現行ラングラー13MWZは、基本的な仕様は70年代から変わっていません。生産国はメキシコですが、生地は米国製です。14オンス超、伝統のブロークンデニムです。
ラングラー936は、13MWZと基本仕様は全て同じです。違いは、細めのストレートであることです。細めでも裾は、ブーツを履ける絶妙の裾幅になっています。
13MWZの細め版である936を13MWZ-S(スリム)、または13MWZ-SS(スリムストレート)のようなネーミングにすることもできたでしょうが、936という全く共通性のない名前になっています。
936という名前に愛着、親しみを感じているユーザーもいると思います。
ユーザーの間では、13MWZと936はそれぞれ明確に認知されていると思います。
936に13MWZという伝統ある名前が付いていなくても不満を感じるユーザーは、まずいないと思います。
このことは、13MWZと936がそれぞれ明確なアイデンティティを持っていることを意味します。
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なぜ、リーバイスはラングラーと同じアプローチを取らなかったのだろう?と思ってしまいます。
そのことについて、考えてみたいと思います。
ラングラーは、カウボーイ向けのジーンズというのが原点です。その原点から、今も変わっていません。顧客層は依然として、カウボーイとウエスタンファッションを好むユーザー達です。
特定のファッション・カテゴリー向けであること、ユーザー層の特徴などから、定番品13MWZに変更を加える必要性はほとんど生じません。
むしろ変更することは、ユーザーから不評を買うリスクがあるため、変更することに対して歯止めがかかります。
アメリカ国内において、ウエスタン文化はライフスタイルとして浸透しています。
ラングラーは、安定した顧客層を抱えています。
リーバイス501は、ワークウェアが原点です。第二次世界大戦後、ジーンズは、全世界、性別を問わず幅広い年齢層に普及しました。
ジーンズの元祖である501も、幅広い層に普及しました。ジーンズの普及に伴い、リーバイスも企業としての規模が拡大しました。
ファッションは、流行があります。幅広い層に対応するためには、様々な製品を開発して、提供する必要があります。
リーバイスは、様々な顧客層を抱えており、流行に対応した製品の開発も事業上、必須と言えます。
時代の流れ、流行に対応するために、ブランド戦略も時として変更となります。大なり小なり、昨今のリーバイスの製品戦略を見ていると感じることです。
ジーンズの種類・カテゴリー
現在、ジーンズは様々な種類があります。シルエット、色、生地、デザイン、デコレーション、加工の有無などで、非常に多くのバリエーションがあります。
リーバイスのジーンズも現在、たくさんの種類があります。ジーンズを分類する場合、シルエットで分けることが一般的です。
カテゴリー毎にモデル(ロット番号)をアサイン
リーバイスの場合も、伝統的にシルエット毎にモデル番号が与えられていました。
以下は、現在のラインナップと代表モデル番号です。
スキニー: 510, 519
スリム: 511, 513
ストレート: 501, 505
ブーツカット: 517, 527
リラックスド: 550, 559, 560, 569
上の区分けは、明確でスッキリしていると思います。このような区分けは、70年代頃に確立され、新しいカテゴリーやモデル番号が加わったりしながら、現在も続いています。
また、このような区分けは標準的なものであるとも言えます。リーバイスもラングラーも大きな差はないです。
近年、リーバイスはテーパーという新しいカテゴリー(シルエット)を加えました。
テーパー: 501CT, 541, 522
541は、スリムテーパーとサブタイトルがあります。スキニーの一種(例えば、リラックスド・スキニーというような位置付け)で良いような気もします。
テーパーは、テーパードが強調されたジーンズと言うことなのでしょうが、一時的に流行によってある特徴が強調されることはあるので、わざわざ、カテゴリーを分ける必要があるのだろうか?と思います。
製品戦略は、どれが正解ということではありませんが、テーパーというカテゴリーを新たに作り、その製品を投入するのであれば、新しい品番を使うのが従来の路線、伝統に基づいています。
こうしてカテゴリーとアサインされたロット番号の分類を見ると、やはり、501CTというネーミングに違和感を感じます。
テーパーというカテゴリーを作るのであれば、テーパーを連想させる、認知される品番にして、そのモデルを育てるべきだと思います。
しかし、言うは易し行うは難しでもあります。新しいカテゴリーで成功させることは簡単ではありません。
短期的に成果を上げるためには、知名度の高いプロダクトブランド(501)を利用したラインエクステンションが効果的です。
製品戦略、ブランディングのトップが承認しているので、会社の方針が変わったと言うことを示しています。
505Cをどのカテゴリーに入れるのかも興味深いところです。
尚、これまでも書いていますが、テーパードシルエット、501伝統・固有と言えるボタンフライのジーンズをリーバイスが製造、販売することについて、異論は全くありません。
ブランド戦略、ネーミングについて、異論を持っているというだけです。
501CTのシルエットを気に入っている人もたくさんいます。501CTがダメだということでは、全くありません。
長くなってしまったので、生地についての話は、次に投稿します。
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