リーバイスのデニム製品には、伝統的にタブと呼ばれる小さなリボン生地が取り付けられています。
伝統的な品番、モデルのジーンズであれば右バックポケットに、ジージャンであれば左胸ポケットに、赤色の通称”赤タブ(レッドタブ)”が付けられています。
派生製品や廉価版等のラインでは、オレンジタブや他の色のタブも過去に使用されています。
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赤タブが最初に登場したのは1936年です。当時、リーバイス社はアーキュエットステッチの商標登録を行っていなかったため、競合他社もアーキュエットステッチを使用したジーンズを製造販売していました。
リーバイス社のジーンズであることをすぐに識別できる様にするために、リーバイス社のセールスマネージャーがリボンの生地をバックポケットに取り付けるアイディアを考案し、直ちに採用されたのが始まりです。
赤タブは表記形式等の違いでいくつかの種類に分かれます。そのため、ヴィンテージのモデルの判別等にも使われます。
ヴィンテージリーバイスの区分けとして一般にも知られているのが、ビッグE、スモールe等と言う名称です。これは、タブに表示されるリーバイス社の社名の表記に大文字のEが使用されている物をビッグE、小文字のeが使用されている物をスモールeと呼びます。
写真の右がビッグE(モデルは66E)、左がスモールe(モデルは66前期)です。
ビッグEからスモールeへの表記の変更が行われたのは、リーバイス社が株式を公開した1971年と一般的に認知されています。尚、リーバイス社は後に株を買い戻し、現在は非公開です。
リーバイス社の資料にも1971年、株式公開の年に赤タブの表記がEからeに変わったとの説明があります。
しかし、501等のジーンズの赤タブの表記の移行はそれよりも後であると思われる材料があります。
1960年代の終わり頃から1970年代前半のヴィンテージ・リーバイス501のモデルは、年代の古い物から順にビッグE、66E、66前期となっています。
66EはタブがビッグE、66前期はタブがスモールeであることが特徴です。
66はフラッシャーのコピーライトの更新年が1966の表記だったことから、その名前がつけられました。1966の記載があるフラッシャーは、それよりも前のモデルから付いているので、66固有の物ではありません。
また、1966年のモデルと言う意味でもないのが非常に紛らわしいところです。
66モデル固有の特徴は、パッチのロット番号表記の上に小さな文字で"CARE INSTRUCTION INSIDE GARMENT"と表示され、内側に取り扱い説明がスレーキにスタンプされるか、印刷された白い布タグがついていることです。
また、66から製造年月を示す表示が加えられました。下の写真は、66前期の取り扱い説明タグの裏側です。
ロット番号501の表示の下に、"2 5 6"と3つの数字が並んでいます。一番右の数字の6は、ボタン裏刻印と同じ番号になります。この番号は工場を意味していると思われます。
真ん中の番号は、製造年を意味しています。1970年代の何年かを示します。写真では、5で1975年製であると判定できます。
左の番号は、製造の月を意味します。2 5で1975年2月製であることが分かります。
これまで私が見てきた66前期のスモールeのタグの物は、一番古い物で1974年製でした。
スモールeには、タグの前の年代であるスレーキにスタンプされた物もあります。
スレーキのスタンプの製造年等の表示はいくつかの種類がありますが、基本的には、製造年月、年、工場番号を意味する3つの数字があり、タグの表記と同じです。
スタンプのスモールeは1973年製のものが殆どです。それより古い年表示のものを見たことがありません。
そのため、スモールeのタブが付く最初期66前期の501の生産は1973年頃と推測しています。
一方で、1967年に登場したリーバイス社のコーポレートのロゴであるバットウイングはスモールeです。
さらにここで、興味深いものを紹介します。下の写真はリーバイス・イギリスのポスターです。
左下には、"This colorful year of '69, LEVI's have produced ..."と書かれ、このポスターが1969年のもであることを示しています。そして、右側には赤タブでスモールeが印刷されています。
このポスターはLevi's LEADSと言うラインで、ジーンズではありません。また、イギリス・ヨーロッパ市場向けの専用ラインの可能性もあります。
1960年代リーバイスは、赤でなく色々な色のタブを使用しています。1960年は社会も急激に変化しており、リーバイス社も急拡大しています。目まぐるしい変化があった時代です。
タブの表示についても様々な試みが行われていたと思われます。
長くなってしまいましたが、ビッグEからスモールeへのタブの移行の年は、1971年と明確に断言できる物ではないと考えています。
この様な不確実さ、あいまいさ多様さは、1960年代から70年代にかけて、大きな社会変動、若者文化、そしてリーバイス社とその製品群の激変を物語っていると思います。
関連記事:
[##check## 501の歴史 3: レッドタブ誕生から47モデル登場まで]
[##check## リーバイス赤タブ誕生80周年]
伝統的な品番、モデルのジーンズであれば右バックポケットに、ジージャンであれば左胸ポケットに、赤色の通称”赤タブ(レッドタブ)”が付けられています。
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2012年製501STFとLVC67505 |
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赤タブが最初に登場したのは1936年です。当時、リーバイス社はアーキュエットステッチの商標登録を行っていなかったため、競合他社もアーキュエットステッチを使用したジーンズを製造販売していました。
リーバイス社のジーンズであることをすぐに識別できる様にするために、リーバイス社のセールスマネージャーがリボンの生地をバックポケットに取り付けるアイディアを考案し、直ちに採用されたのが始まりです。
赤タブは表記形式等の違いでいくつかの種類に分かれます。そのため、ヴィンテージのモデルの判別等にも使われます。
ビッグEとスモールe
ヴィンテージリーバイスの区分けとして一般にも知られているのが、ビッグE、スモールe等と言う名称です。これは、タブに表示されるリーバイス社の社名の表記に大文字のEが使用されている物をビッグE、小文字のeが使用されている物をスモールeと呼びます。
ビッグEからスモールeへの表記の変更が行われたのは、リーバイス社が株式を公開した1971年と一般的に認知されています。尚、リーバイス社は後に株を買い戻し、現在は非公開です。
リーバイス社の資料にも1971年、株式公開の年に赤タブの表記がEからeに変わったとの説明があります。
しかし、501等のジーンズの赤タブの表記の移行はそれよりも後であると思われる材料があります。
66モデルの期間にビッグEからスモールeへ移行
1960年代の終わり頃から1970年代前半のヴィンテージ・リーバイス501のモデルは、年代の古い物から順にビッグE、66E、66前期となっています。
66EはタブがビッグE、66前期はタブがスモールeであることが特徴です。
66はフラッシャーのコピーライトの更新年が1966の表記だったことから、その名前がつけられました。1966の記載があるフラッシャーは、それよりも前のモデルから付いているので、66固有の物ではありません。
また、1966年のモデルと言う意味でもないのが非常に紛らわしいところです。
66モデル固有の特徴は、パッチのロット番号表記の上に小さな文字で"CARE INSTRUCTION INSIDE GARMENT"と表示され、内側に取り扱い説明がスレーキにスタンプされるか、印刷された白い布タグがついていることです。
また、66から製造年月を示す表示が加えられました。下の写真は、66前期の取り扱い説明タグの裏側です。
ロット番号501の表示の下に、"2 5 6"と3つの数字が並んでいます。一番右の数字の6は、ボタン裏刻印と同じ番号になります。この番号は工場を意味していると思われます。
真ん中の番号は、製造年を意味しています。1970年代の何年かを示します。写真では、5で1975年製であると判定できます。
左の番号は、製造の月を意味します。2 5で1975年2月製であることが分かります。
これまで私が見てきた66前期のスモールeのタグの物は、一番古い物で1974年製でした。
スモールeには、タグの前の年代であるスレーキにスタンプされた物もあります。
スレーキのスタンプの製造年等の表示はいくつかの種類がありますが、基本的には、製造年月、年、工場番号を意味する3つの数字があり、タグの表記と同じです。
スタンプのスモールeは1973年製のものが殆どです。それより古い年表示のものを見たことがありません。
そのため、スモールeのタブが付く最初期66前期の501の生産は1973年頃と推測しています。
一方で、1967年に登場したリーバイス社のコーポレートのロゴであるバットウイングはスモールeです。
スモールeの赤タブが描かれている1969年のリーバイス・イギリスのポスター
さらにここで、興味深いものを紹介します。下の写真はリーバイス・イギリスのポスターです。
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(Source: Levi Strauss & Co.) |
このポスターはLevi's LEADSと言うラインで、ジーンズではありません。また、イギリス・ヨーロッパ市場向けの専用ラインの可能性もあります。
1960年代リーバイスは、赤でなく色々な色のタブを使用しています。1960年は社会も急激に変化しており、リーバイス社も急拡大しています。目まぐるしい変化があった時代です。
タブの表示についても様々な試みが行われていたと思われます。
長くなってしまいましたが、ビッグEからスモールeへのタブの移行の年は、1971年と明確に断言できる物ではないと考えています。
この様な不確実さ、あいまいさ多様さは、1960年代から70年代にかけて、大きな社会変動、若者文化、そしてリーバイス社とその製品群の激変を物語っていると思います。
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