先週、リーバイス本社が発表したLVC(日本での通称:復刻)のオレンジタブ・コレクションのニュースを読んだ時、私の第一印象は「えっ!、オレンジタブ!!??」でした。
リーバイスのタブと言えば、レッドタブが有名で現行にも採用され続けている会社を象徴する重要なアイデンティティの一つです。オレンジタブは1968年に登場した606や646で初めて使用され、生産効率を高めたライン8の製品です。
[post_ads]
オレンジタブは、従来のラインよりも廉価で購入しやすい価格帯で、若年層をターゲットにした製品ラインとして、1960年代後半に誕生しました。
最初に市場に登場したのは60年代後半ですが、オレンジタブの製品は70年代のものが多く、オレンジタブと言えば70年代を連想させるイメージがあります。
70年代は社会的、文化的な観点で他の年代と比較した場合、良くも悪くも他の年代とはかなり異なるのが特徴です。60年代の文化は後の年代、世代にも大きな影響を与えたことが多くあり、その後も何度も再流行となったものが多くあります。
70年代のファッション文化の例としては、ベルボトムの大流行、ジーンズ等のカスタマイズ、化繊混合素材が主流となる等が上げられます。
ベルボトムは1990年代以降、何度も流行るとの見方、それを実現しようとする業界・メディアの動きもありましたが、大衆に支持される事はなく、その度に絶ち消えになっていました。2000年代の中頃に一時期流行となりましたが、非常に短命に終わったのは記憶に新しいところです。
現在はストレッチデニムの製品も少なからずありますが、ハイエンド・プレミアム感の高いデニム衣料では綿100%が中心だと思います。化繊はシワになりにくい、手入れが楽等メリットもあります。
しかし、80年代以降は、衣料品、特にプレミアム感があるものでは天然素材の良さが再び見直され、その傾向は現在も続いています。
「なぜ、70年代?オレンジタブなのか??」について、私なりの推測を以下に書きます。
レッドタブは1930年代後半に使われ始めてから現行製品にも継続して使われており、リーバイスを象徴するアイコンとなっています。視点を変えると、赤タブは特定の年代をイメージする特徴ではありません。
一方、オレンジタブは70年代であることを明確にイメージさせるものがあります。
60年代はあまりにも多くの変化、事柄が起こったので、60年代を象徴する商品ラインを構成するのは困難です。製品、モデル、特徴からこれが60年代と言うようなものを即座に連想させるものは思い浮かびません。
また、リーバイス社の製品においても、60年代前半と60年代後半の製品ではかなり異なるものが多くます。
マーケティングの観点では、年代を前面に出したプロモーションはインパクトもあり効果的です。60年代のファッション文化はこれまでに何度も再流行していますが、70年代の文化はあまり脚光を浴びる事はなかったため、新鮮なイメージがあります。
商品構成、既存製品ライトの差別化などの点から見ても、オレンジタブのラインとして商品を構成しやすいと思われます。また、生産する観点でも、比較的年代が新しいので生産しやすいです。
リーバイス本社に目を向けると、2013年に入って本社においてLVCのチームが発足し、本社主導のLVCの取り組みが始まり、本社が中心となって取り組む初めての復刻ラインとして、上記の様な理由等からオレンジタブが選ばれたのではないかと推測します。
今回のオレンジタブのコレクションの宣伝は、単に製品を紹介したり一般的なプロモーションを行うだけでなく、70年代の文化(カルチャー)を宣伝・紹介することに注力しているところが大きな特徴です。
復刻・LVCにおいて、このアプローチは個人的には大賛成です。ファッションはその時代毎の文化や社会背景が密接に関わっています。
復刻は、単なるファッションアイテムとして楽しめますが、当時の文化への理解を深める事でさらに楽しむ事ができると思います。
オレンジタブのプロモーションとして、1972年をイメージしたミュージックフェスティバル・コンサートの開催。1972年に発行することをイメージして作られた雑誌の発行。70年代の音楽を流し続けるラジオ局を開局。そして、ラジオ局のDJ達はロスからニューヨークまで車のツアーも行う予定です。
事業的な採算性はかなり難しいと思いますが、この取り組みは個人的にとても評価しています。やはり、過去の製品を単にデザイン上模倣するだけでなく、当時の文化を合わせて紹介するのは素晴らしい事だと思います。
最近、私はオレンジタブのプロモーションの一環として開局したLVCのラジオ局を毎晩聞く様になっています。そこでかかる曲を聴いて、「そう言えば、これは70年代の曲だったんだ〜。」と思ったり、感慨にふけったりしています。
記事の前半に70年代についてあまり好意的でない印象があることについて書いていますが、ラジオでかかる曲を聴いていると、70年代も悪くない、良い曲も結構あった等と自分の印象が変わってきつつあります。
オレンジタブの製品はどうやら全て米国製の様です。LVCはトルコに専用の工場があります。それにも関わらず、全て米国製とする事は、LVCの生産についても戦略的な転換が行われている事の兆候かもしれません。
このホームページを見た後、ツイッターで紹介したところ、フォローして下さっている方からコメントを頂きました。
このリーバイス本社のLVCの取り組みが今後どうなっていくのか、注目しています。
リーバイスのタブと言えば、レッドタブが有名で現行にも採用され続けている会社を象徴する重要なアイデンティティの一つです。オレンジタブは1968年に登場した606や646で初めて使用され、生産効率を高めたライン8の製品です。
[post_ads]
70年代のリーバイスを象徴するオレンジタブ
オレンジタブは、従来のラインよりも廉価で購入しやすい価格帯で、若年層をターゲットにした製品ラインとして、1960年代後半に誕生しました。
最初に市場に登場したのは60年代後半ですが、オレンジタブの製品は70年代のものが多く、オレンジタブと言えば70年代を連想させるイメージがあります。
70年代は社会的、文化的な観点で他の年代と比較した場合、良くも悪くも他の年代とはかなり異なるのが特徴です。60年代の文化は後の年代、世代にも大きな影響を与えたことが多くあり、その後も何度も再流行となったものが多くあります。
70年代のファッション文化の例としては、ベルボトムの大流行、ジーンズ等のカスタマイズ、化繊混合素材が主流となる等が上げられます。
ベルボトムは1990年代以降、何度も流行るとの見方、それを実現しようとする業界・メディアの動きもありましたが、大衆に支持される事はなく、その度に絶ち消えになっていました。2000年代の中頃に一時期流行となりましたが、非常に短命に終わったのは記憶に新しいところです。
現在はストレッチデニムの製品も少なからずありますが、ハイエンド・プレミアム感の高いデニム衣料では綿100%が中心だと思います。化繊はシワになりにくい、手入れが楽等メリットもあります。
しかし、80年代以降は、衣料品、特にプレミアム感があるものでは天然素材の良さが再び見直され、その傾向は現在も続いています。
なぜLVCはオレンジタブに注力するのか?
「なぜ、70年代?オレンジタブなのか??」について、私なりの推測を以下に書きます。
レッドタブは1930年代後半に使われ始めてから現行製品にも継続して使われており、リーバイスを象徴するアイコンとなっています。視点を変えると、赤タブは特定の年代をイメージする特徴ではありません。
一方、オレンジタブは70年代であることを明確にイメージさせるものがあります。
60年代はあまりにも多くの変化、事柄が起こったので、60年代を象徴する商品ラインを構成するのは困難です。製品、モデル、特徴からこれが60年代と言うようなものを即座に連想させるものは思い浮かびません。
また、リーバイス社の製品においても、60年代前半と60年代後半の製品ではかなり異なるものが多くます。
マーケティングの観点では、年代を前面に出したプロモーションはインパクトもあり効果的です。60年代のファッション文化はこれまでに何度も再流行していますが、70年代の文化はあまり脚光を浴びる事はなかったため、新鮮なイメージがあります。
商品構成、既存製品ライトの差別化などの点から見ても、オレンジタブのラインとして商品を構成しやすいと思われます。また、生産する観点でも、比較的年代が新しいので生産しやすいです。
リーバイス本社に目を向けると、2013年に入って本社においてLVCのチームが発足し、本社主導のLVCの取り組みが始まり、本社が中心となって取り組む初めての復刻ラインとして、上記の様な理由等からオレンジタブが選ばれたのではないかと推測します。
オレンジタブのマーケティング戦略
今回のオレンジタブのコレクションの宣伝は、単に製品を紹介したり一般的なプロモーションを行うだけでなく、70年代の文化(カルチャー)を宣伝・紹介することに注力しているところが大きな特徴です。
復刻・LVCにおいて、このアプローチは個人的には大賛成です。ファッションはその時代毎の文化や社会背景が密接に関わっています。
復刻は、単なるファッションアイテムとして楽しめますが、当時の文化への理解を深める事でさらに楽しむ事ができると思います。
![]() |
1972年発行されたイメージで制作された雑誌 Zipper |
事業的な採算性はかなり難しいと思いますが、この取り組みは個人的にとても評価しています。やはり、過去の製品を単にデザイン上模倣するだけでなく、当時の文化を合わせて紹介するのは素晴らしい事だと思います。
最近、私はオレンジタブのプロモーションの一環として開局したLVCのラジオ局を毎晩聞く様になっています。そこでかかる曲を聴いて、「そう言えば、これは70年代の曲だったんだ〜。」と思ったり、感慨にふけったりしています。
記事の前半に70年代についてあまり好意的でない印象があることについて書いていますが、ラジオでかかる曲を聴いていると、70年代も悪くない、良い曲も結構あった等と自分の印象が変わってきつつあります。
オレンジタブの製品はどうやら全て米国製の様です。LVCはトルコに専用の工場があります。それにも関わらず、全て米国製とする事は、LVCの生産についても戦略的な転換が行われている事の兆候かもしれません。
このホームページを見た後、ツイッターで紹介したところ、フォローして下さっている方からコメントを頂きました。
@LonghornImport こんなページがあったとは。646・684好きには嬉しい限りです。日本でも、好意的に捉えてくれる人、興味を持ってくれる人も意外と多いかもしれません。LVCのラジオ局や雑誌の事について、リーバイスジャパンが積極的に紹介したりすれば、結構話題にもなるし、面白いと思います。
— T2K402 (@T2K402) August 19, 2013
このリーバイス本社のLVCの取り組みが今後どうなっていくのか、注目しています。
COMMENTS