80年代のデッドストック 米国製501のシュリンクトゥフィット、入手時の体験談をお知らせくださった女性のお客様から、新らたに入手した90年代501の糊落としで失敗してしまったとのご連絡を頂きました。
失敗から学ぶことは多いです。また、その失敗体験を共有することで他の方にも参考になればとのお考えで、ご連絡くださいました。
今回もご承諾いただいたので、ご連絡くださったメール文から引用紹介いたします。
80’s501は、4日穿いてみて、少し食べ物を付けてしまったので温水で優しく押し洗いと、コインランドリーの乾燥機を今度は30分かけてみました。
サイズの変化は、レングスが5㎜縮み、脚が少し縮んでさらに穿き心地が良いなあと感じています。
生地がとても好きです。
今年の日本の夏は以上に暑くて、毎日35度以上ありますので
室内でしか穿けないのが残念です。
しっかりして重厚感があるのに、しなやかな感じでずっと穿いていたいくらいです。
さて、新しく購入した90年代 501の糊落としで、思いがけない大失敗をしてしまいました・・・!
糊付きのほぼ新品を購入しましたが、内ポケットの白い生地が、経年保存の劣化でしょうか、黄色っぽい小さな点々が見られたので、糊落としの後に洗濯をすることにしました。
アルカリウォッシュというものが割と何でも強力な汚れまで落とす割りに、洗剤とは違うので使ってみようと思い立ちました。
アルカリウォッシュの説明です↓
同じように55℃のお湯をバスタブから7㎝位はったところに、小さじ大盛1杯ほどの量です。
1時間つけて、今度は自宅の洗濯機で、さらさという洗剤を入れて洗濯をしました。
その後は自然乾燥です。
乾いてみて、観察すると、新しかった紙パッチが無残な姿になっていたのです・・・
前後の写真を添付しますね。
(送っていただいた写真を編集して添付しています)
80年代の時もさらさは使いましたし、明らかに、アルカリウォッシュが原因かなと思っています。
調べてみると、アルカリウォッシュは生地が少しドライにパリッとするため、穿き皺が付きやすくてデニムに使うという人や革パッチなどには良くないという意見も見つけました。
90年代のは、紙のパッチですが、印刷が落ちてしまい、パッチの色もかなり褪せて所々白くもなっています。
リベットも、白いものがくっついて綺麗なブロンズではなくなってしまいました。
リーバイスは偽物もあるということも頭をよぎりましたが、今まで購入を検討している中でたくさん見てきたことを参考にこれは本物であると思っています。
パッチの綺麗さも私の中の購入するポイントであるのでショックでした!
他の方にも同じ失敗がないことを祈り、お知らせしようと思いました。
ちなみに、90年代 29インチのサイズ変化は
平置きW37㎝ L75.5cm から W35㎝ L70.5㎝でした。
乾燥機を使わなくても、温水の糊落としで縮むようでした。
生地は結構固いです。
穿いた印象は80’sの物と全然違い面白いです。
80’sはサイズが小さいせいもありますが、女性らしく見え、90’sレディース501にとても近い印象です。
90’sは、男の子っぽい印象で、どちらも気に入りました。
同じ501でも、この違いは面白く、コレクションするのは楽しいですね!
このような体験談は貴重で参考になるお話だと思います。
パッチのプリントが消失してしまったのは本当に残念なことと思います。お気持ち察します。
それにも関わらず、失敗談としてご説明を送付していただいたこと、感謝しております。
米国製501の生地は私も大好きです。穿き心地がとても良いですよね!フィットすると生地感の良さも体感しやすいと思います。
80年代501の持ち味・魅力を十分に理解して、気に入っていらっしゃるなと思いました。
パッチを見る限り本物です。
パッチのプリント消失については、やはりご推察の様にアルカリウォッシュを使用したことが関連していることは、ほぼ確実だと思います。
使用量もあまり多くないですし、どうしてなのか?という疑問は残ります。
浸け置きはアルカリ剤の洗濯では一般的です。しかし、今回の問題はパッチの印刷部とリベットなので、それらには、浸け置きは良くない可能性は考えられますね。
洗濯後の生地が硬いとのことですが、自然乾燥の場合、乾燥機使用と比べ、生地が硬めに仕上がる傾向があります。
お持ちの80年代と90年代の違いについてのご感想、穿いた印象が全然違うとのこと、そうですよね!
同じモデルでも、1サイズ違うとサイズ感、受ける印象はかなり異なります。
これは大まかな話なのですが、赤字の501表記の製品頃から、表記に対する実寸が大きくなったと認識しています。
つまり、表記では1サイズの違いですが、実寸は2サイズ近く違う。お書きになられている実寸だと2サイズまではなさそうですが、通常の1サイズ以上の差だと思います。
実寸のサイズ差に加えて、80年代後半(86年ごろ)のモデルは、特に少し細身のシルエットになっていることも、着用時の印象の差に大きく影響していると思います。
違いも楽しんでいらっしゃるようで、なによりと思っています。実際、501でも本当に違うので、穿きくらべて変化を楽しむことができますよね!
引用した体験談だけでも本当に参考になると思います。
ここからは、ご参考までにアルカリウォッシュについて調べてみました。
アルカリウォッシュ
は、アマゾンのレビューなどをみてもとても評判が良いですね。
油汚れや血液を落とすのに有効であるようです。
重曹よりもアルカリ度が高く、水に溶けやすく洗浄力が高いというのが特徴です。
アルカリウォッシュは、セスキ炭酸ソーダが化学名です。セスキ炭酸ソーダは、炭酸ナトリウムと重曹の複塩です。そのため、両者の性質を持つ中間的な存在です。
ここからちょっと化学系の話になります。(笑)
炭酸ナトリウムの化学式は、Na2CO3になります。これは水分を含まない状態で無水塩と呼ばれています。粉末の形態です。ソーダ灰とも呼ばれています。
無水塩は、ガラスの原材料などの工業用途や石鹸や洗剤にも配合されています。
炭酸ソーダは、炭酸ナトリウムに水分が含まれたものです。
炭酸ナトリウムに水の分子が一個結合したものを1水塩、10個結合したものを10水塩と呼びます。
セスキ炭酸ソーダの化学式は、Na2CO3NaHCO32H2Oです。炭酸ナトリウムと重曹に水の分子が2個入っていることを意味しています。
炭酸ソーダは、pHが高い=アルカリ剤です。アルカリ剤は、油汚れ、垢、血液、タンパク質汚れを自然の力で落とす力があります。
アルカリウォッシュは、炭酸ソーダをアルカリ度の比較的低い重曹と組み合わせることで、pH値を下げたものが、セスキ炭酸ソーダです。
pHの目安としては、重曹がpH8.4、炭酸ナトリウムがpH11.2、セスキ炭酸ソーダはpH9.8です。pHもちょうど中間、平均値です。両方の成分が組み合わさっているので、計算通りになります。
アルカリ剤による洗濯・洗浄は、基本的には浸け置きして使います。アルカリ性が高いほど、洗浄効果は高くなります。
アルカリ剤の効果は、油脂を乳化することとタンパク質を分解することです。血液の汚れを落とすのにも効果があります。
今回の失敗談から推測すると、パッチの印刷成分(油性インク)がアルカリ剤によって落ちて(洗浄されて落とされて)しまったと考えられます。
過炭酸ナトリウムは酸素系漂白剤として知られ、洗濯にも使用されます。洗濯のように水に溶かして使う場合、基本的に炭酸ソーダと一緒です。
炭酸ソーダを多く水に溶かせば、少ない分量の過炭酸ナトリウムを使用したことと同じになります。
酸素系漂白剤は、色落ちしやすい布製品にはあまり向かないです。(色落ちしたり傷んだりするリスクが高いです。)
非常に長くなってしまいました。(汗)ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
失敗から学ぶことは多いです。また、その失敗体験を共有することで他の方にも参考になればとのお考えで、ご連絡くださいました。
今回もご承諾いただいたので、ご連絡くださったメール文から引用紹介いたします。
90年代501 糊落としでの失敗談:
80’s501は、4日穿いてみて、少し食べ物を付けてしまったので温水で優しく押し洗いと、コインランドリーの乾燥機を今度は30分かけてみました。
サイズの変化は、レングスが5㎜縮み、脚が少し縮んでさらに穿き心地が良いなあと感じています。
生地がとても好きです。
今年の日本の夏は以上に暑くて、毎日35度以上ありますので
室内でしか穿けないのが残念です。
しっかりして重厚感があるのに、しなやかな感じでずっと穿いていたいくらいです。
さて、新しく購入した90年代 501の糊落としで、思いがけない大失敗をしてしまいました・・・!
糊付きのほぼ新品を購入しましたが、内ポケットの白い生地が、経年保存の劣化でしょうか、黄色っぽい小さな点々が見られたので、糊落としの後に洗濯をすることにしました。
アルカリウォッシュというものが割と何でも強力な汚れまで落とす割りに、洗剤とは違うので使ってみようと思い立ちました。
アルカリウォッシュの説明です↓
「セスキ炭酸ソーダでできた住居用洗剤です。重曹と炭酸塩の中間物質であるセスキ炭酸ソーダは、硬水軟化作用を持つお肌にやさしい温和なアルカリ剤です。油汚れを自然乳化して落とすはたらきがあり、手垢や血液などたんぱく汚れもすっきり。無機物なので、環境にも負担の少ない成分です。洗濯、台所周りからお部屋の隅々まで、一つで家中のあらゆるところをお掃除できます。汚れを落として、自然を汚さずに。」
同じように55℃のお湯をバスタブから7㎝位はったところに、小さじ大盛1杯ほどの量です。
1時間つけて、今度は自宅の洗濯機で、さらさという洗剤を入れて洗濯をしました。
その後は自然乾燥です。
乾いてみて、観察すると、新しかった紙パッチが無残な姿になっていたのです・・・
前後の写真を添付しますね。
80年代の時もさらさは使いましたし、明らかに、アルカリウォッシュが原因かなと思っています。
調べてみると、アルカリウォッシュは生地が少しドライにパリッとするため、穿き皺が付きやすくてデニムに使うという人や革パッチなどには良くないという意見も見つけました。
90年代のは、紙のパッチですが、印刷が落ちてしまい、パッチの色もかなり褪せて所々白くもなっています。
リベットも、白いものがくっついて綺麗なブロンズではなくなってしまいました。
リーバイスは偽物もあるということも頭をよぎりましたが、今まで購入を検討している中でたくさん見てきたことを参考にこれは本物であると思っています。
パッチの綺麗さも私の中の購入するポイントであるのでショックでした!
他の方にも同じ失敗がないことを祈り、お知らせしようと思いました。
ちなみに、90年代 29インチのサイズ変化は
平置きW37㎝ L75.5cm から W35㎝ L70.5㎝でした。
乾燥機を使わなくても、温水の糊落としで縮むようでした。
生地は結構固いです。
穿いた印象は80’sの物と全然違い面白いです。
80’sはサイズが小さいせいもありますが、女性らしく見え、90’sレディース501にとても近い印象です。
90’sは、男の子っぽい印象で、どちらも気に入りました。
同じ501でも、この違いは面白く、コレクションするのは楽しいですね!
コメント
このような体験談は貴重で参考になるお話だと思います。
パッチのプリントが消失してしまったのは本当に残念なことと思います。お気持ち察します。
それにも関わらず、失敗談としてご説明を送付していただいたこと、感謝しております。
米国製501の生地は私も大好きです。穿き心地がとても良いですよね!フィットすると生地感の良さも体感しやすいと思います。
80年代501の持ち味・魅力を十分に理解して、気に入っていらっしゃるなと思いました。
パッチを見る限り本物です。
パッチのプリント消失については、やはりご推察の様にアルカリウォッシュを使用したことが関連していることは、ほぼ確実だと思います。
使用量もあまり多くないですし、どうしてなのか?という疑問は残ります。
浸け置きはアルカリ剤の洗濯では一般的です。しかし、今回の問題はパッチの印刷部とリベットなので、それらには、浸け置きは良くない可能性は考えられますね。
洗濯後の生地が硬いとのことですが、自然乾燥の場合、乾燥機使用と比べ、生地が硬めに仕上がる傾向があります。
お持ちの80年代と90年代の違いについてのご感想、穿いた印象が全然違うとのこと、そうですよね!
同じモデルでも、1サイズ違うとサイズ感、受ける印象はかなり異なります。
これは大まかな話なのですが、赤字の501表記の製品頃から、表記に対する実寸が大きくなったと認識しています。
つまり、表記では1サイズの違いですが、実寸は2サイズ近く違う。お書きになられている実寸だと2サイズまではなさそうですが、通常の1サイズ以上の差だと思います。
実寸のサイズ差に加えて、80年代後半(86年ごろ)のモデルは、特に少し細身のシルエットになっていることも、着用時の印象の差に大きく影響していると思います。
違いも楽しんでいらっしゃるようで、なによりと思っています。実際、501でも本当に違うので、穿きくらべて変化を楽しむことができますよね!
ここからは、ご参考までにアルカリウォッシュについて調べてみました。
アルカリウォッシュ
油汚れや血液を落とすのに有効であるようです。
重曹よりもアルカリ度が高く、水に溶けやすく洗浄力が高いというのが特徴です。
アルカリウォッシュは、セスキ炭酸ソーダが化学名です。セスキ炭酸ソーダは、炭酸ナトリウムと重曹の複塩です。そのため、両者の性質を持つ中間的な存在です。
ここからちょっと化学系の話になります。(笑)
炭酸ナトリウムの化学式は、Na2CO3になります。これは水分を含まない状態で無水塩と呼ばれています。粉末の形態です。ソーダ灰とも呼ばれています。
無水塩は、ガラスの原材料などの工業用途や石鹸や洗剤にも配合されています。
炭酸ソーダは、炭酸ナトリウムに水分が含まれたものです。
炭酸ナトリウムに水の分子が一個結合したものを1水塩、10個結合したものを10水塩と呼びます。
セスキ炭酸ソーダの化学式は、Na2CO3NaHCO32H2Oです。炭酸ナトリウムと重曹に水の分子が2個入っていることを意味しています。
炭酸ソーダは、pHが高い=アルカリ剤です。アルカリ剤は、油汚れ、垢、血液、タンパク質汚れを自然の力で落とす力があります。
アルカリウォッシュは、炭酸ソーダをアルカリ度の比較的低い重曹と組み合わせることで、pH値を下げたものが、セスキ炭酸ソーダです。
pHの目安としては、重曹がpH8.4、炭酸ナトリウムがpH11.2、セスキ炭酸ソーダはpH9.8です。pHもちょうど中間、平均値です。両方の成分が組み合わさっているので、計算通りになります。
アルカリ剤による洗濯・洗浄は、基本的には浸け置きして使います。アルカリ性が高いほど、洗浄効果は高くなります。
アルカリ剤の効果は、油脂を乳化することとタンパク質を分解することです。血液の汚れを落とすのにも効果があります。
今回の失敗談から推測すると、パッチの印刷成分(油性インク)がアルカリ剤によって落ちて(洗浄されて落とされて)しまったと考えられます。
過炭酸ナトリウムは酸素系漂白剤として知られ、洗濯にも使用されます。洗濯のように水に溶かして使う場合、基本的に炭酸ソーダと一緒です。
炭酸ソーダを多く水に溶かせば、少ない分量の過炭酸ナトリウムを使用したことと同じになります。
酸素系漂白剤は、色落ちしやすい布製品にはあまり向かないです。(色落ちしたり傷んだりするリスクが高いです。)
非常に長くなってしまいました。(汗)ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
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