60年代の前半までは、リーバイスの事業は米国内の販売のみでしたが、1965年に、ヨーロッパとアジアにLevi Strauss InternationalとLevi Strauss Far Eastを設立し、本格的に海外進出します。
1960年代の後半は、米国内、海外での急速なジーンズの需要増加によって、リーバイスは急激な成長期を迎えます。
劇的に増加する需要に対応するため、リーバイス社は、続々と工場を建設し、生産キャパを拡大します。
60年代の後半は、501に様々な仕様変更が加えられた時期です。
1967年にリーバイスは、主要デニム製品のロット番号名の変更を行います。
(品番変更は、1966年という説もありますが、いろいろ入手している資料から、67年の可能性が高いと考えています。)
それまでパッチに表記されていたロット番号、501XXは501(501-0117)、501ZXXは502 (502-0117)、551ZXX は505 (505-0217)、557XXは70505 (70505-0217)にそれぞれ変更になりました。
ヴィンテージリーバイス501には、通称ダブルネームと呼ばれるモデルがあります。
ダブルネームは、パッチに表示される501や505等のロット番号の上に小さな文字でさらにロット番号が表記されている=パッチ上に二つのロット番号が表記されていることから名付けられたと思われます。
今回紹介するのは、501-0117と大きな文字(通称デカ文字)のロット番号の上に小さい字で501 XXと表示のあるダブルネームです。
50年代の後半から60年代のリーバイスのデニム製品に取り付けられた紙製のパッチ(通称紙パッチ)は、硬化しやすく。硬化すると破損して消失してしまうことが多いため、パッチが残存しているものは少ないです。
パッチが残存していても、ロット番号の表記が読み取れないものもあります。
上の写真のようにパッチがほぼ全て残っていて、表記も読み取れるものは珍しいです。
ダブルネームは、上の写真のように小さい字で501 XXと表示されているもの以外に、単に501と表示されているものもあります。
ダブルネームは、パッチが残存していないと、ダブルネームと完全に判定することができませんが、表記形式とボタン裏表記にある程度の関連性がある可能性が高いです。
これまでに見てきたダブルネームでは、501XX-501の表記の場合、全て刻印Kでした。
ダブルネームで最も多く見られるのが、501-501で刻印がJのものです。刻印Eでも、ごく稀に501-501があるようです。
刻印EとWは、パッチ表記が単に501のもの(タイプ表記も無し)で、ディテールはダブルネームと共通のものがあります。
関連記事:
501 最初期 ビッグE 刻印W 33W-36L / ロングホーンインポート
それでは、本品のディテールについて紹介します。
トップボタン裏の刻印はKです。トップボタン脇のステッチの処理はVステッチ、ウエストバンド裏の上はシングルステッチです。(通称、腰裏シングル)
品番変更後、比較的短期間の後にトップボタン裏の刻印は、それまでのアルファベット1文字から、一桁の数字に変更になります。(例外は、刻印16です。)
ダブルネームや初期のビッグEは、アーキュエットステッチのピッチ(縫い幅)が501XXと同じ様に広いのが特徴です。
ピッチが広いと、ステッチが消失しやすいです。501XXでは、着用感のあるものは、一部、または、全てのステッチが消失しているものがほとんどです。
アーキュエットステッチの消失を防ぐため、ビッグEでは目の詰まったステッチに変更になりました。
初期を除くほとんどのビッグEのアーキュエットは、目が詰まっています。
刻印がアルファベット1文字、アーキュエットが広いピッチのビッグE501は、下の写真の様に通称ずれカンと呼ばれるクロッチに入れられるカンヌキとステッチがずれているものが多い(ほぼ全て)です。
以上が、ダブルネーム等、最初期のビッグE固有のディテールの特徴です。
以下はそれ以外の主なディテールを紹介します。
本品のタブは、通称均等Vと呼ばれるLEVI'SのVの字の左右の幅がほぼ等しい字体のタブです。
最終501XXから、不均等Vと呼ばれるVの右側が細い字体のタブが登場します。
ビッグEの多くは、不均等Vのタブです。ダブルネームでも不均等Vのタブのものもあります。(不均等Vの方が多いかもしれません)
フライボタンに表示される"LEVI STRAUSS"のRの文字の左側の足が長くなっていることから、足長Rと呼ばれるボタンです。
足長Rは、紙ギャラの501XXから66Eの最初期までのモデルに見られるディテールです。
ウォッチポケット(コインポケット)の入り口の裏はシングルステッチです。
ウォッチポケット入り口裏は、セルビッジ付きの場合とそうでない場合があります。
セルビッジ付きか無しかは、モデルや年代と直接的な関係はありません。
ビッグEの途中から、ウォッチポケット裏のステッチは、チェーンステッチに移行になりました。
ヴィンテージの501のアウトシームは、セルビッジ(赤耳)で裾裏はチェーンステッチです。
チェーンステッチ特有のうねりのある色落ちのアタリが生成されています。
パッチが残存していて、ダブルネームが読み取れる品はとても希少性が高いです。
手元にもう一本、刻印Kの501があります。
関連ブログ記事:
501 Big-E Vステッチ 刻印K
こちらもダブルネームの可能性が高いですが、パッチは残っているものの表記は読み取れません。
この2品の生地は、共に通常の501より青みがかっていてる特有の色味をしていて、生地の風合いが少しシットリした感じがするのが特徴です。
プリシュランクの可能性もあるのではと思っています。
ヴィンテージは、ディテールの検証なども楽しみの一つだと思います。
1960年代の後半は、米国内、海外での急速なジーンズの需要増加によって、リーバイスは急激な成長期を迎えます。
劇的に増加する需要に対応するため、リーバイス社は、続々と工場を建設し、生産キャパを拡大します。
60年代の後半は、501に様々な仕様変更が加えられた時期です。
1967年にリーバイスは、主要デニム製品のロット番号名の変更を行います。
(品番変更は、1966年という説もありますが、いろいろ入手している資料から、67年の可能性が高いと考えています。)
それまでパッチに表記されていたロット番号、501XXは501(501-0117)、501ZXXは502 (502-0117)、551ZXX は505 (505-0217)、557XXは70505 (70505-0217)にそれぞれ変更になりました。
ヴィンテージリーバイス501には、通称ダブルネームと呼ばれるモデルがあります。
ダブルネームは、パッチに表示される501や505等のロット番号の上に小さな文字でさらにロット番号が表記されている=パッチ上に二つのロット番号が表記されていることから名付けられたと思われます。
50年代の後半から60年代のリーバイスのデニム製品に取り付けられた紙製のパッチ(通称紙パッチ)は、硬化しやすく。硬化すると破損して消失してしまうことが多いため、パッチが残存しているものは少ないです。
パッチが残存していても、ロット番号の表記が読み取れないものもあります。
上の写真のようにパッチがほぼ全て残っていて、表記も読み取れるものは珍しいです。
ダブルネームは、上の写真のように小さい字で501 XXと表示されているもの以外に、単に501と表示されているものもあります。
ダブルネームは、パッチが残存していないと、ダブルネームと完全に判定することができませんが、表記形式とボタン裏表記にある程度の関連性がある可能性が高いです。
これまでに見てきたダブルネームでは、501XX-501の表記の場合、全て刻印Kでした。
ダブルネームで最も多く見られるのが、501-501で刻印がJのものです。刻印Eでも、ごく稀に501-501があるようです。
刻印EとWは、パッチ表記が単に501のもの(タイプ表記も無し)で、ディテールはダブルネームと共通のものがあります。
関連記事:
501 最初期 ビッグE 刻印W 33W-36L / ロングホーンインポート
それでは、本品のディテールについて紹介します。
ボタン裏刻印
トップボタン裏の刻印はKです。トップボタン脇のステッチの処理はVステッチ、ウエストバンド裏の上はシングルステッチです。(通称、腰裏シングル)
品番変更後、比較的短期間の後にトップボタン裏の刻印は、それまでのアルファベット1文字から、一桁の数字に変更になります。(例外は、刻印16です。)
ピッチの広いアーキュエットステッチ
ダブルネームや初期のビッグEは、アーキュエットステッチのピッチ(縫い幅)が501XXと同じ様に広いのが特徴です。
ピッチが広いと、ステッチが消失しやすいです。501XXでは、着用感のあるものは、一部、または、全てのステッチが消失しているものがほとんどです。
アーキュエットステッチの消失を防ぐため、ビッグEでは目の詰まったステッチに変更になりました。
初期を除くほとんどのビッグEのアーキュエットは、目が詰まっています。
ずれカン
刻印がアルファベット1文字、アーキュエットが広いピッチのビッグE501は、下の写真の様に通称ずれカンと呼ばれるクロッチに入れられるカンヌキとステッチがずれているものが多い(ほぼ全て)です。
以上が、ダブルネーム等、最初期のビッグE固有のディテールの特徴です。
以下はそれ以外の主なディテールを紹介します。
赤タブ(均等V ビッグE)
本品のタブは、通称均等Vと呼ばれるLEVI'SのVの字の左右の幅がほぼ等しい字体のタブです。
最終501XXから、不均等Vと呼ばれるVの右側が細い字体のタブが登場します。
ビッグEの多くは、不均等Vのタブです。ダブルネームでも不均等Vのタブのものもあります。(不均等Vの方が多いかもしれません)
足長Rのフライボタン
フライボタンに表示される"LEVI STRAUSS"のRの文字の左側の足が長くなっていることから、足長Rと呼ばれるボタンです。
足長Rは、紙ギャラの501XXから66Eの最初期までのモデルに見られるディテールです。
ウォッチポケット裏シングルステッチ
ウォッチポケット(コインポケット)の入り口の裏はシングルステッチです。
ウォッチポケット入り口裏は、セルビッジ付きの場合とそうでない場合があります。
セルビッジ付きか無しかは、モデルや年代と直接的な関係はありません。
ビッグEの途中から、ウォッチポケット裏のステッチは、チェーンステッチに移行になりました。
裾裏チェーンステッチ
ヴィンテージの501のアウトシームは、セルビッジ(赤耳)で裾裏はチェーンステッチです。
チェーンステッチ特有のうねりのある色落ちのアタリが生成されています。
まとめ・後記
パッチが残存していて、ダブルネームが読み取れる品はとても希少性が高いです。
手元にもう一本、刻印Kの501があります。
関連ブログ記事:
501 Big-E Vステッチ 刻印K
こちらもダブルネームの可能性が高いですが、パッチは残っているものの表記は読み取れません。
この2品の生地は、共に通常の501より青みがかっていてる特有の色味をしていて、生地の風合いが少しシットリした感じがするのが特徴です。
プリシュランクの可能性もあるのではと思っています。
ヴィンテージは、ディテールの検証なども楽しみの一つだと思います。
質問させてください。
返信削除私の所持しているLEVI'S リーバイス 501 ビッグE
もしくはダブルネームだと思うんですが
(詳しくは分かりませんが、ディテールからおそらくですがその辺りだと思います。)
大まかなディテールです。
トップボタン無刻印ドーム型
フライボタン4つに16刻印が刻まれています。不思議なんですけど
通常ならトップボタンに16刻印ならわかりますけどフライボタンに16刻印というのはなんなんでしょう?
16番工場で作られたジーンズと考えてよろしいのでしょうか?
足長R
Vステッチ
股下ズレカン
コインポケット耳付き
ビッグE
赤耳
裾チェーンステッチ
イエローステッチ所々使用
最後に年代的にいつごろののどんなタイプと考えられるものでしょうか?
フライボタンに16刻印が刻まれているのは、非常に珍しいと思います。フライボタンに刻印Eが使用されている品は、複数存在が確認されています。実際のところは不明ですが、生産する際にたまたま在庫にあった刻印16のボタン(裏)のパーツを使用したなどの理由が考えられます。トップボタン裏は、無刻印でもフライボタン裏の刻印が16であることから、16番の工場/製造ラインの製品であることを示しています。以下のご質問の答は、YESです。
返信削除16番工場で作られたジーンズと考えてよろしいのでしょうか?
通称ダブルネームと呼ばれるモデルは、基本的にパッチに二つのロット番号が表示されているバージョンのことです。これまで見つかっている品では、刻印16でパッチに二つのロット番号が表示されているものは、私は存じません。ダブルネームと呼ばれるモデルは、最初期のビッグEの一バージョンというのが私の認識です。同じディテールを備えるもので、パッチ表記はタイプものや通常のビッグE(501表記のみ)のものもあります。
つまり、ディテールだけでは、ダブルネーム固有と判定できません。(刻印を含めたディテールで、ダブルネームの可能性が高いと推測することはできます。)