ヴィンテージ リーバイスの年代の判定の目安となるディテール等の情報は他のブランドや’ヴィンテージ品と比べるとかなり細かい所まで明らかになっていると思います。
しかし、まだ明確になっていないことや一般的に認知されている年代等の情報でも相反する材料があったりする場合もあります。また、全てが明確に判明している訳ではなく、それらの事柄が事実であると示す確たる証拠がそろっていない場合もあります。情報や材料を集めて、推定していることが多いです。
後から判明した資料などから、過去の出来事や推定されている事柄、年代が後で明らかに判明した材料等から推定内容が変更になることは珍しいことではありません。これはヴィンテージリーバイスの年代判定にも該当します。
一つ前の投稿で、506XXの種類と年代の判定材料等について、調べていた際も、いくつか疑問点や新たに判明したこれまでの認識と若干異なる情報等を発見しました。
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今回、506の年代推定において現時点での仮定条件、不明点、疑問等を以下に書きます。
あるディテールについて、登場時期が極めて明確になっているものがあります。赤タブの登場年もその一つです。
リーバイ・ストラウス社の赤タブの特許申請書類には、初めて赤タブが使われたのは、オーバーオール(ジーンズ=501)では1936年9月1日、ジャケットは1937年7月1日と明記されています。これは情報としては、確定・断定できる非常に確度が高いです。(これ以上はないレベル)
ただし、1936年以降の製品で赤タブが欠損している場合も少なくないので、赤タブが付いていなければ1936年以前、付いていれば以降と言う様に単純には判断できません。
バックルの種類やボックスステッチの大きさと配置、リベットの刻印は、年代の推定の重要な判断材料ですが、導入や変更された時期がいつ(何年)なのかと言うことはあまりはっきりしていません。
ある推定が変わることにより、他の推定年代にも影響を与えたりする場合もあります。
507が登場したのは1952年頃と言う説が、これまで有力で定説になっている(いた)と認識しています。しかし、リーバイス社の前ヒストリアンのLynn Downeyさんが雑誌のインタビューで507の登場年は1953年と説明しているのを見ました。
手元にある1952年と1953年発行のカウボーイ用品カタログでも、前者は506、後者は507が掲載されているので、507の登場時期は1953年である可能性は非常に高いと考えています。
片面タブが付いている507はそれなりの数が確認されています。507の登場時期は片面タブから両面タブへの移行時期との関わりがあります。
507が登場したのが1953年と仮定すると、片面タブから両面タブへの移行の年代も従来の1951年から1952年頃とされている説よりも後にずれることになります。
後から判明した情報材料などによって、従来の定説とは異なることが判明することは珍しいことではありません。むしろ、常時あるようなことです。
リベットの刻印はL.S. & Coとoが小文字でアンダーバーが入るものが30年代以前、大文字のOが40年代以降と言うのが通説です。これに基本的に異論はないのですが、大戦モデルの登場時期が1941年のため、大戦前の年代は全て小文字oのリベットなのか?という疑問が生じます。
下の画像は、針シンチの506xxのポケット部のリベットの写真です。
しかし、まだ明確になっていないことや一般的に認知されている年代等の情報でも相反する材料があったりする場合もあります。また、全てが明確に判明している訳ではなく、それらの事柄が事実であると示す確たる証拠がそろっていない場合もあります。情報や材料を集めて、推定していることが多いです。
後から判明した資料などから、過去の出来事や推定されている事柄、年代が後で明らかに判明した材料等から推定内容が変更になることは珍しいことではありません。これはヴィンテージリーバイスの年代判定にも該当します。
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ヴィンテージリーバイス 506xx |
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今回、506の年代推定において現時点での仮定条件、不明点、疑問等を以下に書きます。
確度の高さ・情報の信頼性
あるディテールについて、登場時期が極めて明確になっているものがあります。赤タブの登場年もその一つです。
リーバイ・ストラウス社の赤タブの特許申請書類には、初めて赤タブが使われたのは、オーバーオール(ジーンズ=501)では1936年9月1日、ジャケットは1937年7月1日と明記されています。これは情報としては、確定・断定できる非常に確度が高いです。(これ以上はないレベル)
ただし、1936年以降の製品で赤タブが欠損している場合も少なくないので、赤タブが付いていなければ1936年以前、付いていれば以降と言う様に単純には判断できません。
バックルの種類やボックスステッチの大きさと配置、リベットの刻印は、年代の推定の重要な判断材料ですが、導入や変更された時期がいつ(何年)なのかと言うことはあまりはっきりしていません。
ある推定が変わることにより、他の推定年代にも影響を与えたりする場合もあります。
後継モデル507の登場年
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ヴィンテージリーバイス 507xx |
手元にある1952年と1953年発行のカウボーイ用品カタログでも、前者は506、後者は507が掲載されているので、507の登場時期は1953年である可能性は非常に高いと考えています。
片面タブが付いている507はそれなりの数が確認されています。507の登場時期は片面タブから両面タブへの移行時期との関わりがあります。
507が登場したのが1953年と仮定すると、片面タブから両面タブへの移行の年代も従来の1951年から1952年頃とされている説よりも後にずれることになります。
後から判明した情報材料などによって、従来の定説とは異なることが判明することは珍しいことではありません。むしろ、常時あるようなことです。
リベットの刻印の年代
リベットの刻印はL.S. & Coとoが小文字でアンダーバーが入るものが30年代以前、大文字のOが40年代以降と言うのが通説です。これに基本的に異論はないのですが、大戦モデルの登場時期が1941年のため、大戦前の年代は全て小文字oのリベットなのか?という疑問が生じます。
下の画像は、針シンチの506xxのポケット部のリベットの写真です。
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この506xxのディテールの特徴
a. 赤タブ付き
b. シンチは二本針。バックルは滑り止めあり。ANCHORの刻印。
c. ボックスステッチは大きめ。
d. ボックスステッチの位置はボタンの横ではなく下。
e. リベットの刻印は、大文字のO。
f. フラップ付きポケット
年代判定のポイントとなる主なディテールは上記の様になります。二本針シンチである時点で戦前モデルとの判定をするのが一般的で、私も異論はありません。
しかし、ここで気になったのはリベットの刻印です。リベットの刻印が小文字のoのアンダーバーであれば(36年以降の)30年代で確定なのですが、この506のリベットは後の年代の大文字のOです。
可能性としては、大戦直前または大戦後とも考えられます。特に気になるのが、大文字のリベットが戦前にも使われていたのか?です。大戦前のリーバイスのデニム製品のディテール等の確度の高い情報を持っていません。
手持ちの針無しシンチの506や革パッチの501XX等とは異なるデニムの生地感があります。あまり知られていないことですが、少なくとも大戦モデル以前の501のデニムは10オンスです。
その後、12オンス程度に変更になったと理解しています。しかし、デニムのオンス数の変更時期は40年代の後半から50年代の前半のいつなのか、はっきり分かる材料を持っていません。
この10オンスデニムについては、”FOR OVER 80 YEARS"のギャランティーチケットに明記されているので、確度が非常に高いものです。
感覚的なものが入るので絶対とは言えませんが、上の写真の506の生地は古い年代=戦前のものと推測しています。もしも、この506が戦前に製造したモデルであるとした場合、大文字のOのリベットも戦前の506に使用されていたことを意味します。
尚、戦後直後のモデルも古いデニムを使っていたと考えることもできるので、あくまでも現時点での推測です。
まとめると、推定年代は、ある程度経験的なものを含めてディテール等も含めて考慮した推測に過ぎません。新たに判明したこと等により、推定年代の見直しが必要となる場合もあります。
と言うことで、前回の投稿を含め、現時点での情報を元にしたもので、変更される可能性があることをお断り致します。
尚、二つ前の投稿で紹介した現時点で見つかっている最古のデニムジャケットは、発見当初1874年頃と見られていましたが、その後、リーバイス・前ヒストリアンのLynn Downeyさんは1880年代の製品である可能性が高いと若干推定年代が異なる見解を述べています。
新たな発見等があり、それまでとは異なる推定となることは現実としてあります。
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