1950年代の後半頃からジーンパンやジージャンは、若者を中心とした一般顧客層に急速に普及していきました。
東海岸の若者たちの間では、Lee 101-Jや101-Jと同じデザインで茶色やオフホワイトの生地のウエスターナーが人気を得ていました。
50年代後半から60年代前半のウエスタンムービーでも、デニム系のジャケットでは、Lee 101-J、ストームライダー、そして、ウエスターナーなどが目立ちます。
関連ブログ記事:
ヴィンテージ・ジージャンが登場する50年代後半-60年代前半の映画
Lee 101-Jのデザインがカウボーイから一般顧客層まで、広く受け入れられてきていたと思われます。
1950年代の終わり頃から1960年代の始め頃にかけては、昔ながらのクラシックなデニムジャケットのデザインのリーバイス 507xxは、時代遅れの感が出てきていたのではないかと推測します。
この時期、Lee 101-Jの売り上げは、リーバイス 507xxを大きく上回っていたとの話を聞いたことがあります。
もしそうだとしても、決して不思議ではないと思います。
リーバイス社としても、時代の流れに適応した新しいジャケットデザインの開発は、最重要課題の一つだったと推測します。
そして、リーバイスは1962年頃に新しいデニムジャケット557xxを発表します。
下は、最初期の557xx ギャラ入りです。
557xxは、前モデルの507xxから、大幅な外観のデザイン変更を行っています。
以下、507xxから557xxへの主な変更点です。
557xxは、リーバイスの苦悩・気合が込められた作品であること、随所に60年代を強く感じさせるものを持っていると思います。
関連ブログ記事:
1950年代 Lee 101-Jとリーバイス 507xxの比較
明暗を分けた60年代から70年代にかけてのLeeとリーバイス
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1950年代の終わり頃から1960年代の始め頃にかけては、昔ながらのクラシックなデニムジャケットのデザインのリーバイス 507xxは、時代遅れの感が出てきていたのではないかと推測します。
この時期、Lee 101-Jの売り上げは、リーバイス 507xxを大きく上回っていたとの話を聞いたことがあります。
もしそうだとしても、決して不思議ではないと思います。
リーバイス社としても、時代の流れに適応した新しいジャケットデザインの開発は、最重要課題の一つだったと推測します。
そして、リーバイスは1962年頃に新しいデニムジャケット557xxを発表します。
下は、最初期の557xx ギャラ入りです。
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557xx ギャラ入り |
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507xx |
- フロントプリーツの廃止
- 剣ボロの取り付け強化をリベットからバータックへ変更
- 外側ではなく内側から生地を当てられた胸ポケット
- 胸ポケットからVの字状に入るステッチライン
- 大きなアームホール
これらの変更点は、Lee 101-Jの特徴を強く意識していることは明らかです。ある意味、101-Jに追随したデザイン変更とも言えます。
101-Jは、胸ポケットが内側に向って少し傾斜が入り、それによってフロントヨークも少し斜めに入っています。
557xxは、傾斜は入らず水平に近いのが違いですが、ポケットの構造などは、101-Jを模倣している感は否めません。
101-Jの胸ポケットからウエストバンドにかけて入れられる2本の平行ラインのステッチに対して、557xxは平行ではなく斜めでVの字状に入っています。
デザイン的なアプローチは一緒ですが、平行とVの字では、受ける印象は異なります。
アプローチは模倣しても、極力外観上は差別化を計ろうとしている印象を受けます。
ポケットの取り付け方、バータックの入れ方も、101-Jを模倣しているのは明らかです。
それだけ101-Jのデザイン構造の完成度が高いとも言えます。
ポケットの構造などのアプローチは同じですが、形状が異なります。
101-Jは曲線を描くような角を取った柔らかいラウンド状のポケットの形です。
一方、557xxはエッジを効かしたシャープなスタイルのポケットの形です。
ポケットの形状とポケットから入るVラインの調和が良く取れています。
101-Jを模倣しながらも、外観から受ける印象を極力異なるように努めたリーバイスの苦肉の策が生み出した好デザインの産物とも言えます。
557xxの剣ボロの付け根の取り付け強化は、507xxで使用していたリベットからバータックに変更になっています。
ここも、101-Jを追随している感は否めません。
後ろのデザインも、507xxとは異なり、縦にヨークが入ります。
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507xx |
557xxの後ろです。
![]() |
557xx ギャラ入り |
こちらは、Lee 101-Jです。
![]() |
Lee 101-J 赤タグ |
この様に各部の特徴、デザインを見比べると、リーバイス サードは、Lee 101-Jの影響を強く受けてデザインされたことは明らかです。
1950年代から1960年代にかけて、アメリカ社会、人々の嗜好は、急激に変化しました。
時代の大きな波に乗り遅れることは、企業として致命傷となりかねない逼迫した状況に、リーバイスはいたと思われます。
なりふり構わず真似し、しかしながら、外観上、類似したデザインであることを極力感じさせない様にした苦心作とも言えます。
結果的に、1960年代、リーバイスの製品は、時代の流れに乗って、若者を中心とした一般層へ浸透し、急速に売り上げを伸ばしました。
そして、557xxの基本的なデザインコンセプトを継承しながら、よりリファインされた70505が誕生します。
557と70505のデザインは、トラッカージャケットと呼ばれる現代の標準的なデニムジャケットとなっています。
追い詰められたリーバイスが、生み出した苦心作557xxは、結果的に現代のジージャンの元祖ともいえるべき存在となりました。
60年代の初め頃まで、Leeは順調だった様ですが、60年代の大きな時代の変化の波にうまく乗ることができず、Leeは1969年に吸収合併されました。
70年代以降もリーバイスは、順調に事業を伸ばしましたが、Leeはさらに失速してしまいました。
結果論になってしまいますが、Leeは時代を完全に先取りしたあまりにも完成度の高い101-Jの様な製品を持っていたため、新製品開発や時代の変化への対応が逆に遅れてしまったことも一因としてあるのではないかと思います。
その様なことを考えながら、557xxと101-Jを見比べたり、着たりするのも興味深いものがあります。
製品的には、557xx、101-J共に本当に魅力的です。
70505は、557xxと似たデザインですが、生地の色味、風合い、ステッチの色合い、醸し出す雰囲気が大きく違います。
557xxは、リーバイスの苦悩・気合が込められた作品であること、随所に60年代を強く感じさせるものを持っていると思います。
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