テーパードシルエットの501CTの発表によって、リーバイス501についての関心が高まっているように思います。
リーバイス 501とは何か?について改めて考えてみました。
現在、性別年齢職業を問わず一般消費者に幅広く普及しているジーンズと呼ばれる製品は、アメリカのリーバイス社が発明したものです。
リーバイスが作った最初のジーンズ(当時の呼称オーバーオール)は当初XXと呼ばれていました。XXはアモスケイグ製のデニムの品名から名付けられたものです。
1890年にXXに、501の名前が与えられました。
501は、原型であるXXが誕生した1873年から(2015年から数えて)142年。501の名前が付けられてから125年の歴史がある衣料品として異例な程、長期間存在する意義深い製品であると言えます。
現在も生産されるリーバイスの501に備えられているフロントポケット部のリベット、バックポケットに入れられるアーキュエットステッチ、ボタンフライ、右後ろ上部に付けられているパッチは、1890年に501の原型である最初のジーンズ(当時の呼称はオーバーオール)XXから備えていた特徴的仕様です。
501はジーンズの原点、元祖です。501の歴史はジーンズの歴史でもあります。
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上で紹介したようにリーバイス501は非常に長い期間製造されてきている製品です。ジーンズは、デニム生地を使用したパンツですが、501にはリーバイスのジーンズであることを示す様々な特徴を備えています。
これらの特徴の多くは、現行モデルにも見られます。リーバイス501が、長い年月を経ても伝統的な特徴を継承していることの証でもあります。以下、501の主な特徴と辿ってきた道のりを紹介します。
1873年5月20日に、リーバイス社とJacob Davis氏は、パンツにリベットを使用する特許を取得します。
特許取得後、リーバイスはデニム生地にポケット部などの取り付け強化にリベットを使用したパンツの発売を開始します。
現在発売されている多くのジーンズのポケット部にはリベットが取り付けられています。
デニム生地を使用して、リベットがポケットに付いているのが、ジーンズの標準的仕様と言えます。
このデニム素材のパンツにリベットを付けることを考案し、特許取得後、製品化したのがリーバイスです。
下は現行USラインの501シュリンクトゥフィットの右ポケット部です。ポケットの両端に銅リベットが取り付けられています。
現在生産されるジーンズの多くは、この501と同様に前ポケットの両端にリベットが付いています。
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リーバイスのジーンズのバックポケットにはアーキュエット・ステッチと呼ばれる弓型のステッチが入れられているのが外観上の特徴の一つです。
アーキュエットは弓状の曲線のことです。日本では、かもめステッチとも呼ばれています。
下の写真は、現行の501シュリンクトゥフィットのバックポケット部です。
アーキュエットステッチは、一番最初に誕生したリーバイスのXXにも備えられていたと認識されています。
1873年、当時”ウエストオーバーオール”と呼ばれていた最初のジーンズとなるデニムパンツは、アーキュエットステッチが入った一つのバックポケット、両フロントポケットと左ポケット上にウォッチポケット、シンチ、サスペンダーボタンが主な外観上の特徴でした。
下の写真は世界最古と考えられているリーバイスのジーンズ(501)です。
最初期のジーンズの特徴である右側のみのバックポケット、シンチ、サスペンダーボタンがあります。
バックポケットにはアーキュエットステッチが入っています。右ポケットの上、ウエストバンドにレザーパッチが付いています。
尚、リーバイスがウエストオーバーオールの形を発明したわけではありません。
リーバイスが、当時のワークウェアの標準であったウエストオーボーオールのデザインにリベットを付け、デニムを使った製品を世に送り出し、その製品の特徴的仕様が後にジーンズと呼ばれる新しいパンツのカテゴリーになったのです。
最初のジーンズは、アモスケイグ製の9オンスのXXデニムを使用していました。
1886年にツーホースブランドのレザーパッチが、初めてウエストオーバーオールに取り付けられました。下は1887年のロゴのイラスト・広告です。
社名、その下に"PATENT RIVETED"(特許のリベットを使用)、中央にジーンズ(ウエストオーバーオール)両側に2頭の馬が引っ張るイラストです。
ツーホースのイラストの上に”It's no use they can't be ripped."(引っ張っても無駄です。裂けません。)のコピーが入っています。
パッチを付けた目的は、1890年頃にはリベットの特許が切れ、特許期限切れ後、競合他社がリベットを使用したパンツの生産を開始することを予想されていたため、リーバイスがリベットを使用したパンツの元祖であることを世に示すためでした。
1890年に特許の有効期限が切れた時期に時を同じくして、リーバイス社のウエストオーバーオール製品に501, 廉価版の製品に201のロット番号が与えられ、パッチにロット番号が記載されるようになりました。
下はリーバイス社のアーカイブの廉価版のウエストオーバーオール201のパッチです。
ツーホースマーク、その下に"PATENTED" "MAY 20 1873"、リベットの特許取得日の1873年5月20日が表示されています。
下は現行モデル501シュリンクトゥフィットのパッチです。
基本的なロゴのデザインコンセプトやリベット採用の元祖であること、特許取得日の記載等、表記内容はパッチ誕生から125年後も変わっていません。
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1901年に501のバックポケットは、左側にも追加され、後ろに二つ、前両側に二つ、右ポケット上部にウォッチポケット一つの合計で5個のポケットとなりました。
現代のジーンズの標準である5ポケットは、1901年の501が原型となっています。
リーバイスのジーンズの右バックポケット脇に、小さい赤色の布が取り付けられています。これは赤タブと呼ばれるものです。
30年代、当時、リーバイスのバックポケットにあるリーバイスを象徴するアーキュエットステッチは、トレードマークとして登録されていなかったため、競合他社もリーバイスのアーキュエットステッチに酷似したステッチをバックポケットに入れていました。
ロデオ大会などで、リーバイスのジーンズであることを識別するためのアイディアとして、1936年にリーバイスの営業マネージャーが赤いリボンをバックポケットに縫い付けることを考案して採用されました。
それ以来、赤タブはリーバイス製品の証として、ジーンズの右ポケット脇に取り付けられています。
下の写真は現行USラインの米国製501の右バックポケットの拡大写真です。左側に赤タブが付いています。
赤タブは、大きさは小さいですが、遠目で見ても結構目立ちます。アーキュエットステッチと赤タブはリーバイス製品であることを示す証です。
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ここまでに紹介してきた501が元である5ポケットのリベットが取り付けられたデニムパンツデザインは、現在生産される多くのジーンズにも採用されています。
また、アーキュエットステッチ、ツーホースマークのパッチ、赤タブはリーバイスのほとんどのジーンズが備えています。
現在、他のジーンズではあまり見られない501の特徴的な仕様はボタンフライであることです。
501の原型である最初のジーンズが誕生した1873年には、ジッパーはまだ存在しませんでした。誕生時、パンツはボタンフライが標準的な仕様でした。
現代のパンツはジーンズを含めて、ほとんど全てがジッパーを使用しています。
しかし、501はジッパーには移行せず、現行品もボタンフライのままです。
501がジッパーフライに移行せず、誕生時の仕様を継承し変わらずにボタンフライであることは、デザイン上だけでなく機能上も必要である理由があります。
伝統的に501は、生デニムと呼ばれる未加工のデニムを使用してきました。未加工のデニムは、洗濯すると大幅に縮みます。
この縮むデニムの特性を利用して、着用者の体にフィットさせることを、リーバイスはシュリンクトゥフィットと呼んでいます。
ジッパーはデニムが収縮すると故障してしまうので生デニムは使用できません。
つまり生デニムを使い続けるのであれば、ボタンフライである必要があります。
現行のリーバイス501は、防縮加工を施したデニム生地を使用しているモデルもありますが、昔ながらの501の特徴である生デニムを使用した製品もあります。
ジーンズが誕生した時は、生デニムしか存在しませんでした。1980年代頃までの501は生デニムのみを使用していました。
現在は防縮加工デニム使用の501も販売されていますが、生デニム仕様の501は、501ならではの伝統を継承しているモデルだと言えると思います。
生デニムを使用している現行ラインのモデルは以下になります。
- 501 シュリンクトゥフィット
- 501-1931 ロングデイ
- 501-1995 リジッドセルベッジ
[##check## 現行リーバイス・USライン お勧めモデル]
[##check## リーバイス USモデル 501STFの特徴]
リーバイス 501とは何か?について改めて考えてみました。
501とは?
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現行USライン リーバイス501STFのフラッシャー |
現在、性別年齢職業を問わず一般消費者に幅広く普及しているジーンズと呼ばれる製品は、アメリカのリーバイス社が発明したものです。
リーバイスが作った最初のジーンズ(当時の呼称オーバーオール)は当初XXと呼ばれていました。XXはアモスケイグ製のデニムの品名から名付けられたものです。
1890年にXXに、501の名前が与えられました。
501は、原型であるXXが誕生した1873年から(2015年から数えて)142年。501の名前が付けられてから125年の歴史がある衣料品として異例な程、長期間存在する意義深い製品であると言えます。
現在も生産されるリーバイスの501に備えられているフロントポケット部のリベット、バックポケットに入れられるアーキュエットステッチ、ボタンフライ、右後ろ上部に付けられているパッチは、1890年に501の原型である最初のジーンズ(当時の呼称はオーバーオール)XXから備えていた特徴的仕様です。
501はジーンズの原点、元祖です。501の歴史はジーンズの歴史でもあります。
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501が伝統的に備える仕様と歴史
上で紹介したようにリーバイス501は非常に長い期間製造されてきている製品です。ジーンズは、デニム生地を使用したパンツですが、501にはリーバイスのジーンズであることを示す様々な特徴を備えています。
これらの特徴の多くは、現行モデルにも見られます。リーバイス501が、長い年月を経ても伝統的な特徴を継承していることの証でもあります。以下、501の主な特徴と辿ってきた道のりを紹介します。
リベット特許取得とジーンズ誕生
1873年5月20日に、リーバイス社とJacob Davis氏は、パンツにリベットを使用する特許を取得します。
特許取得後、リーバイスはデニム生地にポケット部などの取り付け強化にリベットを使用したパンツの発売を開始します。
現在発売されている多くのジーンズのポケット部にはリベットが取り付けられています。
デニム生地を使用して、リベットがポケットに付いているのが、ジーンズの標準的仕様と言えます。
このデニム素材のパンツにリベットを付けることを考案し、特許取得後、製品化したのがリーバイスです。
下は現行USラインの501シュリンクトゥフィットの右ポケット部です。ポケットの両端に銅リベットが取り付けられています。
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現行リーバイス501STF 右フロントポケット部 |
関連記事:
[リベット取り付け特許発明者Jacob Davisについて ##link## ]
アーキュエットステッチ
リーバイスのジーンズのバックポケットにはアーキュエット・ステッチと呼ばれる弓型のステッチが入れられているのが外観上の特徴の一つです。
アーキュエットは弓状の曲線のことです。日本では、かもめステッチとも呼ばれています。
下の写真は、現行の501シュリンクトゥフィットのバックポケット部です。
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501STF 左バックポケット |
アーキュエットステッチは、一番最初に誕生したリーバイスのXXにも備えられていたと認識されています。
1873年、当時”ウエストオーバーオール”と呼ばれていた最初のジーンズとなるデニムパンツは、アーキュエットステッチが入った一つのバックポケット、両フロントポケットと左ポケット上にウォッチポケット、シンチ、サスペンダーボタンが主な外観上の特徴でした。
下の写真は世界最古と考えられているリーバイスのジーンズ(501)です。
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Photo from Levi Strauss & Co. |
バックポケットにはアーキュエットステッチが入っています。右ポケットの上、ウエストバンドにレザーパッチが付いています。
尚、リーバイスがウエストオーバーオールの形を発明したわけではありません。
リーバイスが、当時のワークウェアの標準であったウエストオーボーオールのデザインにリベットを付け、デニムを使った製品を世に送り出し、その製品の特徴的仕様が後にジーンズと呼ばれる新しいパンツのカテゴリーになったのです。
最初のジーンズは、アモスケイグ製の9オンスのXXデニムを使用していました。
ツーホース・ブランドマーク
1886年にツーホースブランドのレザーパッチが、初めてウエストオーバーオールに取り付けられました。下は1887年のロゴのイラスト・広告です。
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(Photo: Levi Strauss & Co. Archive) |
ツーホースのイラストの上に”It's no use they can't be ripped."(引っ張っても無駄です。裂けません。)のコピーが入っています。
1890年に特許の有効期限が切れた時期に時を同じくして、リーバイス社のウエストオーバーオール製品に501, 廉価版の製品に201のロット番号が与えられ、パッチにロット番号が記載されるようになりました。
下はリーバイス社のアーカイブの廉価版のウエストオーバーオール201のパッチです。
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(Photo: Levi Strauss & Co. Archive) |
下は現行モデル501シュリンクトゥフィットのパッチです。
基本的なロゴのデザインコンセプトやリベット採用の元祖であること、特許取得日の記載等、表記内容はパッチ誕生から125年後も変わっていません。
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現行リーバイス501STF パッチ |
[最も古い会社のロゴの一つ: ツーホース・マーク##link##]
[1900年代初めのリーバイスのサインがアリゾナで発見される! ##link##]
[1930年代のリーバイス・ツーホースロゴについての顧客の体験談 ##link##]
5ポケット
1901年に501のバックポケットは、左側にも追加され、後ろに二つ、前両側に二つ、右ポケット上部にウォッチポケット一つの合計で5個のポケットとなりました。
現代のジーンズの標準である5ポケットは、1901年の501が原型となっています。
ベルトループの追加
1922年、501にベルトループが追加されました。赤タブの追加
リーバイスのジーンズの右バックポケット脇に、小さい赤色の布が取り付けられています。これは赤タブと呼ばれるものです。
30年代、当時、リーバイスのバックポケットにあるリーバイスを象徴するアーキュエットステッチは、トレードマークとして登録されていなかったため、競合他社もリーバイスのアーキュエットステッチに酷似したステッチをバックポケットに入れていました。
ロデオ大会などで、リーバイスのジーンズであることを識別するためのアイディアとして、1936年にリーバイスの営業マネージャーが赤いリボンをバックポケットに縫い付けることを考案して採用されました。
それ以来、赤タブはリーバイス製品の証として、ジーンズの右ポケット脇に取り付けられています。
下の写真は現行USラインの米国製501の右バックポケットの拡大写真です。左側に赤タブが付いています。
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501-1995 フラッシャー |
関連記事:
[リーバイス赤タブ誕生80周年 ##link##]
[ビッグE赤タブの種類と年代について ##link##]
[70年代のスモールe赤タブの種類と考察 ##link##]
ボタンフライと生デニム
ここまでに紹介してきた501が元である5ポケットのリベットが取り付けられたデニムパンツデザインは、現在生産される多くのジーンズにも採用されています。
また、アーキュエットステッチ、ツーホースマークのパッチ、赤タブはリーバイスのほとんどのジーンズが備えています。
現在、他のジーンズではあまり見られない501の特徴的な仕様はボタンフライであることです。
501の原型である最初のジーンズが誕生した1873年には、ジッパーはまだ存在しませんでした。誕生時、パンツはボタンフライが標準的な仕様でした。
現代のパンツはジーンズを含めて、ほとんど全てがジッパーを使用しています。
しかし、501はジッパーには移行せず、現行品もボタンフライのままです。
501がジッパーフライに移行せず、誕生時の仕様を継承し変わらずにボタンフライであることは、デザイン上だけでなく機能上も必要である理由があります。
伝統的に501は、生デニムと呼ばれる未加工のデニムを使用してきました。未加工のデニムは、洗濯すると大幅に縮みます。
この縮むデニムの特性を利用して、着用者の体にフィットさせることを、リーバイスはシュリンクトゥフィットと呼んでいます。
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現行501Shrink-To-Fit フラッシャー |
つまり生デニムを使い続けるのであれば、ボタンフライである必要があります。
現行のリーバイス501は、防縮加工を施したデニム生地を使用しているモデルもありますが、昔ながらの501の特徴である生デニムを使用した製品もあります。
ジーンズが誕生した時は、生デニムしか存在しませんでした。1980年代頃までの501は生デニムのみを使用していました。
現在は防縮加工デニム使用の501も販売されていますが、生デニム仕様の501は、501ならではの伝統を継承しているモデルだと言えると思います。
生デニムを使用している現行ラインのモデルは以下になります。
- 501 シュリンクトゥフィット
- 501-1931 ロングデイ
- 501-1995 リジッドセルベッジ
[##check## 現行リーバイス・USライン お勧めモデル]
[##check## リーバイス USモデル 501STFの特徴]
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