一つ前の記事で1899年から1927年の非常に古い年代のギャランティーチケットについて書きました。本記事ではその後の年代のギャランティーチケットについての考察を行います。
LVCの1933及び1937年モデルについているギャランティーチケットは、"FOR OVER 60 YEARS"となっています。
"FOR OVER 70 YEARS"のギャランティーチケットは、戦前のモデル(シンチバックの501xx)でも使用されていたことが確認できています。
[第二次世界大戦直後の新品501に付属していたフラッシャーとギャランティーチケット / ロングホーンインポート ##external-link##]
[post_ads]
現在、私が手元にある古い年代のギャランティーチケットは、"80 YEARS”と"85 YEARS"です。"FOR OVER 80 YEARS"は1940年代後半、いわゆる47モデルと呼ばれる大戦後の1947年頃に登場した片面タブ、革パッチの501xxに付けられているものです。
また、"FOR OVER 85 YEARS"は、50年代前半頃の革パッチとギャラ入り紙パッチ(初中期頃?)までに付けられていたと推定しています。
例として80年チケットでこれまでと同様の年の換算をすると、リベット特許取得年の1873年から80年を足すと1953年になります。
現時点での推定としては、80年チケットは40年代後半から使われ、50年代前半頃から85年チケットに移行になったと考えています。
上3行をまとめた文面は、"FOR OVER XX YEARS" "OUR CELEBRATED XX...RIVETED OVERALLS" "HAVE BEEN BEFORE THE PUBLIC"となっており、文意としては、『我々の記念すべきXXブルーデニム、リベット使用のオーバーオールは、xx年以上もの間市場に存在しています。』の意味となります。
実際のところ、60年代以降の"FOR OVER XX YEARS”の年表記は首尾一貫しないところが多々あります。良く言えば、アメリカ的な細かいところは気にしない、おおらかさの現れでもあります。また、意味的にはXX年以上となるため、年が経過して更新しなくても意味的には特に支障はないとも言えます。
記載以外の部分での"FOR OVER 85 YEARS”までのギャランティーチケットの大きな特徴は、オイルクロスと呼ばれる表面にコーティングがされた布が使われています。
左は"FOR OVER 80 YEARS"です。特に注目すべき箇所は黄色で囲った部分です。
"THEY ARE MADE OF SELECTED TEN OUNCE AMERICAN DENIM"となっており、1927年のチケットの該当箇所の9オンスから10オンスデニム変更になっています。
この10オンスの記載は、LVCの33/37モデルの60年チケットとオリジナルの70年チケット(大戦モデル)でも同様です。
FOR OVERの下の行は、"OUR CELEBRATED XX BLUE DENIM ORIGINAL RIVETED OVERALLS"となっています。1927年のチケットでは"COPPER RIVETED OVERALLS"と記載されていたところが、第二次世界大戦中のモデルから、"ORIGINAL RIVETED OVERALLS"に変わっています。
この記載は、1927年に行われた"This is a pair of them"から"This is a pair of Levi's”と似た主旨で、オーバーオールの元祖であることを強調する表現への変更です。
この箇所はLVCの60年チケットではCOPPERで、70年チケットではORIGINALです。
最後の行は"BY CUTTING THE THREAD..."から"BY PULLING THE STAPLE..."に変更になっています。この箇所も70年チケットも80年と同じ表記です。尚、60年チケットではどうなのかは現時点では不明です。
細かい事ですが、本表記から、ギャランティーチケットの取り付けはそれまでは糸で縫い付けていたものから、ホッチキス留めに変わったと思われます。
以下の品は"FOR OVER 85 YEARS"です。上の80年チケットと年代は近いのですが、いくつか注目すべき変更が行われています。
ここでも注目すべき箇所は黄色で囲った生地についての記述です。
"EXCLUSIVE XX TOP WEIGHT DENIM TESTS STRONGEST. WEARS LONGEST" (XX専用のトップウェイト(肉厚)デニムは最強度を証明。最上の耐久性・最も長持ち)と表現が大幅に変更になっています。
80年チケット以前は生地のオンス数を明記していましたが、ギャランティーチケットにおいて85年以降は明記しなくなります。
LeeやWranglerのジーンズは当時10オンスより重いデニムを使用していました。単にオンス数だけを示した場合、より高いオンスのデニムを使用する競合品に対して、優位性を示すどころか、逆に劣る様な印象を与えかねません。
オンス表記を止めて、”最も丈夫である”と言うことを強調する方針に転換したのだと考えます。実際、この年代のリーバイスのデニムを手にしたり、穿いてみると丈夫さ、高品質さを感じます。当時の生地の素材、製法、品質は現代の基準とは明らかに異なるものなので、単純に比べられないものでもあります。
単に今、10オンスのデニムと聞くと、薄手である印象を持ちます。ところが、この年代の製品を手にしたり、着用した時に10オンスと言う気はしません。オンス数は目安の一つであっても、生地の強度や風合いとはあまり直接関連がない場合もあると思います。
Leeのジェルトデニム等と比べて見た場合、XXデニムの方が明らかに厚みがあります。ジェルトデニムは密度は高いですが、生地は非常に薄いです。
60年代以前、特に50年代以前のデニム生地は個性的です。50年代のLeeやラングラーの製品と比べてみると、それぞれの使用デニムがとても個性的で異なることは一見しても分かります。生地の色味、風合い、織り方、どれをとっても大きく異なります。
関連記事:
[ヴィンテージ501のオンス数について ##link##]
[ヴィンテージ デニムのオンス数についての考察 ##link##]
尚、現行のLVC(復刻)の44モデルや47モデルは、12オンスのデニムを使用しています。そして、洗濯後14オンスになると説明が加えられています。オリジナルとは異なるオンス数のデニムを使用していないことになります。
仮に同じオンス数のデニムを使用したとしても、風合いや、色等、完全に再現する事は不可能なので、個人的には別に同じでなくても構わないと思っています。
現行LVC製品で、洗濯後のオンス数まで表記する事については、恐らく12オンスと聞くと「薄い!」と言う印象を受ける人がいる事を配慮しているのではないかと推測しています。
501の使用生地は生デニムなので、確かに縮む事によって生地の厚さ、強度は変わります。また、防縮加工済みのデニムと単にオンス数を比べた場合、不利な数字になる事も事実です。と言うことで、復刻のデニムのオンス表記に洗濯後のオンス数を加えて示す事はある程度理解できます。
関連記事:
[生デニムの縮み後のオンス数計算例 ##link##]
次回、80年代以降のギャランティーチケットを中心にした記事を書く予定です。
Webストアで、80年と85年のギャランティーチケットを販売しております。コレクターの方、革パッチの501XXをお持ちの方、いかがでしょうか?ご検討よろしくお願いします!
["FOR OVER 80 YEARS" オイルクロス・ギャランティーチケット/ ロングホーンインポート ##external-link##]
LVCの1933及び1937年モデルについているギャランティーチケットは、"FOR OVER 60 YEARS"となっています。
"FOR OVER 70 YEARS"のギャランティーチケットは、戦前のモデル(シンチバックの501xx)でも使用されていたことが確認できています。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- FOR OVER 70 YEARSのチケットの表記は2種類存在します。戦前のモデルの表記は、”OUR CELEBRATED BLUE DENIM COPPER RIVETED OVERALLS”となっており、大戦中のモデルの表記は、”COPPER”が"ORIGINAL"に変更されています。以降のチケットでは、ORIGINALの表記が継続して使用されています。
[第二次世界大戦直後の新品501に付属していたフラッシャーとギャランティーチケット / ロングホーンインポート ##external-link##]
[post_ads]
現在、私が手元にある古い年代のギャランティーチケットは、"80 YEARS”と"85 YEARS"です。"FOR OVER 80 YEARS"は1940年代後半、いわゆる47モデルと呼ばれる大戦後の1947年頃に登場した片面タブ、革パッチの501xxに付けられているものです。
また、"FOR OVER 85 YEARS"は、50年代前半頃の革パッチとギャラ入り紙パッチ(初中期頃?)までに付けられていたと推定しています。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- FOR OVER 80 YEARSのチケットの素材は、オイルクロスと紙の2種類があります。1950年代の後半頃(終わり近く、または1960年代の初め頃)にギャランティーチケットの素材がオイルクロスから紙に変更になったと推測しています。
例として80年チケットでこれまでと同様の年の換算をすると、リベット特許取得年の1873年から80年を足すと1953年になります。
現時点での推定としては、80年チケットは40年代後半から使われ、50年代前半頃から85年チケットに移行になったと考えています。
上3行をまとめた文面は、"FOR OVER XX YEARS" "OUR CELEBRATED XX...RIVETED OVERALLS" "HAVE BEEN BEFORE THE PUBLIC"となっており、文意としては、『我々の記念すべきXXブルーデニム、リベット使用のオーバーオールは、xx年以上もの間市場に存在しています。』の意味となります。
実際のところ、60年代以降の"FOR OVER XX YEARS”の年表記は首尾一貫しないところが多々あります。良く言えば、アメリカ的な細かいところは気にしない、おおらかさの現れでもあります。また、意味的にはXX年以上となるため、年が経過して更新しなくても意味的には特に支障はないとも言えます。
記載以外の部分での"FOR OVER 85 YEARS”までのギャランティーチケットの大きな特徴は、オイルクロスと呼ばれる表面にコーティングがされた布が使われています。

左は"FOR OVER 80 YEARS"です。特に注目すべき箇所は黄色で囲った部分です。
"THEY ARE MADE OF SELECTED TEN OUNCE AMERICAN DENIM"となっており、1927年のチケットの該当箇所の9オンスから10オンスデニム変更になっています。
この10オンスの記載は、LVCの33/37モデルの60年チケットとオリジナルの70年チケット(大戦モデル)でも同様です。
FOR OVERの下の行は、"OUR CELEBRATED XX BLUE DENIM ORIGINAL RIVETED OVERALLS"となっています。1927年のチケットでは"COPPER RIVETED OVERALLS"と記載されていたところが、第二次世界大戦中のモデルから、"ORIGINAL RIVETED OVERALLS"に変わっています。
この記載は、1927年に行われた"This is a pair of them"から"This is a pair of Levi's”と似た主旨で、オーバーオールの元祖であることを強調する表現への変更です。
この箇所はLVCの60年チケットではCOPPERで、70年チケットではORIGINALです。
最後の行は"BY CUTTING THE THREAD..."から"BY PULLING THE STAPLE..."に変更になっています。この箇所も70年チケットも80年と同じ表記です。尚、60年チケットではどうなのかは現時点では不明です。
細かい事ですが、本表記から、ギャランティーチケットの取り付けはそれまでは糸で縫い付けていたものから、ホッチキス留めに変わったと思われます。
以下の品は"FOR OVER 85 YEARS"です。上の80年チケットと年代は近いのですが、いくつか注目すべき変更が行われています。

"EXCLUSIVE XX TOP WEIGHT DENIM TESTS STRONGEST. WEARS LONGEST" (XX専用のトップウェイト(肉厚)デニムは最強度を証明。最上の耐久性・最も長持ち)と表現が大幅に変更になっています。
80年チケット以前は生地のオンス数を明記していましたが、ギャランティーチケットにおいて85年以降は明記しなくなります。
LeeやWranglerのジーンズは当時10オンスより重いデニムを使用していました。単にオンス数だけを示した場合、より高いオンスのデニムを使用する競合品に対して、優位性を示すどころか、逆に劣る様な印象を与えかねません。
オンス表記を止めて、”最も丈夫である”と言うことを強調する方針に転換したのだと考えます。実際、この年代のリーバイスのデニムを手にしたり、穿いてみると丈夫さ、高品質さを感じます。当時の生地の素材、製法、品質は現代の基準とは明らかに異なるものなので、単純に比べられないものでもあります。
単に今、10オンスのデニムと聞くと、薄手である印象を持ちます。ところが、この年代の製品を手にしたり、着用した時に10オンスと言う気はしません。オンス数は目安の一つであっても、生地の強度や風合いとはあまり直接関連がない場合もあると思います。
Leeのジェルトデニム等と比べて見た場合、XXデニムの方が明らかに厚みがあります。ジェルトデニムは密度は高いですが、生地は非常に薄いです。
60年代以前、特に50年代以前のデニム生地は個性的です。50年代のLeeやラングラーの製品と比べてみると、それぞれの使用デニムがとても個性的で異なることは一見しても分かります。生地の色味、風合い、織り方、どれをとっても大きく異なります。
関連記事:
[ヴィンテージ501のオンス数について ##link##]
[ヴィンテージ デニムのオンス数についての考察 ##link##]
尚、現行のLVC(復刻)の44モデルや47モデルは、12オンスのデニムを使用しています。そして、洗濯後14オンスになると説明が加えられています。オリジナルとは異なるオンス数のデニムを使用していないことになります。
仮に同じオンス数のデニムを使用したとしても、風合いや、色等、完全に再現する事は不可能なので、個人的には別に同じでなくても構わないと思っています。
現行LVC製品で、洗濯後のオンス数まで表記する事については、恐らく12オンスと聞くと「薄い!」と言う印象を受ける人がいる事を配慮しているのではないかと推測しています。
501の使用生地は生デニムなので、確かに縮む事によって生地の厚さ、強度は変わります。また、防縮加工済みのデニムと単にオンス数を比べた場合、不利な数字になる事も事実です。と言うことで、復刻のデニムのオンス表記に洗濯後のオンス数を加えて示す事はある程度理解できます。
関連記事:
[生デニムの縮み後のオンス数計算例 ##link##]
次回、80年代以降のギャランティーチケットを中心にした記事を書く予定です。
Webストアで、80年と85年のギャランティーチケットを販売しております。コレクターの方、革パッチの501XXをお持ちの方、いかがでしょうか?ご検討よろしくお願いします!
["FOR OVER 80 YEARS" オイルクロス・ギャランティーチケット/ ロングホーンインポート ##external-link##]
昔からの謎があります。ビッグEのギャランティチケットです。今から約30年前に502にあこがれ、デッドストックを購入(ビッグE初期のモデルですが、アーキュエイトはポリ糸の物です。)。ギャランティチケットには「FOR OVER 100 YEARS」とありました。当時はリーバイスの「SINCE 1850」という事で1850年に足すものだと持っていました。足すと1960年です。しかしフラッシャーは1966年です。
返信削除ブログにおける1873年に100年足すと1973年です。5年更新で一番新しい年で1973年となります。
現在ではビッグEは1967~1969年製となっていますが、これをどう考えればいいでしょうか?