米3大ブランドの一つであるラングラーが誕生したのは、第二次世界大戦後、少し経ってからの1947年です。
ラングラーは、リーバイスやLeeの様な会社名ではなく、ブルーベル社のウエスタン衣類(の特にデニム製品に特化した)ブランドです。ブルーベル社は、ワークウェアの衣料品のメーカーです。
戦後、世の中が大きく変化していく中で、ブルーベルが新たに立ち上げたジーンズ専用の製品ラインのラングラーは、Leeとリーバイスの間に割って入る戦略的なブランドでした。
Wranglerは、『働くカウボーイ』の意味です。
ブルーベルは、ラングラーブランドを立ち上げるため、ロデオスターやウエスタンムービーの衣装デザイナーとして知られたロデオ・ベンを採用し、カウボーイに対象を絞った製品の開発を始めました。
そして、最初に誕生したジーパンが11MW、ジージャンが11MJです。
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ラングラーのジージャンは、Leeやリーバイスとは対象的に細いデザインや仕様を頻繁に変更しているのが特徴の一つです。
上で紹介したカタログの写真で着用しているジェケットも右は通称丸カンと呼ばれるカンヌキでプリーツを固定しているのに対して、左はリーバイスのファースト・セカンドの様に長方形のボックスステッチの仕様になっています。
胸ポケットの位置、ポケットに入れられるサイレントWの形状も異なります。
チーフデザイナーのロデオ・ベンは、カスタムテイラー・衣装デザイナーなので、随時、必要に応じて細い変更などを加えていくのは、妥当な流れだと思います。
また、細い仕様をこまめに変えていくことが、ライバルに対する差別化にもなっていると思います。
下の画像は、ラングラーの第一世代のジージャン111MJ、通称ファーストと呼ばれる50年代のラングラーのジージャンです。
111MJは、リーバイスの1st, 2ndと同様にフロントにプリーツが入ります。
外観上、目を引くのは、丸カンと呼ばれるプリーツを固定する円状のバータックです。
リーバイスのファーストやセカンドのボックスステッチは、ステッチが切れたりしやすいです。
丸カンは、切れたり外れたりすることはまずありません。また、外観上のデザインアクセントとしても有効です。
ボタンもリーバイスやLeeの銀色に対して、銅色です。
胸ポケットは、スナップボタンを採用しています。
カフスも同様にスナップボタンです。
リーバイスは、キッズ向けの製品にはスナップボタンを採用していますが、メンズやレディースの製品は、通常のボタンホールで留める仕様です。
ラングラーは、スナップボタンを積極的に採用しています。
剣ボロの付け根の固定・強化はリベットを使用しています。リベットは、馬の鞍などを傷つけない様に表面がなめらかな形状になっています。
背中の肩口には、アクションプリーツと呼ばれる、プリーツが設けれています。
このプリーツは内側から、ゴムで引き込まれています。
このアクションプリーツによって、見た感じは細くフィットしていながら、腕を動かしやすい構造になっています。
非常に凝っていて、生産する上でも手間がかかっています。
背中側の左右の腰脇にアジャスターベルトが付いています。
リーバイスのファーストは、背中の腰上中央にサイズ調整のためのシンチバックが付いているのが特徴です。
ラングラーは、脇に二つのベルトによるサイズ調整です。実用面、機能面ではこちらの方が優れていると思います。
50年代のラングラーの製品は、左綾のデニムを使用しています。
生地の色味、風合いも特有のものがあります。
古い年代のデニムは織傷や織むらがあるのが特徴の一つです。本品も部分的に織ムラによるものと思われる縦に筋状の線が入っています。
この様なムラによる筋も、味わい深さを醸し出しています。
ラングラーの111MJは、リーバイスのファーストやセカンド、Leeの101-Jとは、異なる特徴、持ち味を持っています。
111MJは、後発のラングラーが、強力なライバルであるリーバイスとLeeの間に割って入るための戦略的製品であり、野心作だと思います。
また、この様な凝った仕様は、口数もかかり、大量生産には適しません。
50年代の古き良きアメリカの時代が生んだ製品であることを物語っています。
111MJは、当時の新進デニムブランド、ラングラーが生んだ名作の一つです。
関連ブログ記事:
[Wrangler 誕生の背景とヴィンテージ ラングラー ジージャンの特徴 ##link##]
ラングラーは、リーバイスやLeeの様な会社名ではなく、ブルーベル社のウエスタン衣類(の特にデニム製品に特化した)ブランドです。ブルーベル社は、ワークウェアの衣料品のメーカーです。
戦後、世の中が大きく変化していく中で、ブルーベルが新たに立ち上げたジーンズ専用の製品ラインのラングラーは、Leeとリーバイスの間に割って入る戦略的なブランドでした。
Wranglerは、『働くカウボーイ』の意味です。
ブルーベルは、ラングラーブランドを立ち上げるため、ロデオスターやウエスタンムービーの衣装デザイナーとして知られたロデオ・ベンを採用し、カウボーイに対象を絞った製品の開発を始めました。
そして、最初に誕生したジーパンが11MW、ジージャンが11MJです。
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ラングラーのジージャンは、Leeやリーバイスとは対象的に細いデザインや仕様を頻繁に変更しているのが特徴の一つです。
上で紹介したカタログの写真で着用しているジェケットも右は通称丸カンと呼ばれるカンヌキでプリーツを固定しているのに対して、左はリーバイスのファースト・セカンドの様に長方形のボックスステッチの仕様になっています。
胸ポケットの位置、ポケットに入れられるサイレントWの形状も異なります。
チーフデザイナーのロデオ・ベンは、カスタムテイラー・衣装デザイナーなので、随時、必要に応じて細い変更などを加えていくのは、妥当な流れだと思います。
また、細い仕様をこまめに変えていくことが、ライバルに対する差別化にもなっていると思います。
ラングラー111MJ
下の画像は、ラングラーの第一世代のジージャン111MJ、通称ファーストと呼ばれる50年代のラングラーのジージャンです。
![]() |
1950年代ラングラー 111MJ |
外観上、目を引くのは、丸カンと呼ばれるプリーツを固定する円状のバータックです。
リーバイスのファーストやセカンドのボックスステッチは、ステッチが切れたりしやすいです。
丸カンは、切れたり外れたりすることはまずありません。また、外観上のデザインアクセントとしても有効です。
ボタンもリーバイスやLeeの銀色に対して、銅色です。
胸ポケットは、スナップボタンを採用しています。
カフスも同様にスナップボタンです。
リーバイスは、キッズ向けの製品にはスナップボタンを採用していますが、メンズやレディースの製品は、通常のボタンホールで留める仕様です。
ラングラーは、スナップボタンを積極的に採用しています。
剣ボロの付け根の固定・強化はリベットを使用しています。リベットは、馬の鞍などを傷つけない様に表面がなめらかな形状になっています。
背中の肩口には、アクションプリーツと呼ばれる、プリーツが設けれています。
このプリーツは内側から、ゴムで引き込まれています。
このアクションプリーツによって、見た感じは細くフィットしていながら、腕を動かしやすい構造になっています。
非常に凝っていて、生産する上でも手間がかかっています。
背中側の左右の腰脇にアジャスターベルトが付いています。
ラングラーは、脇に二つのベルトによるサイズ調整です。実用面、機能面ではこちらの方が優れていると思います。
50年代のラングラーの製品は、左綾のデニムを使用しています。
生地の色味、風合いも特有のものがあります。
古い年代のデニムは織傷や織むらがあるのが特徴の一つです。本品も部分的に織ムラによるものと思われる縦に筋状の線が入っています。
この様なムラによる筋も、味わい深さを醸し出しています。
ラングラーの111MJは、リーバイスのファーストやセカンド、Leeの101-Jとは、異なる特徴、持ち味を持っています。
111MJは、後発のラングラーが、強力なライバルであるリーバイスとLeeの間に割って入るための戦略的製品であり、野心作だと思います。
また、この様な凝った仕様は、口数もかかり、大量生産には適しません。
50年代の古き良きアメリカの時代が生んだ製品であることを物語っています。
111MJは、当時の新進デニムブランド、ラングラーが生んだ名作の一つです。
関連ブログ記事:
[Wrangler 誕生の背景とヴィンテージ ラングラー ジージャンの特徴 ##link##]
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