米国で販売されている2015年の501ラインナップは、魅力的なモデルの品揃えが充実していると昨日投稿の記事に書きました。
興味深いことに、2015年の秋冬は日本の501ラインもこれまでと比べて、かなり良く魅力的なモデルが揃っていると思います。
リーバイスジャパン公式オンラインストア501CT商品ページ
日本での2015年の秋冬モデルのラインナップの話をする前に少し過去の状況・背景について書きます。
長くなりますが、ご容赦ください。
2002年末のリーバイス米国工場閉鎖以前は、日米で基本的に同じ501が販売されていました。
リーバイス米国工場閉鎖に伴い、日本ではリーバイスジャパンによる独自企画の501が販売される様になりました。
2003年以降の日本で販売される501は、リーバイスジャパンの企画によるもので、独自の仕様、生産もアジア圏の国で行われ、工場を含めて、米国で販売される501とは異なる様になりました。
リーバイスジャパンの業績は、2000年代の前半は比較的堅調でしたが、2005年を境に売り上げは急激な下落傾向となり、2009年以降、5年以上赤字が続く状態となりました。
関連記事:
リーバイスの状況分析と一501愛好家からのリーバイスジャパンへの提言
業績の悪化、低迷の中で、製品ラインやブランディングの面でも、リーバイスジャパンは迷走が続いている様に感じています。
2013年に日本独自の「501が変わる」のメッセージングを行ったこと、2015年の初めに大々的に発表された501CTについても、ブランディングの仕方や品揃えなどで、個人的には正直一体何を考えているのかと思うところがありました。
製品自体が悪い・良くないと言うことではありません。
製品の位置づけや宣伝・コピーといった手法について、異なる意見を持っているということです。
ブランディングは色々な考え方があり、どれが正しくて、間違っていると明確に言えるものではありません。
商品企画、製品・販売戦略についても同様のことが言えます。
事業を営む企業であれば、製品企画、販売戦略、ブランディング、事業戦略等での評価は、業績が一つの大きな指標、評価の基準となります。
業績、そして業績の推移を見た場合、リーバイスジャパンへの評価はどうしても芳しいものではありません。
今年の1月に501CTが発表され、大きな注目を集める中でリーバイスジャパンが発表した取り扱う色揃えは、率直に言って、”売る気があるのだろうか?”と思いました。
米国では用意されているデニム・ジーンズの基本色であるインディゴ・リジッドがなかったことが、大きな理由の一つです。
デニムの基本色インディゴブルーは、日本では一般的に最も需要・人気があるものの一つです。
加工品を求める人もいるので、加工品は必要ですが、基本色も必要だと思います。
今年の2月に本ブログの記事で読者を対象に行ったアンケート結果を以下に添付します。
今年の初めに発売された501CTは、基本的に米国で販売されたモデルと同じ色揃えでした。
なぜ、インディゴリジッドを日本で取り扱わなかったのかについては、リーバイス社内の事情、企画・事業的な判断であり、社外の人間が知る由もありません。
一つの想像になりますが、リーバイスジャパンとしては、独自企画でなく、米国モデルと同じものが売れてしまうと困るということが背景、理由の一つとしてあったのではないかと思います。
501CTに関しては、米国が完全に主導し、力を入れて開発したものです。
2015年2月日本発売のモデルは、米国モデルを日本で売る形態でした。(細かく言うと、生産工場は一部米国モデルのメキシコ製ではなく、アジア圏やヨロッパ圏のものもあった様です。しかし、色名などは基本的に同じです。)
米国で企画、デザインされたものを、そのまま日本で売って、売れてしまうと、日本で企画する必要性が希薄となります。
衣料品は地域、国による嗜好の差があるのが通例のため、ある程度の企業規模を持つ会社は、地域ごとにその地域の市場にあった製品の企画を行い、販売するのが通例です。
これにリーバイスも該当します。
ただし、冒頭部で書いた様に以前は、501については米国で生産・販売されるものと基本的に同じ製品・モデルが日本でも販売されていました。
リーバイスジャパンは、JASDAQに上場する株式を公開した企業です。
親会社は米リーバイス社とは言え、独立性(独立採算性)が求められます。
(企業形態を大きく変えて、販売専門会社に変わるというのもあるでしょうが、ジャパン自体はそのようになりたいと思ってはいないと思います。)
実際のところは、分かりませんが、業績不振にあえいでいたリーバイスジャパンは色々苦しい・難しい社内事情もあると思います。(ある部分、どこにでもあることです。業績が悪化すると、社内の環境も悪化しがちです。赤字が続けば特にそうだと思います。)
前置きが非常に長くなってしまいました。本題に入ります。
昨年、2014年の秋冬コレクションに、501 ロングデイが加わりました。発売開始は米国より1ヶ月弱程度、早かったと思います。
日本で先に販売された理由は、日米の秋冬のコレクションの入れ替えの時期の違いが関連していると思います。)
ロングデイはセルビッジ付き生デニムを使用したモデルです。日本で販売するLVCを除いた通常の製品ラインではかなりの期間、生デニムを使用した501がありませんでした。
501 ロングデイは、リーバイスジャパンが取り扱う501で久しぶりの生デニム使用のモデルでした。
ロングデイは日米共通のモデルです。生産がメキシコなので、米国が主導で企画したモデルと思われますが、ロングデイは価格もレギュラーより高めで、製品の魅力もあるため、日本市場にも適したモデルだと思います。
2015年の日本市場向け秋冬ラインに、501 ロングデイは残っています。
関連記事:
日米共通取り扱い501-1931 ロングデイ
リーバイスジャパンの2015年秋冬メンズ・コレクションの注力ラインは501CTだと思います。
日本では、501CT セカンドシーズンと位置付けて、品揃えを増やしています。
9月21日の時点で、501CT メンズは13色、レディースは8色です。
何と言っても注目の目玉商品は、コーンミルズ・ホワイトオーク工場製のセルビッジデニムを使用した501 CT Made in the USAです。
縫製はロスアンジェルスと発表されているため、本モデルは501-1995と同じ生地、縫製工場で製造されていると思われます。
日本市場向けには、501の伝統であるストレートシルエットの501-1995ではなく、501CT Made in USAを販売するアプローチと言えます。
501CTは日本での評判はかなり良いようなので、妥当なアプローチだと思います。
関連記事:
501CT Made in USA 日本で発売開始!
501CT Made in USAを購入された方からのご感想と同種501との比較
色も米国ラインと異なる色が豊富で、スタンダードな色も多く揃っています。ブラックもあります。
また、価格は2015年の春夏よりも下げています。
さらに注目は、リジッドカラーがあることです。
関連記事:
501CT リジッドカラー
商品説明に「購入後の洗濯により、最大で3%の縮みが発生します。」とあるので、防縮加工の未洗いデニムの可能性が高いです。
本品は、価格は税込みで14040円です。価格も魅力がある価格帯に入っていると思います。
リーバイスジャパン公式オンラインストアの商品ページ:
501CT カスタムテーパード/リジッドカラー/CONE MILLS 12oz デニム
レギュラーの501も従来通り、スタンダードな色が揃っています。
501CT Made in USAは、27000円と高額で数もかなり絞っているようですが、注目度は非常に高いです。
高額でも人気の高いモデルが商品ラインナップにあると、全体の品揃えや商品構成に厚みができると思います。
普及価格帯には、これまでの501レギュラーラインに加え、生デニムの501 ロングデイ、さらには、501CT リジッドを含めた幅広い501CTの色揃えとなっています。
リーバイスジャパンの2015年の秋冬の501のラインナップも、かなり充実していると思っています。
このラインナップを見ていると、リーバイスジャパンも長かった迷走状態から抜け出してきたようにも思います。
興味深いことに、2015年の秋冬は日本の501ラインもこれまでと比べて、かなり良く魅力的なモデルが揃っていると思います。
リーバイスジャパン公式オンラインストア501CT商品ページ
日本での2015年の秋冬モデルのラインナップの話をする前に少し過去の状況・背景について書きます。
長くなりますが、ご容赦ください。
2002年末のリーバイス米国工場閉鎖以前は、日米で基本的に同じ501が販売されていました。
リーバイス米国工場閉鎖に伴い、日本ではリーバイスジャパンによる独自企画の501が販売される様になりました。
2003年以降の日本で販売される501は、リーバイスジャパンの企画によるもので、独自の仕様、生産もアジア圏の国で行われ、工場を含めて、米国で販売される501とは異なる様になりました。
リーバイスジャパンの業績は、2000年代の前半は比較的堅調でしたが、2005年を境に売り上げは急激な下落傾向となり、2009年以降、5年以上赤字が続く状態となりました。
関連記事:
リーバイスの状況分析と一501愛好家からのリーバイスジャパンへの提言
業績の悪化、低迷の中で、製品ラインやブランディングの面でも、リーバイスジャパンは迷走が続いている様に感じています。
2013年に日本独自の「501が変わる」のメッセージングを行ったこと、2015年の初めに大々的に発表された501CTについても、ブランディングの仕方や品揃えなどで、個人的には正直一体何を考えているのかと思うところがありました。
製品自体が悪い・良くないと言うことではありません。
製品の位置づけや宣伝・コピーといった手法について、異なる意見を持っているということです。
ブランディングは色々な考え方があり、どれが正しくて、間違っていると明確に言えるものではありません。
商品企画、製品・販売戦略についても同様のことが言えます。
事業を営む企業であれば、製品企画、販売戦略、ブランディング、事業戦略等での評価は、業績が一つの大きな指標、評価の基準となります。
業績、そして業績の推移を見た場合、リーバイスジャパンへの評価はどうしても芳しいものではありません。
今年の1月に501CTが発表され、大きな注目を集める中でリーバイスジャパンが発表した取り扱う色揃えは、率直に言って、”売る気があるのだろうか?”と思いました。
米国では用意されているデニム・ジーンズの基本色であるインディゴ・リジッドがなかったことが、大きな理由の一つです。
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501CT インディゴリジッド |
加工品を求める人もいるので、加工品は必要ですが、基本色も必要だと思います。
今年の2月に本ブログの記事で読者を対象に行ったアンケート結果を以下に添付します。
今年の初めに発売された501CTは、基本的に米国で販売されたモデルと同じ色揃えでした。
なぜ、インディゴリジッドを日本で取り扱わなかったのかについては、リーバイス社内の事情、企画・事業的な判断であり、社外の人間が知る由もありません。
一つの想像になりますが、リーバイスジャパンとしては、独自企画でなく、米国モデルと同じものが売れてしまうと困るということが背景、理由の一つとしてあったのではないかと思います。
501CTに関しては、米国が完全に主導し、力を入れて開発したものです。
2015年2月日本発売のモデルは、米国モデルを日本で売る形態でした。(細かく言うと、生産工場は一部米国モデルのメキシコ製ではなく、アジア圏やヨロッパ圏のものもあった様です。しかし、色名などは基本的に同じです。)
米国で企画、デザインされたものを、そのまま日本で売って、売れてしまうと、日本で企画する必要性が希薄となります。
衣料品は地域、国による嗜好の差があるのが通例のため、ある程度の企業規模を持つ会社は、地域ごとにその地域の市場にあった製品の企画を行い、販売するのが通例です。
これにリーバイスも該当します。
ただし、冒頭部で書いた様に以前は、501については米国で生産・販売されるものと基本的に同じ製品・モデルが日本でも販売されていました。
リーバイスジャパンは、JASDAQに上場する株式を公開した企業です。
親会社は米リーバイス社とは言え、独立性(独立採算性)が求められます。
(企業形態を大きく変えて、販売専門会社に変わるというのもあるでしょうが、ジャパン自体はそのようになりたいと思ってはいないと思います。)
実際のところは、分かりませんが、業績不振にあえいでいたリーバイスジャパンは色々苦しい・難しい社内事情もあると思います。(ある部分、どこにでもあることです。業績が悪化すると、社内の環境も悪化しがちです。赤字が続けば特にそうだと思います。)
前置きが非常に長くなってしまいました。本題に入ります。
昨年、2014年の秋冬コレクションに、501 ロングデイが加わりました。発売開始は米国より1ヶ月弱程度、早かったと思います。
日本で先に販売された理由は、日米の秋冬のコレクションの入れ替えの時期の違いが関連していると思います。)
ロングデイはセルビッジ付き生デニムを使用したモデルです。日本で販売するLVCを除いた通常の製品ラインではかなりの期間、生デニムを使用した501がありませんでした。
501 ロングデイは、リーバイスジャパンが取り扱う501で久しぶりの生デニム使用のモデルでした。
ロングデイは日米共通のモデルです。生産がメキシコなので、米国が主導で企画したモデルと思われますが、ロングデイは価格もレギュラーより高めで、製品の魅力もあるため、日本市場にも適したモデルだと思います。
2015年の日本市場向け秋冬ラインに、501 ロングデイは残っています。
関連記事:
日米共通取り扱い501-1931 ロングデイ
リーバイスジャパンの2015年秋冬メンズ・コレクションの注力ラインは501CTだと思います。
日本では、501CT セカンドシーズンと位置付けて、品揃えを増やしています。
9月21日の時点で、501CT メンズは13色、レディースは8色です。
何と言っても注目の目玉商品は、コーンミルズ・ホワイトオーク工場製のセルビッジデニムを使用した501 CT Made in the USAです。
縫製はロスアンジェルスと発表されているため、本モデルは501-1995と同じ生地、縫製工場で製造されていると思われます。
日本市場向けには、501の伝統であるストレートシルエットの501-1995ではなく、501CT Made in USAを販売するアプローチと言えます。
501CTは日本での評判はかなり良いようなので、妥当なアプローチだと思います。
関連記事:
501CT Made in USA 日本で発売開始!
501CT Made in USAを購入された方からのご感想と同種501との比較
色も米国ラインと異なる色が豊富で、スタンダードな色も多く揃っています。ブラックもあります。
また、価格は2015年の春夏よりも下げています。
さらに注目は、リジッドカラーがあることです。
関連記事:
501CT リジッドカラー
商品説明に「購入後の洗濯により、最大で3%の縮みが発生します。」とあるので、防縮加工の未洗いデニムの可能性が高いです。
本品は、価格は税込みで14040円です。価格も魅力がある価格帯に入っていると思います。
リーバイスジャパン公式オンラインストアの商品ページ:
501CT カスタムテーパード/リジッドカラー/CONE MILLS 12oz デニム
レギュラーの501も従来通り、スタンダードな色が揃っています。
501CT Made in USAは、27000円と高額で数もかなり絞っているようですが、注目度は非常に高いです。
高額でも人気の高いモデルが商品ラインナップにあると、全体の品揃えや商品構成に厚みができると思います。
普及価格帯には、これまでの501レギュラーラインに加え、生デニムの501 ロングデイ、さらには、501CT リジッドを含めた幅広い501CTの色揃えとなっています。
リーバイスジャパンの2015年の秋冬の501のラインナップも、かなり充実していると思っています。
このラインナップを見ていると、リーバイスジャパンも長かった迷走状態から抜け出してきたようにも思います。
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