判定材料の一つとして認知されています。
後の年代はLS&COで文字が中央に寄ったリベットです。二本針のシンチ仕様でこのリベット刻印も少なからずあるので大戦前モデルでも混在して使用されていたと考えています。
現時点での仮定として、40年代に主に使われたリベットと推測しています。
f. フラップの有無
大戦モデルではフラップが省かれました。最初期(20年代以前)の506もフラップが無いとの説を見たことがありますが、私は情報を持っていません。
1880年代のトリプルプリーツのデニムジャケットはフラップ無しのツーポケットです。
現存する506でフラップが無い物は基本的には大戦モデルの可能性が高いと思います。しかし、30年代以前の古い年代のディテールが備わっている場合は、最初期の可能性があると考えられます。
これら以外にも細かいディテール等で差異がある様ですが、見比べないと分かりにくいので、ここでは主なポイントのみ紹介しました。
506の種類
上記に代表される年代判定の材料、目安となる主要なディテール等から506は、大きく分けて以下の4つの年代に分かれます。
1. 1937年以前
2. 1936年から1941年
3. 1941年から1946年 (通称:大戦モデル)
4. 1946年から1953年
年代の区切りはきっちりしたものではなくある程度の目安です。
以下、年代ごとのモデルの特徴を紹介します。
1. 1937年以前
1937年以前のモデルは赤タブ誕生以前の年代のため、タブが付いていないのが特徴の一つです。さらにシンチは滑り止めのないフラットで若干、丸みを帯びた形状のものである場合が多いです。
ボックスステッチは小さく、配置はボタンの横ではなく、下側に位置します。(ヨーク下からウエストバンドを4分割する位置)
リベットの刻印は小文字のoにアンダーバーが入るタイプです。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考・追記
- 赤タブが最初に登場したのは1936年です。ジーンズとジャケットは同時期、1936年から取り付けられていたと仮定していましたが、リーバイスの赤タブの特許申請書類に赤タブが最初にジーンズ(当時の呼称オーバーオール=501)に取り付けられたのは1936年9月1日、デニムジャケットに取り付けられたのは1937年7月1日であると記載されていることを発見したため、上記記載を1936年以前から1937年以前に変更しました。
2. 1937年から1941/1942年頃
赤タブが付きます。ボックスステッチは大きい長方形。ボックスステッチの配置は古い年代のボタンより下の位置。
リベット刻印は小文字のoにアンダーバーが主と思われますが、大文字のOも混在していると仮定しています。
シンチは滑り止めが付いたタイプの方が多いです。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考・追記
- リベットの刻印が大文字のOは、戦後から登場したシナリオも考えられます。このシナリオの場合は、小文字のoにアンダーバーは戦前から大戦初期、大文字は第二次世界大戦後となります。この判定の考え方は、501に該当します。
3. 1941/1942年頃から1945年頃
通称大戦モデルと呼ばれています。大きな外観上の特徴はフラップが省かれていることです。また、フロントのボタン数が通常の5つではなく一つ省かれて4つのものが多いです。
ボタンは通常のLEVI'Sと月桂樹のボタンが使用されている両方があります。
ボックスステッチの位置は、古い年代と同様にヨーク下からウエストバンドを4分割する位置にあります。
大戦モデルは簡略化された組み合わせ等で様々なバージョンがあります。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考・追記
- 大戦モデルが実際の製造期間を示す明確な情報を持っていません。戦後も、しばらくの間大戦モデルが製造されていた可能性もありますが、残存数が少ないため、第二次世界大戦終了後比較的直ぐにモデルチェンジ、または、前モデルが製造されたと推測しています。
4. 1946年から1953年
戦後、501と同様に506もモデルチェンジが行われ仕様が新しくなります。主な変更点は、椅子やソファー等の家具や車のシートを傷つけると不評だった二本針から針無しのシンチバックルが採用されたこととボックスステッチの位置がボタンの位置と同じになったことです。
戦後のモデルのリベットは小さい文字で中央に寄った配置で、Oは大文字でLS&COの刻印です。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考・追記
- 大戦モデルの501では、大文字のOが使用されているものが多いです。リベットの刻印が大文字のOは、第二次世界大戦後半から登場したシナリオも考えられます。このシナリオの場合は、小文字のoにアンダーバーは戦前から大戦初期、大文字は第二次世界大戦後半後となります。
1953年に後継モデルの507XXが登場し、506XXの後を継ぎます。一般に507が登場したのは1952年との説もありますが、リーバイス社の資料等では1953年となっていること、1952年のカウボーイカタログでは506、1953年には507が乗っていることなどから、507xxの登場は1953年と推定しています。
注:本記事の年代の推定や仮定は、現時点での情報を元にしたものです。新たに判明したことにより、推定年代等が変更になる場合もございます。あらかじめご了承下さい。
関連記事:
[リーバイス 年代判定における仮定と疑問点 ##link##]
506の年代判定例
@yocwitterさんから年代判定のポイントとなるディテールの写真をツイートで送ってもらいました。
— よっちんとスポンジボブ (@yocwitter) September 6, 2014
@LonghornImport ご依頼のあった箇所の写真です! pic.twitter.com/sztWwBSvwc— よっちんとスポンジボブ (@yocwitter) September 6, 2014
b. シンチのバックルはプレーン。SOLIDEの刻印。
c. ボックスステッチの長さは約2.5cm程度と短い(小さい)
d. ボックスステッチの位置はボタンの横ではなく下。
e. リベットの刻印は、小文字のoにアンダーバー
f. フラップ付きポケット
上記から1936年以前の製品であると判定できます。
よっちんさん、ご協力ありがとうございました!
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