ヴィンテージ501はディテールなどからある程度、年代を絞り込むことができます。後ろ中央のベルトループがオフセットされている(ずれて取付けられている)仕様は、革パッチの後期、またはギャラ入り紙パッチの特徴です。
本記事では、推定1950年代中頃の革パッチ501XXのディテールとオフセットベルトループ501xxの革パッチか紙パッチかを見分けるポイントなどを紹介します。
本記事では、推定1950年代中頃の革パッチ501XXのディテールとオフセットベルトループ501xxの革パッチか紙パッチかを見分けるポイントなどを紹介します。
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推定革パッチ ヴィンテージ リーバイス 501xx |
501XXは太もも部から裾にかけてテーパードがほとんどかからない、純粋なストレートであることがシルエットの特徴です。

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- ##hand-o-right## 備考
- ジーンズは、同じモデルでもワンサイズ、ツーサイズ異なると全く異なるサイズ感やシルエットの印象を受けることがあります。ヴィンテージの場合は、個体差も加わるため、一品ごとに穿いた印象も大きく異ることが多いです。
関連記事:ここで紹介している501より少し前の年代の501xxの紹介記事です。
[ヴィンテージ 501XX 革パッチ ベルトループセンター 両面タブ ##link##]
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ベルトループオフセット
大戦後の501XXでは、ベルトループが後ろ中央部につけられていました。ベルトループの幅は太めです。1950年代の半ば頃からベルトループは少し細くなり後ろ中央部から少し左にずらして取り付けられる様になります。この様な後ろ中央のベルトループがずらして取付けられている仕様は、オフセットベルトループと呼ばれています。
オフセットベルトループは1950年代中頃から1962年頃までの501のディテールの特徴の一つです。ベルトループがずれて取付けられる仕様に変更されてから、少し経過してパッチの素材が革から紙に移行になりました。

501xxのパッチについて
1950年代中頃までの501は、パッチの素材が革でした。戦後、一般家庭に乾燥機が普及しました。当時のリーバイスの主力デニム製品に取付けられていた革素材のパッチは、乾燥機を使用すると大きく縮んでしまう性質があります。
下は、2ウォッシュ程度の506xxの革パッチ、数回ウォッシュの501xxの革パッチと使用感のある片面タブの501xxのパッチを並べて撮影した写真です。
一番上の506xxのパッチはほとんど縮んでいない状態、中央の501xxのパッチは少し縮んだ状態、下の501xxは更に縮んだ状態です。これ以上縮むとパッチが破損する可能性が高いです。
関連記事: 上の写真中央の501xxは本記事の上のリンク先の記事で紹介しています。下の片面タブは以下の記事にディテールなどを紹介しています。
[ヴィンテージ 501XX 革パッチ 片面タブ ##link##]
当時、外されることも多かった革パッチ
乾燥機使用によって収縮した革パッチによって生地の引きつりを起こした状態で現存する品もあります。ヴィンテージが認知された現代では、ジージャンの革パッチが縮んでひきつけを起こした状態だと、外から見ても革パッチと分かるため、好まれる場合もあります。
しかし、ヴィンテージが製造、販売されていた当時は、引きつけを起こしたり、生地にダメージを与えることを望まない人がほとんどだったと思われるため、縮んでしまったら外したり、新品購入時、洗濯前に予めパッチを取り外すことも少くなかったと思われます。
パッチがない501XXの革か紙パッチかの見分け方
本品はパッチが付いていません。パッチ部とそれ以外の生地の色味の差も感じられない事から最初の段階で取り外されていたと思われます。
パッチがない場合でも、ディテールなどから革パッチか紙パッチの判別が可能です。
革パッチはステッチも切り取るなどしないと、取り外すことはできません。そのため、革パッチを取り外した場合は、取付けていたステッチも消失しています。
上の画像を見るとウエストバンド上部の一部のステッチが消失しています。また、パッチを囲うように取付けられていたステッチがありません。
パッチの取付けステッチが消失している場合は、革パッチの可能性が高いです。
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- ##hand-o-right## 備考
- ステッチが残っている場合、革パッチの断片(切れ端)も部分的に残っていることが多いです。紙パッチの場合は、パッチは完全に消失していても、ステッチは綺麗に残っていることが多いです。
フライボタン
本品のフライボタンは、"LEVI STRAUSS"のRの足が通常の長さです。(他の文字と下側が揃っている)
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1950年代中頃の501xxのフライボタン |
このタイプのフライボタンは、ベルトループがオフセットになる少し前からギャラ入りの最初期頃までの比較的短い期間使用されたと推測しています。革パッチでオフセットベルトループの501xxの場合、基本的にこのフライボタンとなります。
前の世代、1940年代から50年代前半の501xxのフライボタンは、文字の周りはフラットです。
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1940年代から50年代前半の501xxのフライボタン |
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- ##hand-o-right## 備考
- 最初期のギャラ入り紙パッチでは足長Rではないフライボタンを使用している場合もありますが、一般的にフライボタンが足長Rか否かは、革パッチかギャラ入り紙パッチかの見分け方の判断材料の一つとなります。
501XXのステッチ色
本品のフロント部のアップです。この501XXはほとんどの箇所でオレンジ色のステッチが使用されています。
60年代以前の501XXでは、オレンジとイエローのステッチが使用されています。
ステッチの色は、アーキュエットステッチとウォッチポケット開口部の横に入るステッチの色はイエローである事が仕様として定められていたと推測しています。
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501xx 推定革パッチのウォッチポケット |

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- ##hand-o-right## 備考
- 戦後の501XXは、基本的に全てアーキュエットとウォッチポケット入り口の糸の色はイエローです。(イレギュラーはあると思います。)
アーキュエットとウォッチポケット入り口以外のステッチの色の選択は現場の裁量に任せられていたのではと推測しています。
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- ##hand-o-right## 備考
- 501 Big-E後期からはほぼ全てオレンジステッチになります。
赤タブが切り取られている
本品のタブは切り取られてしまって、赤タブの痕跡が僅かに残っているだけです。
リーバイスのイレギュラー品は、出荷前に赤タブを切り取る場合もあります。1950年代の製品の場合、赤タブがない理由としてもう一つの可能性があります。
50年代の高校ではリーバイスの赤タブを切り取ることが流行したそうです。本品は、特にイレギュラーと思われる不具合はないこと、50年代の高校で赤タブを切り取るのが流行した年代の製品であることから、後からタブが切り取られた可能性も高いと考えています。
以下のリーバイスドキュメンタリーフィルムでも、50年代の高校でリーバイスジーンズの赤タブを切り取ることが流行ったことが紹介されています。
関連記事: リーバイスドキュメンタリーの内容を紹介した記事です。
[Levi's As America: A Riveting Icon パート3 ##link##]
トップボタン脇Vステッチ
ウエストバンド内側上がシングルステッチで、トップボタン脇がVステッチです。このステッチ処理は、501XX共通の仕様です。501xxの後継モデルビッグEの60年代後半まで使われます。

ボタン裏刻印ではなく隠しリベットに刻印
本品のトップボタン裏に刻印はありません。

トップボタンではなく隠しリベットに刻印があります。刻印は12です。
50年代半ばより古いモデルの場合、隠しリベットの方に二桁の数字の刻印がされている場合が多いです。
紙パッチ(ギャラ入り)の初期のモデルでは、隠しリベットとトップボタン裏両方に刻印があるものの存在が確認されています。パッチの素材が革から紙に移行した直後に製造工場を示す刻印の場所も、隠しリベットからトップボタン裏に変更になったと推測しています。
フロントリベット内側(オス)銅色
フロントポケットの取付け強化に使用されている内側のリベットの色は銅色です。内側のリベット(オス)が銅色なのは、501XX革パッチからギャラ入り紙パッチまでの特徴です。ギャラ無し以降はアルミ製のシルバーに変更となります。(最初期・移行期のギャラ無し紙パッチも銅色のリベットが使われているものがあります。)フロントポケット布袋の上のリベットの色は紙パッチギャラ入りか無しかの見分け方でもよく知られています。
ヴィンテージ 501xxは、ディテールなどを調べたりすることも楽しみの1つです。個人的には501XXの生地と色味に魅力を感じます。シルエット的にはBig-E以降の方が好きなのですが、501xxの生地のオーラと色味は圧倒的な魅力を感じます。
(本記事は、2013年5月に投稿した記事を見直し再投稿したものです。)
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