リーバイスの資料や販促品は、それらの年代・時代特有の表記、特徴があります。
1939年に制作され配布されたリーバイスのパンフレットの記載内容と特徴を紹介し、考察を行います。
1939年に制作され配布されたリーバイスのパンフレットの記載内容と特徴を紹介し、考察を行います。
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1939年に制作・配布されたリーバイス・パンフレット |
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左側にオーバーオール(ジーンズ)のイラストがあります。シンチバック付きです。レザーパッチ、アーキュエットステッチ、そして、1936年に追加された赤タブも描かれています。
1937年以前までのリーバイス・オーバーオール(501XX)のバックポケットには、フロントと同じ様にリベットがむき出しで取り付けられていました。
1937年以前までのリーバイス・オーバーオール(501XX)のバックポケットには、フロントと同じ様にリベットがむき出しで取り付けられていました。
バックポケットのリベットによって、サドル、車のシート、家具などに傷が付くとのユーザーからの苦情、不満を受けたため、リベットの上からポケットのデニム生地をかぶせる様にして覆う構造の隠しリベットを考案し、1937年に隠しリベットを使用したオーバーオールを発表、発売開始しました。
上の販促品の記載画像の中でも、オーバーオールのイラストに矢印のCONCEALED COPPER RIVETS(隠しリベット)で示し、さらにLEVI'Sの下にも、WITH CONCEALED RIVETS ON BACK POCKETSと記載されています。
リーバイスは、隠しリベット考案後、直ちに特許を出願したと思われ、1937年以降の販促品では、特許取得を意味する”PATENTED CONCEALED COPPER RIVET"の記載がされているものもあります。
上の資料では、説明に特許取得の記載があります。
"ONLY LEVI"S have these patented back-pocket rivets that WON'T SCRATCH CHAIRS, AUTO SEATS, or SADDLES."
(リーバイスだけが、これら特許取得した椅子、車のシート、またはサドルを傷つけないバックポケットのリベットを備えています。)
30年代後半のリーバイスの販促品や資料の中で、隠しリベットが、大きくハイライトされているものが多いです。
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1937 Levi's Counter Card, LS&Co. Archive |
昔のリーバイスの資料・販促品では501の名前は使われない
501の名前をリーバイスが積極的に使用し、ブランディングを行ったのは、1980年代以降です。それ以前は、リーバイスの資料の中で501の名前が登場することは非常に稀(ほぼ皆無)です。
上記販促品などの記載にも、501や501XXと言った名前は一切登場しません。イラストのオーバーオールは、もちろん当時の501です。
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- ##hand-o-right## 備考
- 1970年代以前、リーバイスは501のことを単に"LEVI'S"、または、"LEVI'S OVERALL(S)"と呼んでいました。
本物のリーバイスの証・特徴
冒頭の画像のパンフレットの中で、"WATCH FOR THESE MARKS OF GENUINE LEVI'S" (本物のリーバイスを示すマークにご注目下さい)の記載があり、以下が本物のリーバイスの証・識別できる特徴であると書かれています。
1. Two horse brand leather label (ツーホースブランドの革パッチ)
2. Oilcloth ticket (オイルクロスのギャランティーチケット)
3. Red tab sewed in back-pocket seam (バックポケットに縫い付けられた赤タブ)
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- ##hand-o-right## 備考
- アーキュエットステッチもリーバイスの伝統的特徴だったのですが、リーバイスはアーキュエットの商標登録をしていなかったため、他社のジーンズもアーキュエットステッチを備えたジーンズを製造販売していました。リーバイスは、1944年にアーキュエットステッチの商標登録を取得しています。
全米にリーバイスの拠点があることをアピール
1930年代は、西部劇映画が人気となり西部文化が全米に広まり普及した時代です。しかし、リーバイスのビジネスは西海岸が中心でした。
冒頭で紹介した1939年のパンフレットの下部に書かれている会社名にご注目ください。
LEVI STRAUSS &CO., Chicago, Los Angeles, SAN FRANCISCO, Frankfort, Ind., New York
(リーバイ・ストラウス&CO.、 シカゴ、ロスアンジェルス、サンフランシスコ、インディアナ州フランクフォート、ニューヨーク)
西部・サンフランシスコだけでなく全米に拠点を構えていることを強調しています。
このように販促品、一つでも記載内容から、当時のリーバイスの特徴、状況、取り組み、ブランディング手法、時代背景などが示されていて、とても興味深いです。
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