(2013年2月に投稿した記事を見直し、加筆しています。)
ジーンズの色落ちを気にする、良い色落ちを求める人は多いと思います。
市場、ユーザーの非常に強い色落ち嗜好・志向の原点はヴィンテージジーンズにあります。市場、ユーザーのニーズに応える為に、各メーカー、ブランドは様々なアプローチでヴィンテージの色落ちを模倣しています。
ヴィンテージジーンズの代表はやはりリーバイスの501だと思います。501でも年代等によって使われている生地の関係等から色落ちの傾向が異なります。また、色落ちの仕方は穿き方や取り扱い方でも大きな差が生まれます。
今回は私の手持ちのヴィンテージ501で結構色落ちが進行しているものを集めて、それらの色落ちの傾向等について考察をおりまぜながら、私の考えるヴィンテージの501の色落ちの傾向について分析、考察してみます。
左から、66後期(70年代後半)、66前期(70年代前半)、Big-E 平行ステッチ(60年代後半)、Big-E Vステッチ(60年代後半)です。
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全てそれなりに色落ちが進行しています。色落ちやアタリのつき方は、穿き方や取り扱いの仕方で大きく異なります。しかし、ある程度の共通した傾向もあります。
ヴィンテージの501は全て生デニムを使用しているため、洗濯後に縮みます。また、縮む際にねじれも発生します。ヴィンテージ501では、特に左のアウトシーム(通常横、外側に位置する生地の合わせ目)が前にねじれてくるのが大きな特徴です。
写真の4本とも左脚部が大きくねじれて、裾のアウトシームが正面近くまで来ています。ヴィンテージリーバイス 501のアウトシームの内側はセルビッジ(耳)がついており、耳のアタリができるのも501の色落ちの大きな特徴です。
これら4本はどれもそれなりにヒゲができています。ヒゲはフロントからヒップ横にかけてできる線状の色落ちです。
色落ち加工されたジーンズでは明確なヒゲがついているものが多いですが、やはり自然にできたヒゲとは異なります。着用者の穿き方、クセ、着用者のボディサイズとジーンズのサイズとの関係などによって、ヒゲのできかたは異なります。
個人的にはやはり自然にできたヒゲは加工では得られない味わい深い良さ、魅力があると思います。
ヒゲはフィットしたジーンズを穿いているとできやすいと一般的に言われています。60年代から70年代は、フィットしたジーンズの穿き方が主流だったので、その説をある程度裏付けできると思います。
フィットした穿き方の傾向を示す例としては、以下の記事をご覧下さい。
関連記事:
[私の基本: Badlandsのマーティン・シーンの衣装 ##link##]
この記事で紹介している映画、"Badlands"の舞台は50年代ですが、マーティン・シーンが穿いているジーンズは60年代の501だと思います。60年代前半以前の501XXはルーズなシルエットで股上も深いため、(改造しない限り)ここまで細くてフィットしないと思います。60年代後半の501は結構細身で股上が浅いのが特徴です。この傾向をさらに強めたのが66です。(66は70年代の製品です。)
[1965年の映画でのスティーブ・マックイーンと501 ##link##]
フィットはサイズの選択によっても大きく変わります。2000年代以降2010年代の前半は、オーバーサイズ(ゆとりのあるサイズ選択)をするのが一般的でしたが、70年代から80年代はジャストフィット(タイト気味)なサイズを選ぶのが一般的でした。
私の経験として、ヒゲの生成には穿き方も大きく影響すると考えています。屈伸する様な動きを日常的に多くする穿き方だと、多少緩くてもヒゲはできやすいです。
太もも内側から膝の方に向けて斜め下にできる線状の色落ちを下がりヒゲと呼びます。これら4本は少し下がりヒゲもできています。この下がりヒゲは座ったりかがんだりした時に太ももに斜め状にできるシワが元となったアタリです。日常的に、座ったりかがんだりする穿き方をするとできやすいと思います。
上の画像はリーバイスのビデオの中で紹介される1933年の501です。
関連記事: 上で紹介した画像などが登場するリーバイスのドキュメンタリーフィルムの内容を紹介した記事です。
[Levi's As America: A Riveting Icon パート2 ##link##]
色落ちの仕方からカウボーイが穿いていたと見られています。カウボーイは馬の鞍に乗っている為、この様なクロッチ部を中心として放射状のアタリができるとのことです。
1930年代の501はゆとりのあるシルエットだったと思うので、それでもヒゲができている(でき方に特徴があります)ため、ヒゲの生成は穿き方にもかなり依存すると言えるかと思います。
冒頭部に紹介したヴィンテージ501を、後ろ右半分の状態で並べた写真です。並ぶ順番は最初の写真と同じです。
66後期(一番左)を除いてパッチは取れてしまっています。バックヨークやバックポケット部はパッカリングができています。パッカリングとは生地の縫い目による凹凸が発生する事を言います。パッカリングも特徴的なアタリとなります。パッカリングの発生は生デニムを使っている501の特徴です。
ヴィンテージの501の裾はチェーンステッチが施されているのが仕様上の特徴です。裾の部分もチェーンステッチと縮みによって特徴ある裾のアタリが発生します。
色落ちにこだわる方は膝裏にできるハチノスのアタリができることを好みますが、オリジナルのヴィンテージでハチノスが明確にできているジーンズはそれ程ありません。写真の4本も明確なハチノスはできていません。
ハチノスは糊付きの状態である程度穿いた方ができやすいと思います。これは、糊付きの状態で穿くと生地が硬いため、膝裏に特定のシワがいくつかでき、それが後でハチノスとなると考えています。糊を落としてしまうと生地が柔らかくなり、膝裏に明確なシワができづらくなるため、ハチノスも明確にできなくなります。
ハチノスがあったほうが色落ちのメリハリ、アクセントにもなるので魅力的ではありますが、ユーズドのヴィンテージジーンズではハチノスが明確でない方が圧倒的に多いです。
長くなってしまったので、ここで一旦、区切ります。次回はもう少し細かいモデル間に関連する色落ちの傾向についての分析と考察をします。
関連記事:本記事に続いて投稿した記事です。こちらの記事も見直して、再投稿する予定です。
[ヴィンテージ 501 モデル間の色落ちの比較、考察、感想。 ##link##]
ジーンズの色落ちを気にする、良い色落ちを求める人は多いと思います。
市場、ユーザーの非常に強い色落ち嗜好・志向の原点はヴィンテージジーンズにあります。市場、ユーザーのニーズに応える為に、各メーカー、ブランドは様々なアプローチでヴィンテージの色落ちを模倣しています。
- [message]
- ##hand-o-right## コメント
- 元記事を投稿した2013年2月から4年以上経過した2017年5月の時点では、以前に比べると色落ち以外のジーンズの魅力に目を向ける人は増えてきているように思います。メーカーに関しても、以前ほど「色落ち」を強調する傾向は薄れてきているように感じます。
ヴィンテージジーンズの代表はやはりリーバイスの501だと思います。501でも年代等によって使われている生地の関係等から色落ちの傾向が異なります。また、色落ちの仕方は穿き方や取り扱い方でも大きな差が生まれます。
今回は私の手持ちのヴィンテージ501で結構色落ちが進行しているものを集めて、それらの色落ちの傾向等について考察をおりまぜながら、私の考えるヴィンテージの501の色落ちの傾向について分析、考察してみます。

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全てそれなりに色落ちが進行しています。色落ちやアタリのつき方は、穿き方や取り扱いの仕方で大きく異なります。しかし、ある程度の共通した傾向もあります。
ヴィンテージの501は全て生デニムを使用しているため、洗濯後に縮みます。また、縮む際にねじれも発生します。ヴィンテージ501では、特に左のアウトシーム(通常横、外側に位置する生地の合わせ目)が前にねじれてくるのが大きな特徴です。
写真の4本とも左脚部が大きくねじれて、裾のアウトシームが正面近くまで来ています。ヴィンテージリーバイス 501のアウトシームの内側はセルビッジ(耳)がついており、耳のアタリができるのも501の色落ちの大きな特徴です。
これら4本はどれもそれなりにヒゲができています。ヒゲはフロントからヒップ横にかけてできる線状の色落ちです。
色落ち加工されたジーンズでは明確なヒゲがついているものが多いですが、やはり自然にできたヒゲとは異なります。着用者の穿き方、クセ、着用者のボディサイズとジーンズのサイズとの関係などによって、ヒゲのできかたは異なります。
個人的にはやはり自然にできたヒゲは加工では得られない味わい深い良さ、魅力があると思います。
ヒゲはフィットしたジーンズを穿いているとできやすいと一般的に言われています。60年代から70年代は、フィットしたジーンズの穿き方が主流だったので、その説をある程度裏付けできると思います。
フィットした穿き方の傾向を示す例としては、以下の記事をご覧下さい。
関連記事:
[私の基本: Badlandsのマーティン・シーンの衣装 ##link##]
この記事で紹介している映画、"Badlands"の舞台は50年代ですが、マーティン・シーンが穿いているジーンズは60年代の501だと思います。60年代前半以前の501XXはルーズなシルエットで股上も深いため、(改造しない限り)ここまで細くてフィットしないと思います。60年代後半の501は結構細身で股上が浅いのが特徴です。この傾向をさらに強めたのが66です。(66は70年代の製品です。)
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- ##hand-o-right## 備考
- 501は年代によって微妙に股上が深くなったり、浅くなったりします。しかし、それは極端ではなく微妙に違う程度のものです。
[1965年の映画でのスティーブ・マックイーンと501 ##link##]
フィットはサイズの選択によっても大きく変わります。2000年代以降2010年代の前半は、オーバーサイズ(ゆとりのあるサイズ選択)をするのが一般的でしたが、70年代から80年代はジャストフィット(タイト気味)なサイズを選ぶのが一般的でした。
私の経験として、ヒゲの生成には穿き方も大きく影響すると考えています。屈伸する様な動きを日常的に多くする穿き方だと、多少緩くてもヒゲはできやすいです。
太もも内側から膝の方に向けて斜め下にできる線状の色落ちを下がりヒゲと呼びます。これら4本は少し下がりヒゲもできています。この下がりヒゲは座ったりかがんだりした時に太ももに斜め状にできるシワが元となったアタリです。日常的に、座ったりかがんだりする穿き方をするとできやすいと思います。

上の画像はリーバイスのビデオの中で紹介される1933年の501です。
関連記事: 上で紹介した画像などが登場するリーバイスのドキュメンタリーフィルムの内容を紹介した記事です。
[Levi's As America: A Riveting Icon パート2 ##link##]
色落ちの仕方からカウボーイが穿いていたと見られています。カウボーイは馬の鞍に乗っている為、この様なクロッチ部を中心として放射状のアタリができるとのことです。
1930年代の501はゆとりのあるシルエットだったと思うので、それでもヒゲができている(でき方に特徴があります)ため、ヒゲの生成は穿き方にもかなり依存すると言えるかと思います。
冒頭部に紹介したヴィンテージ501を、後ろ右半分の状態で並べた写真です。並ぶ順番は最初の写真と同じです。

ヴィンテージの501の裾はチェーンステッチが施されているのが仕様上の特徴です。裾の部分もチェーンステッチと縮みによって特徴ある裾のアタリが発生します。
色落ちにこだわる方は膝裏にできるハチノスのアタリができることを好みますが、オリジナルのヴィンテージでハチノスが明確にできているジーンズはそれ程ありません。写真の4本も明確なハチノスはできていません。
ハチノスは糊付きの状態である程度穿いた方ができやすいと思います。これは、糊付きの状態で穿くと生地が硬いため、膝裏に特定のシワがいくつかでき、それが後でハチノスとなると考えています。糊を落としてしまうと生地が柔らかくなり、膝裏に明確なシワができづらくなるため、ハチノスも明確にできなくなります。
ハチノスがあったほうが色落ちのメリハリ、アクセントにもなるので魅力的ではありますが、ユーズドのヴィンテージジーンズではハチノスが明確でない方が圧倒的に多いです。
長くなってしまったので、ここで一旦、区切ります。次回はもう少し細かいモデル間に関連する色落ちの傾向についての分析と考察をします。
関連記事:本記事に続いて投稿した記事です。こちらの記事も見直して、再投稿する予定です。
[ヴィンテージ 501 モデル間の色落ちの比較、考察、感想。 ##link##]
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