2015年7月29日にジェーンバーキンがエルメスに彼女の名前を使わないように要請したニュースは、世界中のメディアから報道されました。
クロコダイルの革を使用していることが問題視されている(理由である)ところまでは報道されているので、ご存知の方も多いかと思います。
しかし、なぜジェーンバーキンがエルメスにクロコダイルの革を使用したバッグから名前を外すように要請したかの具体的な理由や背景は、あまり触れられてる記事はないように思います。
私も最初の時点でこの件の報道で知ったのは、『クロコダイルの革を使うことを止めるようにバーキンさんが要請した。』または、『クロコダイルの革を使ったバーキンバッグから彼女の名前を外すように要請した。』ことでした。
このニュースを知っての受け取り方、考え、反応は人それぞれだと思います。
『クロコダイルだけがダメで、牛や他の動物の革だったら良いのか?』という意見もあると思います。
調べてみると、この件は、バーキンバッグの歴史、バーキンさんとエルメスの関係、バーキンバッグの市場における存在、ブランド・ビジネス的な影響、今回の行動に至る背景、などかなり奥深いものがあり、また、社会的な認知、倫理観、時代の変化などとも大きな関わりがあります。
以下に主だったポイントの概要を記します。
1981年、エルメスのCEOのJean-Louis Dumaは、パリからロンドンへの飛行機で、ジェーンバーキンと席が隣り合わせとなりました。
彼女は、トラベルバッグを、オーバーヘッドコンパートメント(席の上にある荷物入れ)に入れようとした時、バッグの中身が飛び出してしまいました。
その時の二人の会話がきっかけで、ポケットがあるバッグをエルメスが作成することになりました。
エルメスとバーキンは共同でデザインし、完成したのは1984年です。
この誕生までのバーキンさんの話は本当に面白いので、別記事で投稿します。(それほど長い話ではないのですが。。。)
備考:
尚、エルメスのバッグでは、ケリーバッグも有名ですが、ケリーバッグは、グレースケリーのお気に入りで、彼女がモナコ国王と結婚後、妊娠中の彼女の膨らんだお腹をパパラッチが撮影しようとした時に、バッグでお腹を隠した写真で一躍有名になったものです。
ケリーバッグも非常に有名ですが、バーキンバッグは、バーキンさんが愛用して有名になったのではなく、バーキンさんのアイディアで始まり、デザインも直接関わっているところが異なるところです。
バーキンバッグは有名人に熱烈な愛用者が多いことで有名です。ケイトモス、ジェニファーロペス、ビクトリアベックマン、他多くの有名人が愛用しています。
エルメス直営店のみで取り扱っており、注文生産だそうです。素材やモデルによっては、注文から完成まで6年以上待たなければならないものもあるそうです。
また、一般の人がお店に行って、気軽に注文して入手できるものではないとのことです。(日本を含めて、アジア圏では状況が多少違うかもしれません)
販売価格は、10,500ドルから150,000ドルです。クロコダイル革のバージョンは、30,000ドル以上になります。
希少性、入手が困難であることもあり、オークションなどではさらに高額で取引されています。
高級ブランドであるエルメスにとって、バーキンバッグが与えるエルメスへのブランドイメージの影響は計り知れないほど多大であると思われます。
また、ビジネス的にも非常に重要であることは明らかです。
バーキンバッグの名前はエルメスが商標登録として1997年に取得しています。法律的には、バーキンさんがエルメスに名前を外させる強制力はありません。
エルメスはバーキンさんに年間30000ポンド(日本円で約600万円)支払っている様です。支払いは契約としてではなく、自発的なものだそうです。
バーキンさんは、エルメスからもらったお金は全てチャリティーに寄付していると話しています。
エルメスとジェーンバーキンの関係は基本的に良好のようです。
ここまでの内容を総合すると、エルメスとの長年の関係、ブランドへの影響力を考えると、今回のエルメスに対する要請は余程のことではないと行わないと思います。
この要請の背景については、別途詳しく記事を投稿する予定です。
ここでは簡潔に説明します。
PETA(People For The Ethical Treatment of Animals)と呼ばれる組織が、エルメス所有のタナリーにクロコダイルの皮を供給しているテキサスのクロコダイル・アリゲーターファームにおけるビデオを公開しました。
劣悪な環境で飼育され、非常に残忍な方法で殺される模様がビデオに収められています。
PETAが公開した本件に関するページのリンクを添付します。(注: 正直、写真を見るだけでもショックです。ページを開く前に、かなり心して見たほうが良いと思います。)
Exposed: Crocodiles and Alligators Factory-Farmed for Hermès 'Luxury' Goods
このビデオをバーキンさんは見て、エルメスに今回の要請を行いました。
ジェーンバーキンは、クロコダイルの虐殺(安楽死でない畜殺・屠殺)に対する懸念を表明しています。彼女のコメントは、長年にわたって培われた我々の友好的な関係と信頼に対する影響はない(損ねることはない)と考えます。エルメスは、彼女の感情を尊重し、同情しています。そして、同様に最近公開されたイメージを見て衝撃を受けています。
ビデオで公開指摘されたテキサス・ファームについて現在、調査を行っています。ルール違反があった場合は、いかなることでも修正し制裁を与えます。エルメスは、この農場で供給されたクロコダイルスキンはバーキンバッグの製作に使用されていないことを明確に表明します。
ここまでが、現時点での本件について公開されている情報、内容です。
本件についての社会的な認知、影響、時代の流れなどを含めた考察を、別途、投稿する予定です。
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CNN Money article |
しかし、なぜジェーンバーキンがエルメスにクロコダイルの革を使用したバッグから名前を外すように要請したかの具体的な理由や背景は、あまり触れられてる記事はないように思います。
私も最初の時点でこの件の報道で知ったのは、『クロコダイルの革を使うことを止めるようにバーキンさんが要請した。』または、『クロコダイルの革を使ったバーキンバッグから彼女の名前を外すように要請した。』ことでした。
このニュースを知っての受け取り方、考え、反応は人それぞれだと思います。
『クロコダイルだけがダメで、牛や他の動物の革だったら良いのか?』という意見もあると思います。
調べてみると、この件は、バーキンバッグの歴史、バーキンさんとエルメスの関係、バーキンバッグの市場における存在、ブランド・ビジネス的な影響、今回の行動に至る背景、などかなり奥深いものがあり、また、社会的な認知、倫理観、時代の変化などとも大きな関わりがあります。
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Jane Birkin |
以下に主だったポイントの概要を記します。
バーキンバッグの歴史 - バーキンさんが誕生に至るまで、デザインまで直接関わっている
1981年、エルメスのCEOのJean-Louis Dumaは、パリからロンドンへの飛行機で、ジェーンバーキンと席が隣り合わせとなりました。
彼女は、トラベルバッグを、オーバーヘッドコンパートメント(席の上にある荷物入れ)に入れようとした時、バッグの中身が飛び出してしまいました。
その時の二人の会話がきっかけで、ポケットがあるバッグをエルメスが作成することになりました。
エルメスとバーキンは共同でデザインし、完成したのは1984年です。
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Hermes Ostrich Birkin bag, Photo: Widipedia |
この誕生までのバーキンさんの話は本当に面白いので、別記事で投稿します。(それほど長い話ではないのですが。。。)
備考:
尚、エルメスのバッグでは、ケリーバッグも有名ですが、ケリーバッグは、グレースケリーのお気に入りで、彼女がモナコ国王と結婚後、妊娠中の彼女の膨らんだお腹をパパラッチが撮影しようとした時に、バッグでお腹を隠した写真で一躍有名になったものです。
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Grace Kelly with Bag in 1954 |
有名人に熱烈な愛好者が多い
バーキンバッグは有名人に熱烈な愛用者が多いことで有名です。ケイトモス、ジェニファーロペス、ビクトリアベックマン、他多くの有名人が愛用しています。
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左からJennifer Lopez in 2008, Amber Heard in 2011, and Kate Moss in 2003 Photographer: (from left) Venturelli/WireImage; Christopher Peterson/BuzzFoto/FilmMagic; Aura/Getty Images |
入手が非常に困難
エルメス直営店のみで取り扱っており、注文生産だそうです。素材やモデルによっては、注文から完成まで6年以上待たなければならないものもあるそうです。
また、一般の人がお店に行って、気軽に注文して入手できるものではないとのことです。(日本を含めて、アジア圏では状況が多少違うかもしれません)
高価
販売価格は、10,500ドルから150,000ドルです。クロコダイル革のバージョンは、30,000ドル以上になります。
希少性、入手が困難であることもあり、オークションなどではさらに高額で取引されています。
エルメスにとってのバーキンバッグのブランドイメージは多大
高級ブランドであるエルメスにとって、バーキンバッグが与えるエルメスへのブランドイメージの影響は計り知れないほど多大であると思われます。
また、ビジネス的にも非常に重要であることは明らかです。
エルメスとジェーンバーキンの関係
バーキンバッグの名前はエルメスが商標登録として1997年に取得しています。法律的には、バーキンさんがエルメスに名前を外させる強制力はありません。
エルメスはバーキンさんに年間30000ポンド(日本円で約600万円)支払っている様です。支払いは契約としてではなく、自発的なものだそうです。
バーキンさんは、エルメスからもらったお金は全てチャリティーに寄付していると話しています。
エルメスとジェーンバーキンの関係は基本的に良好のようです。
バーキンさんがエルメスに名前を外す様に要請した理由・背景
ここまでの内容を総合すると、エルメスとの長年の関係、ブランドへの影響力を考えると、今回のエルメスに対する要請は余程のことではないと行わないと思います。
この要請の背景については、別途詳しく記事を投稿する予定です。
ここでは簡潔に説明します。
PETA(People For The Ethical Treatment of Animals)と呼ばれる組織が、エルメス所有のタナリーにクロコダイルの皮を供給しているテキサスのクロコダイル・アリゲーターファームにおけるビデオを公開しました。
劣悪な環境で飼育され、非常に残忍な方法で殺される模様がビデオに収められています。
PETAが公開した本件に関するページのリンクを添付します。(注: 正直、写真を見るだけでもショックです。ページを開く前に、かなり心して見たほうが良いと思います。)
Exposed: Crocodiles and Alligators Factory-Farmed for Hermès 'Luxury' Goods
このビデオをバーキンさんは見て、エルメスに今回の要請を行いました。
バーキンさんの要請に対するエルメスの声明
Jane Birkin has expressed her concerns regarding practices for slaughtering crocodiles. Her comments do not in any way influence the friendship and confidence that we have shared for many years. Hermès respects and shares her emotions and was also shocked by the images recently broadcast.
ジェーンバーキンは、クロコダイルの虐殺(安楽死でない畜殺・屠殺)に対する懸念を表明しています。彼女のコメントは、長年にわたって培われた我々の友好的な関係と信頼に対する影響はない(損ねることはない)と考えます。エルメスは、彼女の感情を尊重し、同情しています。そして、同様に最近公開されたイメージを見て衝撃を受けています。
An investigation is underway at the Texas farm which was implicated in the video. Any breach of rules will be rectified and sanctioned. Hermès specifies that this farm does not belong to them and that the crocodile skins supplied are not used for the fabrication of Birkin bags.
ビデオで公開指摘されたテキサス・ファームについて現在、調査を行っています。ルール違反があった場合は、いかなることでも修正し制裁を与えます。エルメスは、この農場で供給されたクロコダイルスキンはバーキンバッグの製作に使用されていないことを明確に表明します。
ここまでが、現時点での本件について公開されている情報、内容です。
本件についての社会的な認知、影響、時代の流れなどを含めた考察を、別途、投稿する予定です。
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