Levi's Vintage Clothing(以後、LVC: 通称復刻)はリーバイス社のブランドとして、ジーンズがお好きな方であればご存知の事と思います。
LVCは元々、80年代の後半にリーバイスジャパンの企画として、過去の製品(ヴィンテージ)をイメージした製品として誕生しました。当初はディテール等の再現度もそれ程高くはありませんでしたが、ベースとなるモデルのディテール等をより忠実に再現する方向性が明確になり、様々な復刻品が作られました。このリーバイスジャパンの取り組みはリーバイスヨーロッパにも広がりました。90年代の前半にはリーバイスヨーロッパ企画の復刻品も登場します。しかし、ヨーロッパ企画のものは再現の忠実度は低く、過去の製品とは全く異なるものでした。
一方、日本企画のものはディテール等についても再現性が高く、日本企画の復刻品はヨーロッパでも注目を集める様になりました。そして、90年代の後半には正式にLevi's Vintage Clothingがブランドとして発表され、それを運営する組織(子会社)がオランダに設けられ、正式に発足しました。リーバイスジャパンの復刻・LVCのブランドの擁立への貢献は計り知れないものがあります。
私は昨年の春、このブログを始めた直後は復刻への興味があって、LVCの本拠地オランダのホームページを定期的に見たり、ニュースレターの購読の登録を行ったりしました。しかし、一度もニュースレターを受け取った事はありませんでした。
ブログを始めた後、リーバイス全般に対する興味が飛躍的に高まり、私はリーバイス社についての色々な情報を集めたり、実際に製品を購入したりしました。リーバイス社は90年代に会社をプライベート(非公開)に戻しているため、現在は株式は基本的に公開していません。しかし、社債を発行したり、株式公開を行うとの噂があります。
実際のところ、プライベート(株式非公開)の企業の場合は、会社の業績や年次報告書の公開義務はありません。しかし、リーバイス社は株式非公開にも関わらず2010年の年次報告書を公開していました。これは社債の発行のためと、株式公開を視野に入れているためと思います。
昨年の夏頃に、私はリーバイス社の年次報告書を一通り読みました。年次報告書を読んだ時、LVC/Levi's Vintage Clothingについての話が一切書かれていない事に驚きました。日本では復刻はある程度のブランドとして市場で認知されており、復刻・LVCはリーバイス社にとっても付加価値を提供する高級ブランドのラインとして重要な位置づけだろうと考えていました。
年次報告書にLVCについて一切書かれていなかった事に驚く反面、納得できる自分がありました。それは、その頃、リーバイス社のオンラインストアを頻繁に見ていましたが、復刻品は一切取り扱っておらず、一方でハイエンドのブランドラインとして、"Made In The USA"がありました。LVCについてはリーバイスのアメリカでは少なくともホームページ、直販のWebストアでは扱わず、"Made in the USA"をプッシュしている印象を受けました。
なぜ、LVCをオンラインストアで取り扱っていないのだろう?なぜ、LVCの本社はオランダなのだろう?と言った疑問を持っていましたが、年次報告書にLVCについて書かれていない事に気づいた時、自分の疑問に対する、ある程度の答えが想像できました。
なぜ、LVCをオンラインストアで取り扱っていないのだろう?なぜ、LVCの本社はオランダなのだろう?と言った疑問を持っていましたが、年次報告書にLVCについて書かれていない事に気づいた時、自分の疑問に対する、ある程度の答えが想像できました。
リーバイスの製品に対して色々興味を持っていた私は、復刻品について当初は、当時の製品を見事なまでに精巧に再現した製品との印象を持っていました。しかし、本物のヴィンテージを手にした時、数十年以上も前に作られた過去の製品を再現する事は現代の技術を持ってしても不可能である事を思い知りました。
当時の原材料と染料を使用した製品を、現在、全く同じ様には作る事はできません。原材料、生産設備等は当時と現在では大きく異なります。
リーバイス社はジーンズの元祖であり、リーバイスの歴史がジーンズの歴史と言えます。いくら再現しようと試みても、実際には似て非なるものであることは否めないところがあります。
リーバイス社はジーンズの元祖であり、リーバイスの歴史がジーンズの歴史と言えます。いくら再現しようと試みても、実際には似て非なるものであることは否めないところがあります。
リーバイス本社としては伝統ある過去の製品を模倣するのではなく、新たなブランド、付加価値の創造をするべきとの考えがあったと考えています。これは個人的には非常に妥当な考えだと思いました。
それにしても、世界で売られている自社ブランドの名前が年次報告書に登場しないのは異例の事です。「米国本社の上層部の誰か(恐らく創業家のメンバー)はLVCについて心良く思っていない。」と言う自分なりの推論でした。
それにしても、世界で売られている自社ブランドの名前が年次報告書に登場しないのは異例の事です。「米国本社の上層部の誰か(恐らく創業家のメンバー)はLVCについて心良く思っていない。」と言う自分なりの推論でした。
しかし、今年に入ってから、リーバイス本社のLVCに対する姿勢、取り組みは急変しました。そのことについては、明日、書く予定です。
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