ヴィンテージリーバイスのジージャンは、ある程度の期間ごとにモデルチェンジが行われています。一方、Leeのジージャンは基本的に同一のデザインで長年製造されました。
今回は1950年代のLee 101-Jとリーバイス 507xxの特徴や各部のサイズを比較してみます。
先にLee 101-Jから紹介します。
通称赤タグと呼ばれているタグが付いている1950年代のモデルです。サイズ表記は40です。
基本的なデザインは変わりませんが、年代による使用デニムの色味、風合いなどから受ける印象は、かなり異なります。
リーバイスの同一モデルでも、生地の色味、色落ち、風合いによって受ける印象は大きく異なります。
こちらは、リーバイス 507xxです。通称セカンドとも呼ばれています。
ほとんど着用感のないコンディションです。パッチは取り外されていますが、ディテールから革パッチと判定しています。
507xxは、大きく分けて紙パッチと革パッチに分かれます。明確に分けることはできませんが、生地の色味・風合いの傾向も革と紙で異なります。
507xxが登場したのは、1953年です。革パッチの507xxは、1950年代の製品です。
507xxが登場したのは、1953年です。革パッチの507xxは、1950年代の製品です。
本品は、実際に見ると、黒みがかった独特の色味です。
507xxは、前立ての両脇にプリーツが入り、左右各縦に3箇所プリーツを固定する細長い長方形状のステッチが入れられているが外観の特徴の一つです。
プリーツは、1800年代後半の最初期のデニムジャケットでも存在が確認されている古くからある伝統的なディテールです。
ポケットは両胸に二つ、ジーンズのバックポケットと同様にポケット型の本体と同じデニム生地を外側から縫い付けて取り付けられています。
左胸ポケット脇には、赤タブが付きます。
こちらは、101-Jの左胸ポケット付近の写真です。
ポケットは、両胸に二つですが、内側からポケットの生地を縫い付けています。
ポケットの入り口、フラップは、フロントヨーク(生地の繋ぎ)と一体になっています。
ポケットの入り口は、反対側の手から物を出し入れしやすいように内側に少し傾いています。
それによって、フロントヨークも少し傾斜が入ります。
また、ポケット部からウエストバンドにかけて2本の平行ラインのイエローのステッチが縦に入りアクセントとなっています。
また、ボタンホールのステッチもイエローで、さらにボタンホールの間に斜めにジグザグにステッチが入れられています。
カフスの剣ボロの付け根は、取り付け強化にバータックが入れられています。
507xxのカフス部の取り付け強化は、リベットを使用しています。
506xxのシンチバックから、507xxでは両脇後ろのウエストバンドにアジャスターベルトとボタンでジャケット下部のサイズ調整を行う仕様に変更になりました。
バックヨークとウエストバンド部は、胴体部に少し生地にゆとりをもたせて、少しギャザーが入る造りになっています。
ウエストバンドのアジャスターベルトとボタンによるデザインは、101-Jの方が先です。
また、馬の鞍を傷つけないようにするため、アジャスターボタンの素材はプラスチックを採用しています。
101-Jは、バックヨークが直線でなく緩く弧を描くラインになります。また、左右の肩側から下にかけても生地の切り換え(繋ぎ)のヨークが縦に入るのが外観上の特徴です。
507xxと101-Jのデザイン、特徴
基本デザインは、101-Jの方が(はるかに)古いにも関わらず、デザイン的には新しく、洗練された印象を受けます。
一方、507xxは伝統を継承するクラシックなデザインです。
両者のデザイン、特徴を比較してみると、507xxは19世紀からある歴史あるデニムジャケットの前身であるプリーティッド・ブラウスの伝統を引き継いでいるのに対して、101-Jは洗練された現代でも標準的なデニムジャケットのデザイン、特徴を備えていることが良く分かります。
また、Lee 101-Jは、アジャスターベルトによるサイズ調整やポケットに傾斜を入れるなど機能性を考慮したデザインを備えるだけでなく、ステッチの色使いやアクセントなどファッション性をも考慮したデザインになっています。
507xxは、506xxの基本デザインに、右胸ポケットを追加し、シンチバックからウエストバンド上でアジャスターベルトによる調整への仕様変更しただけで、ファッション性はあまり(ほとんど)考慮されていないと思います。
そのクラシックなデザインが、現代では再び、新鮮で魅力的に見えるのも507xxの魅力の一つだと思います。
同年代のデニムジャケットでありながら、Lee 101-Jとリーバイス507xxは、それぞれ異なる特性・持ち味を持っているところが興味深いです。
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こんばんは、K,Hです。
返信削除今回のブログの内容も大変興味深いお話ですね。
リーとリーバイスですが
ジーンズでもそうですが、ジージャンも個性がありとても魅力的な製品になっていますね。
今度、製品の比較にラングラーも加えて頂けませんか?
K.H.さん、こんにちは。
返信削除コメントありがとうございます。市場において競争があることにより、より魅力的な製品が生み出されることの事例だと思います。ラングラーは、1950年代、リーバイスとLeeが競い合っている中に割って入ってきたのですから、本当に凄いと思います。
50年代から60年代前半ごろまでの、ラングラーのジージャンは、本当にここまでやるかという革新的、斬新なデザインです。物凄く凝ったデザインです。
ラングラーは、リーバイスとLeeとは、方向性がかなり違う(カウボーイ市場に完全に的を絞っている)ので、(と言っても、Leeの101-Jのデザインコンセプトは、完全にカウボーイ市場なので、基本的にはラングラーと同じです。)比較がしづらいところがあります。
少し考えてみます。
比較ではありませんが、ラングラーの初期のジージャンについて紹介した記事です。
Wrangler 誕生の背景とヴィンテージ ラングラー ジージャンの特徴
http://my-levis501.blogspot.com/2015/09/vtg-wrangler-denimjkt-features.html
K,Hです
返信削除いつもたわいもないコメントに、お返事ありがとうございます。
デニム三大ブランドの製品は
本当に魅力溢れるものばかりですね。
ラングラーですが20x
と言うブランド展開をしているみたいですが
どの様なコンセプトなのでしょうか?
K.H.さん、
返信削除私は現行のラングラーの特に新しいラインについては、知識はありません。ラングラーのサイトを見てみたところ、確かに、20xというラインがありますね。簡単な説明を読んだ印象としては、素早く乾いて(通気性が良い)、汗もかきづらいので、涼しくて快適というのが売りの様です。
大変恐縮なのですが、コメントは記事と関連性のあるものにして頂ければ幸いです。
近いうちにフォーラムサイトを立ち上げる予定なので、一般的なご質問や雑談などは、そちらでご参加いただければと思います。
誠に恐縮ですが、ご理解の程、よろしくお願いいたします。