ロングホーンインポートのお客様がご連絡下さった90年代の米国製501の糊落としでの失敗談についてブログで紹介しました。
このご体験の中で、アルカリウォッシュを使用したお話が登場します。
アルカリウォッシュはセスキ炭酸ソーダが成分の製品です。セスキ炭酸ソーダは、アルカリ剤の一種です。
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今回はアルカリ剤について調べた内容などを紹介します。
本記事で言うアルカリ剤は、アルカリ成分の性質を利用した洗浄剤のことです。石鹸などの洗剤の助剤として配合されたりもします。天然の成分であるため、環境に優しいです。
以下、衣類の洗濯、食器洗い、住居の掃除などの生活面の洗浄等を含む、幅広い洗浄の分野での洗浄試験法の開発、洗剤・洗浄剤の環境影響についてなどの研究を行っている横浜国大 大矢教授のサイト”洗浄・洗剤の科学”の中の、”洗剤の添加剤[1]:助剤と補助剤の種類”からの引用です。
アルカリ性の水溶液、洗浄液は、皮脂等の成分の脂肪酸と反応して石鹸に変える働きがあり、また、たんぱく質による汚れを膨張させる等の働きで、洗浄効率を高めるとのことです。
アルカリ剤は、着用することによって皮脂や垢などが付着した汚れや血液などの汚れに有効であるのが特徴です。
また、アルカリ性は酸性物質の匂いを中和する働きがあります。つまり、着用した汗などの匂いを自然の力で消臭・脱臭する効果があります。
洗浄などの用途で現在市販されてるアルカリ剤は主に、アルカリ度が強い順に炭酸ソーダ(炭酸塩)、セスキ炭酸ソーダ、重曹に分類されます。
セスキ炭酸ソーダは、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と重曹の複塩です。
アルカリウォッシュは、セスキ炭酸ソーダです。重曹に比べて水に溶けやすく、アルカリの強さがほど良いと言うのが売り文句です。
セスキ炭酸ソーダを売り込んでいるサイトでは、重曹は衣類の洗濯に向いていないということが強調されているのが目に付きます。
実際に重曹はセスキ炭酸ソーダに比べると水に溶けにくいのだと思いますが、そこまで極端な差があるのかなと言う疑問が生じます。
また、重曹はアルカリ性が低いので洗浄には向かないとの書き方がされていますが、溶かす量を多くすれば、アルカリ性は高くなるはずなので、これについても少し偏った意見なのではと思いました。
基本的な効果は全て同じですし、作用する成分も同じなので、用途や目的に応じて選択すれば良いと考えています。
話を戻すと、アルカリ剤による洗浄は、皮脂や垢、血液の汚れ落としに有効であることが特徴です。また、汗などの消臭脱臭、除菌の効果もあります。
重曹は魚や肉の生臭い匂いを除去したり、冷蔵庫の中に入れて脱臭剤として使われたりもします。
これらのアルカリ剤による洗浄の特徴は、穿き込みによるジーンズや他人が着用したユーズド品の洗濯にとても魅力的に感じます。
また、アルカリ剤は天然の成分による洗浄であるため、肌が弱い人、アトピーの人に適した洗濯剤です。
セスキ炭酸ソーダは、赤ちゃんのおむつの洗濯に非常に有効なようです。アルカリウォッシュ
はアマゾンのレビューでも非常に評判が良いです。
赤ちゃんは肌が弱い・敏感なので、アルカリ剤による洗濯が肌の弱い人に向いていることの証とも言えます。
合成洗剤は肌の弱い人には向かない場合が多いと思います。
しかし、アルカリ剤は万能な洗浄剤ではありません。全てのものに言えることですが、どのようなものでも特徴があり、向き不向きがあります。
重曹は煮洗いして鍋の汚れ落としに有効であることはよく知られています。
しかし、重曹による煮洗いはアルミ鍋には使えません。アルミニウムはアルカリに弱く、アルカリと反応すると水酸化アルミニウムとなります。この反応は腐食を意味します。
ここでの注意・考慮すべき点は、アルミはアルカリに弱いのは事実ですが、アルカリ性の洗浄剤で洗って流すぶんには基本的には問題はありません。
特性を理解した上で、適した利用をすることがポイントだと思います。
尚、ジーンズに使用されているリベットの内側(雄側)の素材はアルミの場合があります。
アルミニウムがアルカリと反応して、白い粉なのようなものが発生した場合、その白い粉は水酸化アンモニウムです。
お客様から頂いた失敗談で、”リベットに白いものがくっついて綺麗なブロンズではなくなってしまいました。”とのお話を頂いております。
これはアルカリウォッシュの成分がリベットのアルミの成分と反応して、水酸化アンモニウムが発生したためである可能性が考えられます。
洗剤のほとんどはアルカリ性です。通常の洗濯のレベルであれば問題はまずないと思います。
アルミの鍋も石鹸などで洗っても通常、問題は発生しません。
アルカリ剤の使用状況によっては注意が必要です。これはアルカリ分の高いアルカリ剤を使用する際は特にそうです。
アルカリ剤は皮脂汚れ、垢(たんぱく質汚れ)に強く、消臭、殺菌効果もあります。
ユーズドのジーンズを入手した時の最初の洗濯に使うのにも魅力的な特徴・効果を持っています。
ユーズドだけでなく、自分が着用したジーンズの洗浄でも向いている場合もあると思います。
ジーンズのリベットにアルミが使用されている場合は、アルカリ剤の使用は注意が必要と思われますが、アルカリ剤洗浄の魅力も大きいです。
私はこれまでユーズドのレッドウイングなどの丸洗いでは重曹を使っていました。
アルカリ剤によるジーンズの洗濯も試してみる予定です。
このご体験の中で、アルカリウォッシュを使用したお話が登場します。
アルカリウォッシュはセスキ炭酸ソーダが成分の製品です。セスキ炭酸ソーダは、アルカリ剤の一種です。
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今回はアルカリ剤について調べた内容などを紹介します。
アルカリ剤とは?
本記事で言うアルカリ剤は、アルカリ成分の性質を利用した洗浄剤のことです。石鹸などの洗剤の助剤として配合されたりもします。天然の成分であるため、環境に優しいです。
以下、衣類の洗濯、食器洗い、住居の掃除などの生活面の洗浄等を含む、幅広い洗浄の分野での洗浄試験法の開発、洗剤・洗浄剤の環境影響についてなどの研究を行っている横浜国大 大矢教授のサイト”洗浄・洗剤の科学”の中の、”洗剤の添加剤[1]:助剤と補助剤の種類”からの引用です。
[アルカリビルダー] 洗剤液をアルカリ性に保つと、汚れ同士、また汚れと繊維等の基質との間の斥力を増し、また皮脂等の成分中の脂肪酸をセッケンに変える、たん白質汚れを膨潤させるなどの働きで、洗浄効率を高めます。アルカリ自体は洗浄対象の基質を傷める可能性を高めますが、高い洗浄力が求められる洗剤にはアルカリビルダーが配合されます。
アルカリビルダーとしては、炭酸塩、ケイ酸塩が一般的に良く用いられますが、リン酸塩、水酸化ナトリウムが用いられる場合もあります。また、炭酸塩には炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)があり、ケイ酸塩にはメタケイ酸ナトリウムが挙げられます。
アルカリ性の水溶液、洗浄液は、皮脂等の成分の脂肪酸と反応して石鹸に変える働きがあり、また、たんぱく質による汚れを膨張させる等の働きで、洗浄効率を高めるとのことです。
アルカリ剤は、着用することによって皮脂や垢などが付着した汚れや血液などの汚れに有効であるのが特徴です。
また、アルカリ性は酸性物質の匂いを中和する働きがあります。つまり、着用した汗などの匂いを自然の力で消臭・脱臭する効果があります。
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炭酸水素ナトリウム(重曹)化学式 |
洗浄などの用途で現在市販されてるアルカリ剤は主に、アルカリ度が強い順に炭酸ソーダ(炭酸塩)、セスキ炭酸ソーダ、重曹に分類されます。
セスキ炭酸ソーダは、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と重曹の複塩です。
アルカリウォッシュは、セスキ炭酸ソーダです。重曹に比べて水に溶けやすく、アルカリの強さがほど良いと言うのが売り文句です。
セスキ炭酸ソーダを売り込んでいるサイトでは、重曹は衣類の洗濯に向いていないということが強調されているのが目に付きます。
実際に重曹はセスキ炭酸ソーダに比べると水に溶けにくいのだと思いますが、そこまで極端な差があるのかなと言う疑問が生じます。
また、重曹はアルカリ性が低いので洗浄には向かないとの書き方がされていますが、溶かす量を多くすれば、アルカリ性は高くなるはずなので、これについても少し偏った意見なのではと思いました。
基本的な効果は全て同じですし、作用する成分も同じなので、用途や目的に応じて選択すれば良いと考えています。
話を戻すと、アルカリ剤による洗浄は、皮脂や垢、血液の汚れ落としに有効であることが特徴です。また、汗などの消臭脱臭、除菌の効果もあります。
重曹は魚や肉の生臭い匂いを除去したり、冷蔵庫の中に入れて脱臭剤として使われたりもします。
これらのアルカリ剤による洗浄の特徴は、穿き込みによるジーンズや他人が着用したユーズド品の洗濯にとても魅力的に感じます。
また、アルカリ剤は天然の成分による洗浄であるため、肌が弱い人、アトピーの人に適した洗濯剤です。
セスキ炭酸ソーダは、赤ちゃんのおむつの洗濯に非常に有効なようです。アルカリウォッシュ
赤ちゃんは肌が弱い・敏感なので、アルカリ剤による洗濯が肌の弱い人に向いていることの証とも言えます。
合成洗剤は肌の弱い人には向かない場合が多いと思います。
しかし、アルカリ剤は万能な洗浄剤ではありません。全てのものに言えることですが、どのようなものでも特徴があり、向き不向きがあります。
アルカリ剤が向かないもの
- 化繊・化繊混紡の衣類の浸けおき
一旦分離した汚れが再び繊維の中に戻ってしまう場合があるため。
- 絹やウールの浸けおき
絹やウールはアルカリに弱いとのことです。ただし、低アルカリ性であれば大丈夫(ほとんどの洗剤は低アルカリ性です)だと思います。
注意が必要であること、心配であれば、クリーニングを利用するのが安全だと思います。
私はウールは自分で手洗いしています。結果も満足いくものです。
- アンモニア臭の匂い消しの効果はない
アンモニアはアルカリ性なので、中和しません。アンモニア臭を取る場合は、酸性の成分であるお酢やクエン酸が有効です。
- アルミの洗浄には向かない
重曹は煮洗いして鍋の汚れ落としに有効であることはよく知られています。
しかし、重曹による煮洗いはアルミ鍋には使えません。アルミニウムはアルカリに弱く、アルカリと反応すると水酸化アルミニウムとなります。この反応は腐食を意味します。
ここでの注意・考慮すべき点は、アルミはアルカリに弱いのは事実ですが、アルカリ性の洗浄剤で洗って流すぶんには基本的には問題はありません。
特性を理解した上で、適した利用をすることがポイントだと思います。
尚、ジーンズに使用されているリベットの内側(雄側)の素材はアルミの場合があります。
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リーバイス501のポケット取り付けリベット内側 |
アルミニウムがアルカリと反応して、白い粉なのようなものが発生した場合、その白い粉は水酸化
お客様から頂いた失敗談で、”リベットに白いものがくっついて綺麗なブロンズではなくなってしまいました。”とのお話を頂いております。
これはアルカリウォッシュの成分がリベットのアルミの成分と反応して、水酸化
洗剤のほとんどはアルカリ性です。通常の洗濯のレベルであれば問題はまずないと思います。
アルミの鍋も石鹸などで洗っても通常、問題は発生しません。
アルカリ剤の使用状況によっては注意が必要です。これはアルカリ分の高いアルカリ剤を使用する際は特にそうです。
まとめ
アルカリ剤は皮脂汚れ、垢(たんぱく質汚れ)に強く、消臭、殺菌効果もあります。
ユーズドのジーンズを入手した時の最初の洗濯に使うのにも魅力的な特徴・効果を持っています。
ユーズドだけでなく、自分が着用したジーンズの洗浄でも向いている場合もあると思います。
ジーンズのリベットにアルミが使用されている場合は、アルカリ剤の使用は注意が必要と思われますが、アルカリ剤洗浄の魅力も大きいです。
私はこれまでユーズドのレッドウイングなどの丸洗いでは重曹を使っていました。
アルカリ剤によるジーンズの洗濯も試してみる予定です。
金属上に析出する物質を水酸化アンモニウムの結晶と言うのは間違っておりますよ〜。
返信削除何を参考にされたかは分かりませんが、修正した方が良いと思います。
by ジーンズ好きの化学者
コメント、ご指摘ありがとうございます。参照した文献がどれかを含め、書いた時の記憶が定かではないのですが、水酸化アルミニウムと書くべきところを水酸化アンモニウムと書いてしまったように思います。アルミが腐食してできた水酸化アルミニウムでよろしいでしょうか?間違っているとのことですが、正しい見解を教えて頂けると大変ありがたいです。よろしくお願い致します。
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