時の流れとともに市場環境、消費者の嗜好、製品は変化していきます。
70年代、80年代、90年代、2000年代、そして2010年代、それぞれの年代で流行、文化、社会・市場環境が異なります。そして年代ごとに、それぞれ特徴があります。
ここでは、各年代の主だったジーンズ全般とリーバイスについての出来事と市場動向を以下に書きます。
70年代は、ヒッピーの時代として知られています。ベルボトムが大流行した時代です。素材は、デニムもありましたが、化繊混紡のものが主流でした。
デザイナージーンズが登場し、流行となります。80年代デザイナージーンズ全盛の時代と言われています。
カルバンクライン・ジーンズは、ブルックシールズをモデルに採用し、多数のコマーシャルを放送し、大きな話題を呼びました。
下はカルバンクラインジーンズのコマーシャルを集めたYouTubeビデオです。当時の世間一般、女性のファッションに影響を与えただろうことが、ビデオを見ると想像できます。
デザイナージーンズの流行の一方で、リーバイス501も大人気でした。501が人気を得たのは、コマーシャルの影響が大きかったようです。
80年代のリーバイスのコマーシャルを見ると、印象に残るインパクトの強い素晴らしい作品がたくさんあります。
以下のページに、80年代を中心として主なリーバイスのコマーシャルを、コメントを加えて紹介しています。
関連ページ:
リーバイス US コマーシャル
80年代後半、日本でもジェームディーンが登場するコマーシャルが放送され、影響を受けた人は多かったようです。
また、80年代後半から90年代前半にリーバイスジャパンが発行したリーバイスブックの影響を受けたとおっしゃっている方は多いです。
(ロングホーンインポートの複数のお客さんから、話を聞きました。)
ほとんどのリーバイスブックの表紙は、ジェームスディーンが登場します。
備考: ジェームスティーンは、理由なき反抗でLeeを穿いていたというのは、現在はよく知られていることです。しかし、ジェームスティーは、501も穿いている写真を見たことがあります。プライベートでは501だったと言う話もあります。この話を書くとさらに長くなるので、将来、別途記事にして投稿する予定です。
1984年にリリースされたブルーススプリングスティーンのBorn in the USAのアルバムの表紙もインパクトがありました。
ジーンズは、アメリカ文化の象徴であることを、このジャケットも物語っていると思います。
そして、スプリングスティーンが穿くジーンズは、やはりリーバイスであると思います。
関連ブログ記事:
Born in the USAのBruce Springsteenのファッション考察
リーバイスのジーンズにある程度詳しい方は、赤耳が80年代に生産中止になったことをご存知だと思います。
長年リーバイスにデニムを供給していたコーンミルズ社は、1983年、赤耳デニムの生産を中止し、全て広幅のデニムに切り替えました。
1980年ごろから、501は赤耳と並行して、広幅デニムを使用した脇割りも生産されました。赤耳は、1986年に姿を消します。
当時、赤耳は、世間一般にはほとんど認知されていなかったと思います。(私自身、当時501を穿いていましたが、赤耳のことは、全く知りませんでした。)
501の人気が高まったのは、赤耳生産中止後の80年代の後半だと認識しています。今考えると、皮肉というか、面白いなと思います。
日本では、80年代の後半から、ロカビリーに憧れる若者達の間で、50年代のファッションが人気となり、それがヴィンテージブームの先駆けだったようです。
90年代に入ってから、ヴィンテージデニム、特にヴィンテージ リーバイス501への関心が高まり、急激な勢いでブームとなりました。
数十年前に生産されたオリジナルのヴィンテージ品は数も限られていたため、ヴィンテージブームによって需要が高まったことで、価格は急騰しました。
ヴィンテージブームの中、ヴィンテージ501を模倣した日本のレプリカブランドが登場します。
オリジナルは高額で、一般の若者が手軽に入手出来る価格ではなかったこともあり、レプリカブランドはジーンズ好きの若者の間で人気となります。
90年代の後半、日本では、レプリカブランドがブームとなり、かなりの人気を得たようです。
リーバイスジャパンも、80年代の後半(終わり頃)から、ヴィンテージ501を模倣した製品を企画し、市場に投入しています。(初期の復刻)
90年代の前半までは、リーバイスは、日米欧それぞれの地域で、ヴィンテージモデルの特徴を模倣するコンセプトの製品を提供していました。
1996年に当時のモデルを再現するリプロダクションのコンセプトに変更となり、世界共通のグローバルラインとしてLEVI'S VINTAGE CLOTHING(通称LVC, 復刻)が発足します。
LVC・復刻は、日本ではビジネス的にそれなりに成功したようですが、LVCが立ち上がった90年代後半から、リーバイス本体の事業は低迷を始めます。
90年代の後半、リーバイスは、事業の低迷、売上の下落、採算の悪化から、米国内の工場を閉鎖し始めます。
2000年代に入っても、リーバイス本社の事業の低迷は続きます。リーバイスは米国内の工場を続々と閉鎖していきます。しかし、採算は改善しません。
そして、2002年末にリーバイスは、米国内工場を全て閉鎖してしまいました。
リーバイス米国工場閉鎖前までは、リーバイス本社は、リーバイスジャパン独自企画のジーンズに501の名前を付けることを認めていませんでした。
現在、日本でリーバイスジャパンから販売されている501のほとんどは、日本仕様のもので、米国で販売されている501とは異なります。
2002年以前は、501は、世界(日米)共通でした。(一部、ヨーロッパ仕様501の例外はあります。)
日本国内市場では、2003年以降、基本的にリーバイスジャパンが企画した501が販売されています。
2000年代前半、日本では復刻(LVC・リーバイスビンテージクロージング)が一定の人気を得た時期です。
2002年以前のLVC 501は、リーバイス本社のあるサンフランシスコのバレンシア工場で(主に)生産されていました。バレンシア工場製のLVCは、現在も高い人気があります。
米国工場閉鎖後は、復刻(LVC)についても、リーバイスジャパンが企画し、国内で生産された日本製のLVC 501がありました。
(Wikipediaによると、初の日本製501は2000年製66501とのことです。)
日本製のLVC 501は、ディテールの再現性が高く、色落ちも良いと評価する人もいます。
2000年代の後半になると、リーバイスジャパンの売上は下落し始めます。
そして、2005年以降2014年まで、リーバイスジャパンの売上は下落低迷を続け、毎年赤字でした。
備考:率直に言って、10年間も売上減少が続いて、全て赤字と言うのは、普通はあり得ません。その前に倒産します。
リーバイスジャパンはJASDAQに上場していますが、リーバイス社が8割以上の株を保有しているため、倒産せずに存続できていると認識しています。
2015年も、リーバイスジャパンは赤字の見込みでしたが、本社に支払うロイヤリティーの比率を大幅に低減することにしたため、突然、黒字転換の見込みになりました。
この話は、別途、記事を投稿する予定です。
低迷していたリーバイス本社は、リーバイスジャパンとは逆に2000年代後半から、売上は回復傾向となります。収益も改善され、黒字転換となっています。
2011年に、リーバイスジャパンの業績はついに、売上100億円を切るところまできてしまいました。
リーバイス本社の売上は、45億ドル(為替レートを1ドル120円で換算すると、5400億円)を超えています。
リーバイスジャパンの売上は、本社の50分の一以下です。
2012年頃から、リーバイス本社のマーケティング・ブランディングは、以前と比べて格段に良くなっています。
また、2014年から、アメリカンフットボールの人気プロチーム、サンフランシスコ49ersの新拠点となるスタジアムの名前を、リーバイススタジアムとする契約を結びました。
2016年のスーパーボールは、リーバイススタジアムで行われます。
関連ブログ記事:
勢いを感じる最近の米リーバイス
2014年頃から、女性ファッションの流行に影響力のあるモデルや業界紙の人々の間で、80年代頃のリーバイス501が人気となり、注目されています。この流れが、501CT投入のきっかけとなっています。
関連ブログ記事:
501CT誕生の背景: ファッション界の新しいトレンド
リーバイスの製品ラインナップも、良くなってきています。
2013年に、主力モデル501STFのステッチを中心とした仕様変更が行われました。
関連ブログ記事:
現行501STFが仕様変更により魅力大幅アップ!! 新モデルと従来モデルの仕様比較
2014年秋冬コレクションには、レギュラーとプレミアムの間の価格帯に位置する新モデルとして、セルビッジ付き生デニムの501ロングデイが加わりました。
そして、2015年1月から、伝統あるコーンミルズ・ホワイトオーク工場製のセルビッジ生デニムを使用し、縫製も米国内で行われるMade in USAの501-1995が登場しました。
501ロングデイと501-1995は、セルビッジ生デニムですが、生地の色味、風合い、雰囲気が異なり、それぞれ異なる特徴と魅力を持っています。
関連ブログ記事:
501-1931 ロングデイと501-1995
2015年の秋冬のラインナップは、日米ともに中々充実していると思います。
2010年代は、後から振り返ると、リーバイス復活の時代だったとなるかもしれません。
70年代、80年代、90年代、2000年代、そして2010年代、それぞれの年代で流行、文化、社会・市場環境が異なります。そして年代ごとに、それぞれ特徴があります。
ここでは、各年代の主だったジーンズ全般とリーバイスについての出来事と市場動向を以下に書きます。
70年代
70年代は、ヒッピーの時代として知られています。ベルボトムが大流行した時代です。素材は、デニムもありましたが、化繊混紡のものが主流でした。
80年代
デザイナージーンズが登場し、流行となります。80年代デザイナージーンズ全盛の時代と言われています。
カルバンクライン・ジーンズは、ブルックシールズをモデルに採用し、多数のコマーシャルを放送し、大きな話題を呼びました。
下はカルバンクラインジーンズのコマーシャルを集めたYouTubeビデオです。当時の世間一般、女性のファッションに影響を与えただろうことが、ビデオを見ると想像できます。
デザイナージーンズの流行の一方で、リーバイス501も大人気でした。501が人気を得たのは、コマーシャルの影響が大きかったようです。
80年代のリーバイスのコマーシャルを見ると、印象に残るインパクトの強い素晴らしい作品がたくさんあります。
以下のページに、80年代を中心として主なリーバイスのコマーシャルを、コメントを加えて紹介しています。
関連ページ:
リーバイス US コマーシャル
80年代後半、日本でもジェームディーンが登場するコマーシャルが放送され、影響を受けた人は多かったようです。
また、80年代後半から90年代前半にリーバイスジャパンが発行したリーバイスブックの影響を受けたとおっしゃっている方は多いです。
(ロングホーンインポートの複数のお客さんから、話を聞きました。)
ほとんどのリーバイスブックの表紙は、ジェームスディーンが登場します。
備考: ジェームスティーンは、理由なき反抗でLeeを穿いていたというのは、現在はよく知られていることです。しかし、ジェームスティーは、501も穿いている写真を見たことがあります。プライベートでは501だったと言う話もあります。この話を書くとさらに長くなるので、将来、別途記事にして投稿する予定です。
1984年にリリースされたブルーススプリングスティーンのBorn in the USAのアルバムの表紙もインパクトがありました。
ジーンズは、アメリカ文化の象徴であることを、このジャケットも物語っていると思います。
そして、スプリングスティーンが穿くジーンズは、やはりリーバイスであると思います。
関連ブログ記事:
Born in the USAのBruce Springsteenのファッション考察
リーバイスのジーンズにある程度詳しい方は、赤耳が80年代に生産中止になったことをご存知だと思います。
長年リーバイスにデニムを供給していたコーンミルズ社は、1983年、赤耳デニムの生産を中止し、全て広幅のデニムに切り替えました。
1980年ごろから、501は赤耳と並行して、広幅デニムを使用した脇割りも生産されました。赤耳は、1986年に姿を消します。
当時、赤耳は、世間一般にはほとんど認知されていなかったと思います。(私自身、当時501を穿いていましたが、赤耳のことは、全く知りませんでした。)
501の人気が高まったのは、赤耳生産中止後の80年代の後半だと認識しています。今考えると、皮肉というか、面白いなと思います。
日本では、80年代の後半から、ロカビリーに憧れる若者達の間で、50年代のファッションが人気となり、それがヴィンテージブームの先駆けだったようです。
90年代
数十年前に生産されたオリジナルのヴィンテージ品は数も限られていたため、ヴィンテージブームによって需要が高まったことで、価格は急騰しました。
ヴィンテージブームの中、ヴィンテージ501を模倣した日本のレプリカブランドが登場します。
オリジナルは高額で、一般の若者が手軽に入手出来る価格ではなかったこともあり、レプリカブランドはジーンズ好きの若者の間で人気となります。
90年代の後半、日本では、レプリカブランドがブームとなり、かなりの人気を得たようです。
リーバイスジャパンも、80年代の後半(終わり頃)から、ヴィンテージ501を模倣した製品を企画し、市場に投入しています。(初期の復刻)
90年代の前半までは、リーバイスは、日米欧それぞれの地域で、ヴィンテージモデルの特徴を模倣するコンセプトの製品を提供していました。
1996年に当時のモデルを再現するリプロダクションのコンセプトに変更となり、世界共通のグローバルラインとしてLEVI'S VINTAGE CLOTHING(通称LVC, 復刻)が発足します。
LVC・復刻は、日本ではビジネス的にそれなりに成功したようですが、LVCが立ち上がった90年代後半から、リーバイス本体の事業は低迷を始めます。
90年代の後半、リーバイスは、事業の低迷、売上の下落、採算の悪化から、米国内の工場を閉鎖し始めます。
2000年代
2000年代に入っても、リーバイス本社の事業の低迷は続きます。リーバイスは米国内の工場を続々と閉鎖していきます。しかし、採算は改善しません。
そして、2002年末にリーバイスは、米国内工場を全て閉鎖してしまいました。
リーバイス米国工場閉鎖前までは、リーバイス本社は、リーバイスジャパン独自企画のジーンズに501の名前を付けることを認めていませんでした。
現在、日本でリーバイスジャパンから販売されている501のほとんどは、日本仕様のもので、米国で販売されている501とは異なります。
2002年以前は、501は、世界(日米)共通でした。(一部、ヨーロッパ仕様501の例外はあります。)
日本国内市場では、2003年以降、基本的にリーバイスジャパンが企画した501が販売されています。
2000年代前半、日本では復刻(LVC・リーバイスビンテージクロージング)が一定の人気を得た時期です。
2002年以前のLVC 501は、リーバイス本社のあるサンフランシスコのバレンシア工場で(主に)生産されていました。バレンシア工場製のLVCは、現在も高い人気があります。
米国工場閉鎖後は、復刻(LVC)についても、リーバイスジャパンが企画し、国内で生産された日本製のLVC 501がありました。
(Wikipediaによると、初の日本製501は2000年製66501とのことです。)
日本製のLVC 501は、ディテールの再現性が高く、色落ちも良いと評価する人もいます。
2000年代の後半になると、リーバイスジャパンの売上は下落し始めます。
そして、2005年以降2014年まで、リーバイスジャパンの売上は下落低迷を続け、毎年赤字でした。
備考:率直に言って、10年間も売上減少が続いて、全て赤字と言うのは、普通はあり得ません。その前に倒産します。
リーバイスジャパンはJASDAQに上場していますが、リーバイス社が8割以上の株を保有しているため、倒産せずに存続できていると認識しています。
2015年も、リーバイスジャパンは赤字の見込みでしたが、本社に支払うロイヤリティーの比率を大幅に低減することにしたため、突然、黒字転換の見込みになりました。
この話は、別途、記事を投稿する予定です。
低迷していたリーバイス本社は、リーバイスジャパンとは逆に2000年代後半から、売上は回復傾向となります。収益も改善され、黒字転換となっています。
2010年代
2011年に、リーバイスジャパンの業績はついに、売上100億円を切るところまできてしまいました。
リーバイス本社の売上は、45億ドル(為替レートを1ドル120円で換算すると、5400億円)を超えています。
リーバイスジャパンの売上は、本社の50分の一以下です。
2012年頃から、リーバイス本社のマーケティング・ブランディングは、以前と比べて格段に良くなっています。
また、2014年から、アメリカンフットボールの人気プロチーム、サンフランシスコ49ersの新拠点となるスタジアムの名前を、リーバイススタジアムとする契約を結びました。
2016年のスーパーボールは、リーバイススタジアムで行われます。
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勢いを感じる最近の米リーバイス
2014年頃から、女性ファッションの流行に影響力のあるモデルや業界紙の人々の間で、80年代頃のリーバイス501が人気となり、注目されています。この流れが、501CT投入のきっかけとなっています。
関連ブログ記事:
501CT誕生の背景: ファッション界の新しいトレンド
リーバイスの製品ラインナップも、良くなってきています。
2013年に、主力モデル501STFのステッチを中心とした仕様変更が行われました。
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現行501STFが仕様変更により魅力大幅アップ!! 新モデルと従来モデルの仕様比較
2014年秋冬コレクションには、レギュラーとプレミアムの間の価格帯に位置する新モデルとして、セルビッジ付き生デニムの501ロングデイが加わりました。
そして、2015年1月から、伝統あるコーンミルズ・ホワイトオーク工場製のセルビッジ生デニムを使用し、縫製も米国内で行われるMade in USAの501-1995が登場しました。
501ロングデイと501-1995は、セルビッジ生デニムですが、生地の色味、風合い、雰囲気が異なり、それぞれ異なる特徴と魅力を持っています。
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501-1931 ロングデイと501-1995
2015年の秋冬のラインナップは、日米ともに中々充実していると思います。
2010年代は、後から振り返ると、リーバイス復活の時代だったとなるかもしれません。
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