リーバイスに続き今回は、ヴィンテージLeeのジージャンの種類と特徴について紹介します。
リーバイスは長い年月の流れの中で、ジージャンのデザイン・仕様を変更、モデルチェンジを何度か行っています。
Leeのジージャンは、誕生時から現在まで、基本的なデザインは登場時からほとんど変わっていないのが大きな特徴です。
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Leeの場合は、対象ユーザー・市場向けに特化した専用のデザインのデニムジャケットを製造、販売していました。ヴィンテージLeeのデニムジャケットの主要なモデル(品目)には、91-J、91-B、101-Jがあります。
91-Jは、鉄道労働者専用にデザインされたジャケットです。91-Bは、ジッパーを採用した着丈が短いジャケットです。
この二つのモデルは、ジェルトデニムを採用しています。
ジェルトデニムは、Leeが独自開発したワークウェア用の生地で、それまでにないほど強く締め上げた糸で織りも目が詰まっているため強度と耐久性が高いのが特徴です。生地の風合い、織りも一般的なデニムとは異なります。
リーバイスのジージャンと長年競合していたのは、101-Jです。ここでは、101-Jについて紹介します。
101-Jは、1931年にLeeが発表したウエスタンスタイルのデニム・ジャケットです。101-Jは、防縮加工(サンフォライズド)を施した左綾デニムを使用しています。
101-Jはカウボーイラインの製品として、カウボーイを対象に専用にデザインされたデニムジャケットです。
両胸に2ポケット。ポケットは内側に少し傾斜してるデザインです。カウボーイが馬に乗りながら、反対側の手を伸ばした時に手を入れやすい様に考慮して傾斜が付けられています。
着丈は短く、ウエストバンドの幅が広めです。ウエストバンドの幅を大きく取ることでより良いフィットを実現し、めくり上がらないような設計になっています。
リーバイスの506XXは左胸のみのワンポケットに対して、2ポケットであり、プリーツを持たないデザインです。リーバイスは、1953年に登場した507から2ポケットなります。
ポケットはジャケットの内側から布が当てられて取り付ける構造です。リーバイスの506と507は、外側から取り付けるポケットの構造です。
フロントのポケットから、左右それぞれ二つの並行ステッチがウエストバンドに向けて入れられています。
このポケットから下に向かうステッチは、外観上のアクセント・コントラストを入れる(視感的なインパクトを与える)目的で入っています。
着用するとシルエットもすっきりしていて、コーディネートしやすいです。がっちりした体型の人から痩せ気味の人まで、着用者の体型を問わないシルエットです。
両脇のウエストバンドにサイズを調整するアジャスターベルトが入れられています。
リーバイスの506XXは、サイズ調整にはシンチバックを備えていました。シンチバックのバックルが馬の鞍や家具を傷つけると不評だったため、戦後のモデルから針のないバックルに変更になりました。
そして、後継の507XXは、101-Jと同様にウエストバンド上のアジャスターベルトが備えられています。
Lee 101-Jは、様々な面で完成度が非常に高い逸品です。
Leeの101-Jは、基本デザインは変わっていないため、年代の判定・推定は、タグの表記形式を見て行うのが基本です。
細かい表記の違いでさらに細かく分かれますが、基本的な表示は変わりません。
50年代の後半にLeeの文字が一筆書きのように繋がる形式に変更になります。
50年代の終わりから60年代の初め頃は、タグの形が変更され、通称三角タグと呼ばれる(正確には台形に近いです)形に変更になります。
三角タグでは、上のタグと同じ配色のものと下のタグのように赤から白に文字表記が変更になるタイプの両方があります。
表記の色使いとしては、前者が古いため、年代的にも若干古いと推定しています。
この文字配色から、タグの呼び名が黒タグとなります。(例:上は”黒三角タグ”)
三角タグは比較的短命に終わり、以前と同じように四角形のタグに戻ります。また、Leeの文字も繋がりはなくなり、独立した表示に戻ります。
60年代以降のタグは通称黒タグと呼ばれています。
黒タグにも表記方法で微妙な差異があります。60年代に入ってから、Leeの右側に商標登録を示す®が加わります。
また、枠の下側にMADE IN U.S.A.の表記も加わります。
60年代の初期には、®が入らない黒タグもあります。
60年代の後半からは、UNION MADEの表記がなくなります。
この表記の黒タグは70年代の初め頃まで使用されます。
70年代に入ると®の右にM.R.が加わります。®オンリーのタグと移行期は混在があります。
60年代の終わりから70年代初め頃の101-Jの年代の推定は、タグに加えて、ピスマーク(タグ)と呼ばれる胸ポケットのフラップの付け根に付くタグが®のみか、M.R.もあるかを含めて判定します。
両方とも®のみであれば、60年代。どちらかがM.R.付きであれば、移行期。両方、M.R.付きであれば、70年代。というような判定をします。
40年代から70年代までの101-Jのデザイン、仕様は基本的に大きな変更はありません。
70年代前半までのLee 101-Jは、左綾のデニムを使用していることが特徴の一つです。
左綾デニムは、色落ちが進むと明確な縦落ちをする傾向を持っています。
デザイン、仕様は変わらない、生地も左綾、タグだけ違うだけなのか?という疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかと思います。
一つ前のリーバイスのジージャンについての記事などでも書いておりますが、ヴィンテージデニムは、同じメーカーの同じモデルでも、年代によって生地の色味、風合い、色落ちの仕方、漂うオーラなどが異なります。
これまでの私の見てきた経験、印象では、古い年代のヴィンテージLeeは、リーバイス以上に生地の差があるように思います。
どの年代もそれぞれの良さ、魅力があります。古くなるとオーラを含め、やはり受ける印象も変わります。
また、同じ年代のリーバイスのデニムとも色味、風合い等が大きく異なります。
下の写真左は、50年代終わりから60年代初めのLee 101-J 黒三角タグ、右はリーバイスギャラ入り557XXです。
色が濃いギャラ入り557XX は古い年代のリーバイスのデニムに見られる特有の黒みがかった色をしている場合が多いです。この色味は、本当に凄い迫力、魅力があります。
故に557の中でも、ギャラ入りだけは別格の扱いを受ける理由となっています。
単純に写真で見比べると、101-Jの方が明るめの色をしていますが、実際に見た生地の色味、雰囲気ではギャラ入り557XXに全く引けを取りません。
濃紺のギャラ入り557XXをご存知の方は、上記の表現がどれほどの意味を持つか、ご想像いただけると思います。
Leeもリーバイスも、それぞれ異なる特徴、持ち味、魅力があります。
リーバイスのファーストやセカンドに比べると、同年代のLee 101-Jは、価格的にはプレミアムが少ないので、比較した場合は、コストパフォーマンスは高いと思います。
関連記事:
[##check## ヴィンテージジージャン 1950年代 Lee 101-J 赤タグの特徴]
[##check## ヴィンテージ Lee 101-J 黒タグの特徴]
リーバイスは長い年月の流れの中で、ジージャンのデザイン・仕様を変更、モデルチェンジを何度か行っています。
Leeのジージャンは、誕生時から現在まで、基本的なデザインは登場時からほとんど変わっていないのが大きな特徴です。
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50年代 Lee 101-J 赤タグと80年代 レッドウイング アイリッシュセッター877 |
Leeの場合は、対象ユーザー・市場向けに特化した専用のデザインのデニムジャケットを製造、販売していました。ヴィンテージLeeのデニムジャケットの主要なモデル(品目)には、91-J、91-B、101-Jがあります。
91-Jは、鉄道労働者専用にデザインされたジャケットです。91-Bは、ジッパーを採用した着丈が短いジャケットです。
この二つのモデルは、ジェルトデニムを採用しています。
ジェルトデニムは、Leeが独自開発したワークウェア用の生地で、それまでにないほど強く締め上げた糸で織りも目が詰まっているため強度と耐久性が高いのが特徴です。生地の風合い、織りも一般的なデニムとは異なります。
リーバイスのジージャンと長年競合していたのは、101-Jです。ここでは、101-Jについて紹介します。
101-Jの特徴
101-Jは、1931年にLeeが発表したウエスタンスタイルのデニム・ジャケットです。101-Jは、防縮加工(サンフォライズド)を施した左綾デニムを使用しています。
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Leeのホームページ内のHistory内の101J |
両胸に2ポケット。ポケットは内側に少し傾斜してるデザインです。カウボーイが馬に乗りながら、反対側の手を伸ばした時に手を入れやすい様に考慮して傾斜が付けられています。
着丈は短く、ウエストバンドの幅が広めです。ウエストバンドの幅を大きく取ることでより良いフィットを実現し、めくり上がらないような設計になっています。
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50年代 Lee 101-J 赤タグ |
ポケットはジャケットの内側から布が当てられて取り付ける構造です。リーバイスの506と507は、外側から取り付けるポケットの構造です。
フロントのポケットから、左右それぞれ二つの並行ステッチがウエストバンドに向けて入れられています。
このポケットから下に向かうステッチは、外観上のアクセント・コントラストを入れる(視感的なインパクトを与える)目的で入っています。
着用するとシルエットもすっきりしていて、コーディネートしやすいです。がっちりした体型の人から痩せ気味の人まで、着用者の体型を問わないシルエットです。
両脇のウエストバンドにサイズを調整するアジャスターベルトが入れられています。
リーバイスの506XXは、サイズ調整にはシンチバックを備えていました。シンチバックのバックルが馬の鞍や家具を傷つけると不評だったため、戦後のモデルから針のないバックルに変更になりました。
そして、後継の507XXは、101-Jと同様にウエストバンド上のアジャスターベルトが備えられています。
Lee 101-Jは、様々な面で完成度が非常に高い逸品です。
101-Jの年代の見分け方
Leeの101-Jは、基本デザインは変わっていないため、年代の判定・推定は、タグの表記形式を見て行うのが基本です。
40年代のタグ
通称赤タグと呼ばれるタグです。ロット番号が入らず、Lee、上にUnion Made、下にSanforizedの表記の形式です。
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40年代のLee 101-J 赤タグ |
50年代のタグ
50年代に入ると、タグにロット番号の101-Jとサイズ表記が追加されます。
1949年にLEEは、101-Jのデザインの特許を取得したため、さらに下にDESIGN PATENTEDの表記も加わります。
初期のタグは、ロット番号とサイズ表記が赤字で表示されています。
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50年代 初期の赤タグ |
少し後になると、ロット番号、サイズの表記はLeeと同じ金色に変更になります。
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50年代の赤タグ |
50年代の終わりから60年代の初め頃は、タグの形が変更され、通称三角タグと呼ばれる(正確には台形に近いです)形に変更になります。
三角タグでは、上のタグと同じ配色のものと下のタグのように赤から白に文字表記が変更になるタイプの両方があります。
表記の色使いとしては、前者が古いため、年代的にも若干古いと推定しています。
この文字配色から、タグの呼び名が黒タグとなります。(例:上は”黒三角タグ”)
60年代のタグ
三角タグは比較的短命に終わり、以前と同じように四角形のタグに戻ります。また、Leeの文字も繋がりはなくなり、独立した表示に戻ります。
60年代以降のタグは通称黒タグと呼ばれています。
黒タグにも表記方法で微妙な差異があります。60年代に入ってから、Leeの右側に商標登録を示す®が加わります。
また、枠の下側にMADE IN U.S.A.の表記も加わります。
60年代の初期には、®が入らない黒タグもあります。
60年代の後半からは、UNION MADEの表記がなくなります。
この表記の黒タグは70年代の初め頃まで使用されます。
70年代のタグ
70年代に入ると®の右にM.R.が加わります。®オンリーのタグと移行期は混在があります。
60年代の終わりから70年代初め頃の101-Jの年代の推定は、タグに加えて、ピスマーク(タグ)と呼ばれる胸ポケットのフラップの付け根に付くタグが®のみか、M.R.もあるかを含めて判定します。
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101-J ピスマークタグ ®、M.R.付き |
101-J 生地の特徴
40年代から70年代までの101-Jのデザイン、仕様は基本的に大きな変更はありません。
70年代前半までのLee 101-Jは、左綾のデニムを使用していることが特徴の一つです。
左綾デニムは、色落ちが進むと明確な縦落ちをする傾向を持っています。
デザイン、仕様は変わらない、生地も左綾、タグだけ違うだけなのか?という疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかと思います。
一つ前のリーバイスのジージャンについての記事などでも書いておりますが、ヴィンテージデニムは、同じメーカーの同じモデルでも、年代によって生地の色味、風合い、色落ちの仕方、漂うオーラなどが異なります。
これまでの私の見てきた経験、印象では、古い年代のヴィンテージLeeは、リーバイス以上に生地の差があるように思います。
どの年代もそれぞれの良さ、魅力があります。古くなるとオーラを含め、やはり受ける印象も変わります。
また、同じ年代のリーバイスのデニムとも色味、風合い等が大きく異なります。
下の写真左は、50年代終わりから60年代初めのLee 101-J 黒三角タグ、右はリーバイスギャラ入り557XXです。
色が濃いギャラ入り557XX は古い年代のリーバイスのデニムに見られる特有の黒みがかった色をしている場合が多いです。この色味は、本当に凄い迫力、魅力があります。
故に557の中でも、ギャラ入りだけは別格の扱いを受ける理由となっています。
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Lee 101-J 黒三角タグ, リーバイス ギャラ入り557xx |
濃紺のギャラ入り557XXをご存知の方は、上記の表現がどれほどの意味を持つか、ご想像いただけると思います。
Leeもリーバイスも、それぞれ異なる特徴、持ち味、魅力があります。
リーバイスのファーストやセカンドに比べると、同年代のLee 101-Jは、価格的にはプレミアムが少ないので、比較した場合は、コストパフォーマンスは高いと思います。
関連記事:
[##check## ヴィンテージジージャン 1950年代 Lee 101-J 赤タグの特徴]
[##check## ヴィンテージ Lee 101-J 黒タグの特徴]
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