本年1月5日に発表された501CTについて、発表後、続けて記事を投稿しました。今回は、501CTについて私の個人的な意見を書きます。
私が501CTを知ったのは昨年11月19日と20日に行われたリーバイスジャパン開催のリーバイス2015年春夏展示会においての501CT発表のニュース記事でした。
(写真: Apparel Business Magazineより引用)
その記事を読んだ時、正直に言って、『一体、リーバイスジャパンはどこまで501と言うブランドを傷つければ気がすむんだ。。。』とあきれかえるような気持ちになりました。
リーバイスジャパンは2013年の初めに新モデルの501を発表した時に「ジーンズ生誕から140周年、501®が変わる」とのコピーを使い盛んに宣伝していました。
服や靴などのファッションアイテムには定番と呼ばれる製品・モデルがあります。
下は定番についてのWikipediaの説明です。
一般的に流行に左右されない、昔から変わらない製品が定番と言われます。501は定番アイテムの典型的な存在です。恐らく、現存するファッションアイテムの中でも最も歴史のある品番(の一つ)です。
定番品が流行することもあります。しかし、それはその製品が流行のスタイルに合わせたのではなく、その定番が持っている特徴・スタイルが流行となっただけです。
変わらないことが定番の持ち味であり特徴です。ファッションアイテムの中の超定番である501に対して、”変わる”という言葉を強調することは、定番の持ち味を希薄にさせることです。
もちろん、長い期間の間に、定番品も変わることはあります。しかし、変わった後、新しい仕様・特徴をその後長期に渡って維持するのが通例です。
実際のところ501は、時代の流れ・流行の影響を多少受けて微妙にシルエットや股上の深さに変更が加えられています。しかし、それは極端なものではありません。
定番に対して”変わる”という言葉を使うことは、リスクも伴うので、余程の理由がなければ使うべきことではないと思います。
リーバイス・ジャパンの501 2013モデルの場合は、シルエットは基本的にストレートであり、”変わる”とのコピーはあっても、実質的にはそれほど大きな変更ではありませんでした。
2013モデル自体は、ユーザー間でシルエットを高く評価する声も多く耳にします。製品自体のコンセプトは良いと思っています。しかし、リーバイスジャパンのマーケティング・ブランディングに対して、私は否定的な印象を持っています。
話を戻して、501CTの発表を目にした時、『同じようなことを懲りずに繰り返すのか!一体、何を考えているんだ!!』と憤慨するような気持ちになりました。
昨年、ブログに501CTのことを書こうかと思ったのですが、どうしても否定的な内容になってしまうので、記事を書くことを止めました。
人はそれぞれ異なる意見、考え方をします。自分と異なる考え方に対して異を唱える場合、建設的な内容・趣旨であれば書くのも良いと思っています。しかし、501CTに関しての話は、私には建設的に書くことができないと思いました。
『迷走するリーバイスジャパンが、また訳のわからないことをしている。そのことに対して、あえて書く必要もない。』と言った様な結論に至りました。
ところが、年明け早々に、リーバイスジャパンでなくリーバイス本社が501CTを大々的に発表しました。
まさか、米国リーバイス本社が501CTを投入するとは、思いもよりませんでした。さらには、501の発表の仕方、過去に事例がないほどの力の入れ方を見て、驚きました。
これはブログに書かざるを得ないと思い、いくつかの関連記事を投稿しました。
『なぜ、リーバイス本社は501CTを投入することにしたのだろう?なぜ、これほどまでに力を入れるのだろう?』と思いました。
自分の価値観、観念に拘っていると、他の考えが理解できなくなりがちです。そのため、できるだけ客観的に考えようと思いました。
501CT製品化の理由として、まず頭に浮かんだのは、『501のテーパードを求める人もいる。』ことでした。
厳密に言えば、501を含む現代のストレートシルエットのジーンズは、多少なりともテーパードはかかっています。
実際のところ、ストレートのシルエットはテーパードが全くかかっていないと裾が広がるように見えます。この純粋なストレートのシルエットは、ヴィンテージ501XXの特徴です。
(注:復刻品は、オリジナルの501XXのシルエットを模倣(再現)していません。)
軽くテーパードを入れることで、着用時自然なストレートシルエットになります。
ストレートでも気持ち少し強めにテーパードをかけると、足元がスッキリします。比較的最近の表現で言うところの『シュッとする』シルエットです。
70年代頃の501や昔の505もストレートで少し強めのテーパードでした。しかし、ストレートシルエットの範疇の中での話です。
下の写真は1970年代の501、通称”66前期”前期です。66はテーパードが(ストレートの範疇内で)比較的強めに入っています。
発表時の情報によると501CTは裾を6cm細くしたテーパードとのことです。”裾を6cm細く”はかなり強いです。
現在発売中の501CTの裾幅の実際の数値は不明ですが、ストレートシルエットの範疇を超えている様に見えます。
実際、CTはカスタマイズ・テーパードなので、テーパードが大きな特徴です。
501のテーパードを求める人もいると思うので、それらの人たちからは501CTは歓迎されるかもしれません。
しかし、501の品番を冠した製品は、ストレートシルエットであるべきだと言うのが私の考えです。ジーンズの特徴と選択する上で、シルエットは大きな要素・判断材料となります。
現代のジーンズのシルエットは、代表的なものでストレート、スリム、スキニー、リラックス、ブーツカット等に分類されます。
通常、ジーンズは品番とシルエットの関連性が高いです。例として、リーバイスにおいて、501や505はストレート、510はスキニー、511はスリム、517はブーツカット、550はリラックスと言うように分類しています。
下は米リーバイスのオンラインストアのジーンズのフィットガイドの画像です。
こちらは、上の画像の501 Originalの商品説明の拡大したものです。
ストレートシルエットの501の特徴として、以下の様に表示されています。
これが501の特徴です。膝からくるぶしまでテーパードがかかったものは、501の特徴と異なります。
ラインエクステンションは、新しい市場の流れや嗜好に対応した製品に既に確立されたブランド名を使用するものです。
知名度のあるブランド名を使うので、短期的には販売する上でも効果があります。ラインエクステンションの製品は、市場投入当初は好調な売り上げを上げることが通例です。
しかし、長期的にはそのブランドの特徴等が希薄になってしまう弊害があります。過去にラインエクステンションによって、ブランド価値が落ちてしまったもの、市場から姿を消した事例はたくさんあります。
501CTはラインエクステンションです。70年代にベルボトムが大流行した時に、もしも、リーバイスが501BTMなどという名前でフレアのシルエットの501を出していたら、501は今日存在しなかったかもしれません。また、存在していたとしても501のブランド価値は落ちていた可能性が高いです。
501のテーパードのニーズはあると思います。しかし、501の派生版・カスタムとしてメーカーがやるべきことではないと思います。
カスタムは従来通り、アフターマーケット・ユーザー側に任せるべきだと思います。
もしも、リーバイスが501のテーパード版を作るのであれば、501でなく別の品名を使うべきと言うのが私の意見です。
501CTの市場の評価がとても気になります。個人的には、もっても数年でなくなると予想しています。しかし、私が恐れているのは、ある程度評価されて、ラインの一つとして定着することです。
実際、どうなるのかとても気になっています。
私が501CTを知ったのは昨年11月19日と20日に行われたリーバイスジャパン開催のリーバイス2015年春夏展示会においての501CT発表のニュース記事でした。
(写真: Apparel Business Magazineより引用)
その記事を読んだ時、正直に言って、『一体、リーバイスジャパンはどこまで501と言うブランドを傷つければ気がすむんだ。。。』とあきれかえるような気持ちになりました。
リーバイスジャパンは2013年の初めに新モデルの501を発表した時に「ジーンズ生誕から140周年、501®が変わる」とのコピーを使い盛んに宣伝していました。
服や靴などのファッションアイテムには定番と呼ばれる製品・モデルがあります。
下は定番についてのWikipediaの説明です。
定番(ていばん) - 主に小売業界、ファッション業界などで使われる用語で、流行や情勢にかかわらず安定した売り上げを確保できる商品のこと。商品番号(品番)が一定であることに由来する。これが転じて一般に広まり、当たり前となっていること、決まりきっていること全般を指すようになる。ファッションは流行があります。時代、年代ごとに様々なものが流行します。次々と新しい流行が誕生し、流行に合わせた製品も続々と作られます。
一般的に流行に左右されない、昔から変わらない製品が定番と言われます。501は定番アイテムの典型的な存在です。恐らく、現存するファッションアイテムの中でも最も歴史のある品番(の一つ)です。
定番品が流行することもあります。しかし、それはその製品が流行のスタイルに合わせたのではなく、その定番が持っている特徴・スタイルが流行となっただけです。
変わらないことが定番の持ち味であり特徴です。ファッションアイテムの中の超定番である501に対して、”変わる”という言葉を強調することは、定番の持ち味を希薄にさせることです。
もちろん、長い期間の間に、定番品も変わることはあります。しかし、変わった後、新しい仕様・特徴をその後長期に渡って維持するのが通例です。
実際のところ501は、時代の流れ・流行の影響を多少受けて微妙にシルエットや股上の深さに変更が加えられています。しかし、それは極端なものではありません。
定番に対して”変わる”という言葉を使うことは、リスクも伴うので、余程の理由がなければ使うべきことではないと思います。
リーバイス・ジャパンの501 2013モデルの場合は、シルエットは基本的にストレートであり、”変わる”とのコピーはあっても、実質的にはそれほど大きな変更ではありませんでした。
2013モデル自体は、ユーザー間でシルエットを高く評価する声も多く耳にします。製品自体のコンセプトは良いと思っています。しかし、リーバイスジャパンのマーケティング・ブランディングに対して、私は否定的な印象を持っています。
話を戻して、501CTの発表を目にした時、『同じようなことを懲りずに繰り返すのか!一体、何を考えているんだ!!』と憤慨するような気持ちになりました。
昨年、ブログに501CTのことを書こうかと思ったのですが、どうしても否定的な内容になってしまうので、記事を書くことを止めました。
人はそれぞれ異なる意見、考え方をします。自分と異なる考え方に対して異を唱える場合、建設的な内容・趣旨であれば書くのも良いと思っています。しかし、501CTに関しての話は、私には建設的に書くことができないと思いました。
『迷走するリーバイスジャパンが、また訳のわからないことをしている。そのことに対して、あえて書く必要もない。』と言った様な結論に至りました。
ところが、年明け早々に、リーバイスジャパンでなくリーバイス本社が501CTを大々的に発表しました。
まさか、米国リーバイス本社が501CTを投入するとは、思いもよりませんでした。さらには、501の発表の仕方、過去に事例がないほどの力の入れ方を見て、驚きました。
これはブログに書かざるを得ないと思い、いくつかの関連記事を投稿しました。
『なぜ、リーバイス本社は501CTを投入することにしたのだろう?なぜ、これほどまでに力を入れるのだろう?』と思いました。
自分の価値観、観念に拘っていると、他の考えが理解できなくなりがちです。そのため、できるだけ客観的に考えようと思いました。
501CT製品化の理由として、まず頭に浮かんだのは、『501のテーパードを求める人もいる。』ことでした。
厳密に言えば、501を含む現代のストレートシルエットのジーンズは、多少なりともテーパードはかかっています。
実際のところ、ストレートのシルエットはテーパードが全くかかっていないと裾が広がるように見えます。この純粋なストレートのシルエットは、ヴィンテージ501XXの特徴です。
(注:復刻品は、オリジナルの501XXのシルエットを模倣(再現)していません。)
軽くテーパードを入れることで、着用時自然なストレートシルエットになります。
ストレートでも気持ち少し強めにテーパードをかけると、足元がスッキリします。比較的最近の表現で言うところの『シュッとする』シルエットです。
70年代頃の501や昔の505もストレートで少し強めのテーパードでした。しかし、ストレートシルエットの範疇の中での話です。
下の写真は1970年代の501、通称”66前期”前期です。66はテーパードが(ストレートの範疇内で)比較的強めに入っています。
発表時の情報によると501CTは裾を6cm細くしたテーパードとのことです。”裾を6cm細く”はかなり強いです。
現在発売中の501CTの裾幅の実際の数値は不明ですが、ストレートシルエットの範疇を超えている様に見えます。
実際、CTはカスタマイズ・テーパードなので、テーパードが大きな特徴です。
501のテーパードを求める人もいると思うので、それらの人たちからは501CTは歓迎されるかもしれません。
しかし、501の品番を冠した製品は、ストレートシルエットであるべきだと言うのが私の考えです。ジーンズの特徴と選択する上で、シルエットは大きな要素・判断材料となります。
現代のジーンズのシルエットは、代表的なものでストレート、スリム、スキニー、リラックス、ブーツカット等に分類されます。
通常、ジーンズは品番とシルエットの関連性が高いです。例として、リーバイスにおいて、501や505はストレート、510はスキニー、511はスリム、517はブーツカット、550はリラックスと言うように分類しています。
下は米リーバイスのオンラインストアのジーンズのフィットガイドの画像です。
こちらは、上の画像の501 Originalの商品説明の拡大したものです。
ストレートシルエットの501の特徴として、以下の様に表示されています。
- 膝からくるぶし(裾)までストレート
- ヒップから腿までストレート
- ウエストにとどまる
これが501の特徴です。膝からくるぶしまでテーパードがかかったものは、501の特徴と異なります。
あるブランド名の下に異なる特徴を持つ派生版を加える手法があります。それをマーケティング用語では、ラインエクステンションと呼びます。
ラインエクステンションは、新しい市場の流れや嗜好に対応した製品に既に確立されたブランド名を使用するものです。
知名度のあるブランド名を使うので、短期的には販売する上でも効果があります。ラインエクステンションの製品は、市場投入当初は好調な売り上げを上げることが通例です。
しかし、長期的にはそのブランドの特徴等が希薄になってしまう弊害があります。過去にラインエクステンションによって、ブランド価値が落ちてしまったもの、市場から姿を消した事例はたくさんあります。
501CTはラインエクステンションです。70年代にベルボトムが大流行した時に、もしも、リーバイスが501BTMなどという名前でフレアのシルエットの501を出していたら、501は今日存在しなかったかもしれません。また、存在していたとしても501のブランド価値は落ちていた可能性が高いです。
501のテーパードのニーズはあると思います。しかし、501の派生版・カスタムとしてメーカーがやるべきことではないと思います。
カスタムは従来通り、アフターマーケット・ユーザー側に任せるべきだと思います。
もしも、リーバイスが501のテーパード版を作るのであれば、501でなく別の品名を使うべきと言うのが私の意見です。
501CTの市場の評価がとても気になります。個人的には、もっても数年でなくなると予想しています。しかし、私が恐れているのは、ある程度評価されて、ラインの一つとして定着することです。
実際、どうなるのかとても気になっています。
インスタグラムで着画が上がってきてます。
返信削除http://iconosquare.com/p/892324152764550546_2835530
http://iconosquare.com/p/899815068974125152_33994035
あり得ないくらいのテーパードです!
オカマちゃんが履いてそうなジーンズ。
コメントと情報ありがとうございます。確かにテーパードがかなりきついですね。CTのTはテーパードなので、当たり前とも言えますが。(笑)
返信削除私はこの様な仕様のジーンズをリーバイスが販売することについては、全く異論はないのですが、501の名前を使うのだけはやめて欲しいと思っています。
CTのメインターゲットは女性だと想像しているのですが、逆にメンズの方が(そこそこ)売れているのかもしれませんね。
このコメントは投稿者によって削除されました。
返信削除早川悠久さん、
返信削除コメントありがとうございます。
ジーンズは人それぞれ好み、考え方が異なります。501CTを気に入っている人もたくさんいます。特に日本ではそうだと思います。
仰るように501CTを気に入っている理由として、型番が「ゴーマルイチ」であることも含まれている場合があるかと思います。メーカーのリーバイスの販売戦略としても、501というブランドを活用したいという意図があると思います。そして、それは短期的には確実に効果があります。
しかし、ブランディングという綿では長期的に見た場合、501という歴史あるジーンズのモデルの定義が希薄になっていく可能性があります。将来のことは誰もわからないので、実際どうなるかは分かりません。
普遍的な存在と思われたストレートシルエットの501が廃れて、テーパードシルエットの501CTが501になっている可能性もあります。(シルエットは流行があるので、ストレートが完全に無くなることは無いと思いますが)もしも、そうなれば501CTは501の進化したモデルとしてさらに認知され、現在の経営陣は501を変える英断をしたとして歴史的にも評価されると思います。
貴重なコメントありがとうございました。