カウボーイの歴史をイラストで描いたJo MoraのSweetheart of the Rodeoの作品を使用した1950年初めのリーバイスのポスターについての記事に、お二人からコメントを頂きました。
実際カウボーイは、どこのジーンズの着用率が多いのでしょうか?リーバイス・リー・ラングラー(ラスラー)・その他私自身ですが、カウボーイ=ラングラーのイメージなのですが・・・
ジーンズにセンタープリーツ入れカウボーイ・ブーツを履いて粋なスタイルですね。
大変貴重な資料、実際に見てみたいなぁと、思いました。ロデオですか、そんな時代から、、文化といいますか、ジーンズは人と寄り添ってきたのですね。
以前から感じていたのですが、ジーンズ、リーバイス、知れば、カウボーイの存在が出てきますね。
凄く興味が湧いてきました笑カウボーイとは?武士道的な、精神はあるのか?現在でもいるのか?
今回の記事をきっかけに調べてみようと思います!
何か、オススメの映画やカウボーイの写真、以前書かれた記事など、ありませんか?
貴重なご感想、コメント、ありがとうございます。とても興味深く拝読しました。カウボーイについてのイメージというのもやはり人それぞれ違うだろうなと思いました。
また、カウボーイについてのご興味をお持ちの方も意外といらっしゃるのだなと再認識しました。本記事は、頂いたコメントへの返信を含む形で書かせていただきます。
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カウボーイとジーンズの関係はかなり深いです。カウボーイは、ジーンズが誕生した時から主要顧客層の一つだったと思います。
カウボーイの定義にもよりますが、アメリカでは一般的に、牧場などで動物の世話をする仕事をする人のことです。
西部劇と日本の時代劇から、カウボーイは日本の侍に該当するイメージを持たれることもあるかと思います。しかし、カウボーイは現在も存在します。
カウボーイの歴史は古く、中世のスペインの伝統を受け継いでいるものです。16世紀にスペインからの入植者がアメリカのカウボーイの起源となります。
1930年代に西部劇の映画が大人気となり、カウボーイのスタイルを代表とするウエスタンカルチャー(カウボーイカルチャー)が全米の人の生活・ファッションスタイルに影響を与え、普及しました
(以下に紹介する駅馬車に登場するジョンウェインの役は、カウボーイかと言うとちょっと違う感じがします。)
1939年の映画、『駅馬車、原題:Stagecoach』は、西部映画の中で代表作とされ、映画史を代表する傑作として高く評価されています。
主役を演じたジョンウェインは、この映画の成功により、一躍大スターになりました。
下の写真は、ジョンウェインの駅馬車の衣装です。サスペンダーボタン付きの501を、サスペンダーとベルト両方使って着用しています。大きな幅のロールアップ。セルビッジも見えます。
少し加工(エフェクトをかけた)写真です。細かく見ると耳(アウトシーム)のアタリもできています。
映画は1939年のものですが、ジョンウェインが着用している501は、サスペンダーボタンが取り外されるモデルチェンジ前、1937年以前のモデルと推定します。後ろには、シンチバックが付いている501です。
1930年代は、映画の影響などで全米がウエスタンカルチャーブームとなりました。観光牧場(Dude Ranch)が大人気となり、東海岸でもDude Ranchに行く時に着るために女性用のジーンズも販売されました。
カウボーイ達のジーンズでは、リーバイスが中心でしたが、ライバルのLeeを含め競合する会社は、こぞってリーバイス501と似たジーンズを販売しました。
当時、リーバイスはまだ、バックポケットに入るアーキュエットステッチを商標登録していなかったため、ライバルの会社もリーバイスと同じようなアーキュエットステッチをバックポケットに入れていました。
下は、1937年のモンゴメリワードのカタログ内のジーンズの写真です。シンチバック付き、バックポケットにはリベットとアーキュエットステッチが入れられています。
1930年代半ば過ぎに、リーバイス社内において、ロデオ大会などで、参加選手達が穿いているジーンズがリーバイスのものであるか一見して判別できる方法はないかと会議が行われ、女性のセールスマネージャーが、ポケットの脇に小さな赤のリボンを取り付ける案を提案しました。
そして赤タブが誕生しました。
![]() |
501XX 片面タブ |
[##check## リーバイス赤タブ誕生80周年]
1940年代から1950年代のリーバイスやLeeの販促品を見ても、カウボーイ市場を対象としたものが多いです。
1940年代から1950年代の間も、カウボーイ(ウエスタンウェア)市場は、ジーンズメーカーにとって非常に重要な市場だったと思われます。
ラングラーは、カウボーイを対象にしたウエスタンウェアのブランドとして、1940年代後半に誕生しました。当時、カウボーイファッション(ウエスタンウェア)が、かなり大きな市場規模であったことを示していると思います。
尚、冒頭で紹介したコメントで「センタープリーツ」と言うのは、縦に折り目を入れること=クリースのことをおっしゃっていると解釈しております。
伝統的に、ジーンズにクリースを入れるのは、少しフォーマルな用途で使用する場合です。しかし、クリースを入れるか入れないかは、特に決まりがあるわけではありません。
アメリカの場合、個性を尊重する文化があるので、クリースを入れる入れないは、その人の自由です。上の写真のGeorge Straitは、クリースを入れたジーンズを良く穿いています。
下は1951年カウボーイカタログ内のラングラーの商品ページのロデオチャンピオン達です。左から2番目のTOOTS MANSFIELDは、少しクリースを入れているように見えます。一方、右のBILL LINDERMANは入れているようにはみえません。
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1951年のカウボーイカタログのWranglerのページ、4人の男性は歴代のロデオチャンピオンです。 |
残存の個体数も圧倒的にリーバイスが多いです。これらのことから、50年代や60年代のカウボーイ市場では、依然としてリーバイスがかなり強かったと推測しています。
また、アメリカは国土が広く、地域による差も大きいです。ラングラーは、伝統的にテキサスで強いです。
1974年にラングラーは、プロロデオ・カウボーイズ協会の公認ジーンズとなります。1980年代以降は、カウボーイ市場においては、顧客対象市場をカウボーイに完全に絞り込んだラングラーが非常に強くなりました。
しかし、当たり前のことですが、全ての人がラングラーを着ているわけではありません。
1984年にリリースされたブルーススプリングスティーンのBorn in the USAのファッションもウエスタン(カウボーイと基本的に同義)スタイルです。
現在、カウボーイのジーンズといえば、ラングラーになると思います。
戦後、アメリカ文化や音楽、映画、ファッションは、日本に様々な形で入ってきました。アメリカンカルチャーは、日本に良く伝わっているものとそうでないものがあります。カウボーイ文化は、後者だと思います。
アメリカにおいて、カウボーイの文化は広範な地域に浸透し、今も受け継がれています。カウボーイ文化は、ウエスタン文化と基本的に同義です。
西部劇もウエスタン(カウボーイ)文化の一部です。昔のアメリカの西部劇を、映画やテレビで見たことがある人は多いと思います。
アメリカのカウボーイは、日本の侍と同じような感じのイメージを持っていらっしゃる人もいると思います。
それは間違いではありません。しかし、日本の侍と異なるところは、カウボーイは今も存在し、カウボーイ文化やファッションは多くの人々に受け継がれているというところです。
ロデオは、カウボーイの文化的行事の一つです。中西部では特に盛んで、日常的に様々な場所で大会が開催されています。
テキサスでは、ハイテク企業に勤める社員でも会社にウエスタンブーツやカウボーイハットをかぶって通勤する人がいます。カントリーミュージックは、全米では広く普及して、今も人気があります。
下は、カントリーミュージックのキングと呼ばれるGeorge StraitのYouTubeビデオです。
カントリーミュージックやウエスタンスタイルは、年齢、性別を問わず、老若男女から今も広く普及し、根付いています。
関連ブログ記事:
Wrangler 誕生の背景とヴィンテージ ラングラー ジージャンの特徴
Born in the USAのBruce Springsteenのファッション考察
こんばんは、K.Hです。
返信削除カウ・ボーイの着用率の高いのジーンズ
これはよく考えれば、ジーンズの歴史なんですよね・・・
管理者様のブログを読み返せば分かることですよね。
また話はそれてしまいますが
カウ・カウボーイ=マルボロ
広告のおかげで浸透していますが
実際は噛み煙草の方が多いのでは?
ある文献では
「干し草に火が付く可能性があるので噛み煙草の方が多い」と読んだことがあります。
実際に古着屋でお尻のポケットに丸い噛み煙草の缶の跡が付いたジーンズを見たことがあります。
勿論ですがラングラーでした。
自分の中のカウ・ボーイのイメージは
映画「ジャイアンツ」でのジェームス・ディーンやロック・ハドソンですね。
K.H.さん、
返信削除コメントありがとうございます。
噛みタバコの方が多いのでは?については、近いうちに考察記事を投稿しようかと考えています。「干し草に火が付く可能性があるので噛み煙草の方が多い」と書かれている文献について、教えていただけると大変参考になります。もしも、本なり雑誌なり題名、ネットなどで見れるのであれば、教えていただけると大変助かります。
映画「GIANT」については、いつかブログ記事にして書きたいと思っています。このドラマはJames Deanにとっても大きな意味があったと思います。この件は、昔から書きたいことです。
カウボーイは、映画の影響もあって、馬に乗るイメージがありますが、馬に乗らなくても、牧場で動物(牛など)の世話をする人たち(牧場労働者)を意味するのが一般的です。
ジャイアントでのJames Deanが演じたJett Rinkは、油田を発見し成功する便利屋(下層労働者)です。Jettをカウボーイと呼ぶかどうかは、定義・考え方にもよるかと思います。
こんにちは、K.Hです。
返信削除「噛みタバコの方が多いのでは?」
これは、時代や地域で様々なのでしょうね。
自分が見たジーンズですが
ラングラー13MWZでしたから1980年以降の物ですね。
タバコに限りませんが、習慣や社会環境は、時として時代によって大きく異なると思います。
返信削除噛みタバコはプロ野球の選手の間で、かつて良く利用されたことなどから、若い世代での利用率が高いそうです。今も、噛みタバコは若い世代(10代を含む)で利用率が高いようです。
その一方で、良く利用するプロ野球選手たちの多くは、喉頭癌で亡くなっています。
70ー80年代にカウボーイの間で、噛みタバコは流行したようですが、今はどうなのかは不明です。もしかすると、過去の話かもしれません。(かなり健康上問題があることが明確なので、今も利用する人が多いとは思えません)