501の歴史シリーズ、1960年代からです。
c1961 (1961年頃): プリシュランクのリーバイスジーンズが発表されます。
LeeやWrangler等、競合会社は防縮加工サンフォライズであることを盛んに宣伝していました。防縮加工を好むユーザーもいるため、リーバイスとしても対応したと思われます。
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1964年: ジーンズはワシントンのスミソニアン博物館の保存コレクションとなります。
スミソニアンのWebサイトに掲載されている、博物館に保管されているリーバイスのダックパンツです。
シンチバック、サスペンダーボタン、バックポケットにむき出しのリベット、アーキュエットステッチ、中央のベルトバンド上に革パッチです。
スミソニアン博物館のサイトの"The Origin of Blue Jeans"のページによると、革パッチには、以下の文言が表示されているとのことです。
下の写真はネバダです。ネバダはバックヨーク部が小さめなのが型の特徴の一つです。バックポケットのステッチのいれ方、アーキュエットの形状など、スミソニアンのダックパンツと特徴が似ています。
関連記事:通称ネバダジーンズが発見され、リーバイスがアーカイブとして入手するまでの話を紹介した記事です。
[リーバイス Nevada ジーンズ発見から、入手まで ##link##]
1966年: 最初のリーバイスジーンズのテレビコマーシャルが放送されます。
リベットは、バックポケットから外され(廃止となり)、代わりにバータックとなります。
リベットは強度があるため、着用が進むとデニムから露出するようになってしまい、1937年にリベット上に生地をかぶせる様になった理由である家具などを傷つける問題が生じるためでした。
下は革パッチ片面タブの501XXです。
赤丸で囲って白矢印で指している部分を拡大してみます。
表面の生地が擦れて穴となり、折返して縫われている部分の下生地が少し見えます。このさらに下にリベットがあります。
着用期間が長くなると最終的にはリベットは露出します。しかし、隠しリベットの形状は、1937年以前のむき出しリベットとは異なり突起部が滑らかな球(ラウンド)状です。
露出しても、家具に傷をつけるリスクはそれほど高くないです。隠しリベット廃止の実の理由は、生産効率を上げるため工程の合理化、パーツの削減が理由だと思います。
見た感じは、"E"から"e"になったところが変更点にみえるため、ヴィンテージ衣料として、”Big E"と”little e"の概念が生まれました。
この変更は、1967年に更新された会社の新しいハウスマーク、”バットウイング”に準拠し、そして、"Levi's"は創業者の"Levi Strauss"の名前を意味するためのものであるためでした。
関連ブログ記事:
[リーバイスのバットウイング ロゴ登場年について ##link##]
[バットウイング登場年を事例にした年代判定、推定における判断材料選定の難しさ ##link##]
続いて80年代の米国製501のタブです。
スモールeのタブは、eの文字が大きいものやVの字の右側が太いもの、刺繍ではなくプリントされているものなど種類が色々あります。
関連記事:
[70年代のスモールe赤タブの種類と考察 ##link##]
1981年: 501 jeans for women、女性用501が登場。有名な”Travis"テレビコマーシャルが放送されます。
備考:"Travis"のYouTubeのビデオを添付します。
リーバイスのテレビコマーシャル"Travis"は、当時かなり大きなインパクトがあったようです。このYouTubeビデオを投稿した人は、このコマーシャルで自分の名前はトラビスになったとコメントしています。さらに寄せられているコメントでも同じ理由で、トラビスとなったと語っている人が複数います。
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[1981年放送 リーバイスコマーシャル"Travis" ##link##]
1983年: コーンミルズは、60インチ幅の織り機を使用したXXXデニムの生産供給を開始します。
80年頃から広幅デニムを使用したと思われるアウトシームが赤耳でなく脇割りの501の存在が確認されています。
ここで言う60インチ幅の織り機を使用したXXXデニムは、501専用の生地のことを述べているように思います。
1983年: リーバイス501の創造的なコマーシャルシリーズが、初めてヨーロッパで放送開始となります。
これらのコマーシャルは、クラシックなアメリカンロックミュージックに、ノスタルジアでロマンスのある内容のものなどが特徴です。
音楽も有名な曲が使用されていることが多いです。以下のコマーシャルは、フランスのアカデミー賞受賞フィルム作家のMichel Gondry氏が制作したものです。
2004年のギネスブックによると、この「薬局(Drugstore)」は最も多くのアワードを受賞したTVコマーシャルだそうです。しかしながら、フィルム中の一部のシーンが問題となり、北米では一度も放送されたことはないとのことです。(Wikipediaより引用)
このCMは、本当に芸術性が高いです。見所も本当にたくさんあります。最後、エンディングのテロップもかなり効いています。
80年代のコマーシャルは、501の特徴であるボタンフライやシュリンクトゥフィットをさりげなくアピールに入れているものが多くあります。
関連記事:
[伝説となったロス五輪CM ”501 Blues" ##link##]
1992年: 世界中でヴィンテージリーバイスジーンズへの興味が高まったため、リーバイス社は、Capital Eジーンズを米国で発表します。
これは、リーバイスジャパンによるヴィンテージ復刻モデルの成功に続いたものです。
1993年: リーバイス社は、米国で最古のリーバイスジーンズを見つけるコンテスト、"Send Them Home Search"をスポンサーします。
優勝したペアは、1920年代の後半のものでした。
1996年: Capital Eの成功により、新たにヴィンテージのリプロダクションのシリーズ、”Levi's Vintage Clothing"のラインが、全世界で発売開始となりました。
1996年にLVC(Levi's Vintage Clothing)は正式に発足しました。80年代の後半に日本で古い年代の501やデニムジャケットの特徴を模倣したモデルをリーバイスジャパンが販売し、人気となりました。ヨーロッパでも同様のコンセプトのモデルが登場しました。
1997年: リーバイスは、推定年代1890年頃の501ジーンズを25,000ドルで購入します。
1998年: リーバイス501誕生125周年を祝いました。
2003年: リーバイスは、ブルージーンズ発明130周年を祝いました。
以上、本記事は、リーバイス本社のサイトに掲載されている"HISTORY OF THE LEVI'S 501 JEANS"を訳し、備考として注釈・コメント、画像などを追加してとりまとめたものです。
全てをカバーするのに5記事に分けての投稿となりました。
501の歴史はジーンズの歴史であり、アメリカ文化との関わりが深いことを改めて感じました。ここまで読んで下さった方、長文にも関わらず、お読みいただき、ありがとうございました
プリシュランク・ジーンズ
c1961 (1961年頃): プリシュランクのリーバイスジーンズが発表されます。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- c(circa)が年の前に付けられているので、1961年頃と年が確定しているのではなく、ある程度前後する可能性があることを意味しています。
LeeやWrangler等、競合会社は防縮加工サンフォライズであることを盛んに宣伝していました。防縮加工を好むユーザーもいるため、リーバイスとしても対応したと思われます。
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1964年: ジーンズはワシントンのスミソニアン博物館の保存コレクションとなります。
スミソニアン博物館に保管されているリーバイス・ダックパンツ
スミソニアン博物館のサイトの"The Origin of Blue Jeans"のページによると、革パッチには、以下の文言が表示されているとのことです。
”Patent Riveted Duck & Denim Clothing...Every Pair Guaranteed. None Genuine Unless Bearing This Label."
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- リベットの特許が切れる1890年前から、パッチなどにリベットを取付けた衣料品の元祖であることを示すメッセージを入れるようになったとリーバイスの資料などに書かれています。そのことを裏付けています。
下の写真はネバダです。ネバダはバックヨーク部が小さめなのが型の特徴の一つです。バックポケットのステッチのいれ方、アーキュエットの形状など、スミソニアンのダックパンツと特徴が似ています。
![]() |
リーバイス ネバダジーンズ |
[リーバイス Nevada ジーンズ発見から、入手まで ##link##]
最初のテレビコマーシャル
1966年: 最初のリーバイスジーンズのテレビコマーシャルが放送されます。
リベットは、バックポケットから外され(廃止となり)、代わりにバータックとなります。
リベットは強度があるため、着用が進むとデニムから露出するようになってしまい、1937年にリベット上に生地をかぶせる様になった理由である家具などを傷つける問題が生じるためでした。
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- 最終期の501XXは、隠しリベットがありません。隠しリベット廃止後、しばらくして(1年程度)、パッチの表記からXXがなくなり、通称ビッグE(含むダブルネーム、初期タイプもの)へと移行します。
隠しリベットのアタリ
隠しリベット付きの501XXは、着用が進むとリベットの箇所の生地の表面が薄れてきます。隠しリベットのアタリと呼ばれたりすることもあります。下は革パッチ片面タブの501XXです。
赤丸で囲って白矢印で指している部分を拡大してみます。
表面の生地が擦れて穴となり、折返して縫われている部分の下生地が少し見えます。このさらに下にリベットがあります。
着用期間が長くなると最終的にはリベットは露出します。しかし、隠しリベットの形状は、1937年以前のむき出しリベットとは異なり突起部が滑らかな球(ラウンド)状です。
露出しても、家具に傷をつけるリスクはそれほど高くないです。隠しリベット廃止の実の理由は、生産効率を上げるため工程の合理化、パーツの削減が理由だと思います。
赤タブがスモールeに変更
1971年: 赤タブの"Levi's"は、白でLだけが大文字で刺繍される様になりました。見た感じは、"E"から"e"になったところが変更点にみえるため、ヴィンテージ衣料として、”Big E"と”little e"の概念が生まれました。
この変更は、1967年に更新された会社の新しいハウスマーク、”バットウイング”に準拠し、そして、"Levi's"は創業者の"Levi Strauss"の名前を意味するためのものであるためでした。
関連ブログ記事:
[リーバイスのバットウイング ロゴ登場年について ##link##]
[バットウイング登場年を事例にした年代判定、推定における判断材料選定の難しさ ##link##]
- [message]
- ##hand-o-right## 備考
- 最初のスモールeのタグが取り付けられた501のモデルは、ヴィンテージ市場で66前期と呼ばれています。501の赤タブのビッグEからスモールeへの移行は、実際のところは1971年ではなく、1973年後半または74年前半以降です。
続いて80年代の米国製501のタブです。
スモールeのタブは、eの文字が大きいものやVの字の右側が太いもの、刺繍ではなくプリントされているものなど種類が色々あります。
関連記事:
[70年代のスモールe赤タブの種類と考察 ##link##]
1981年: 501 jeans for women、女性用501が登場。有名な”Travis"テレビコマーシャルが放送されます。
備考:"Travis"のYouTubeのビデオを添付します。
関連記事:
[1981年放送 リーバイスコマーシャル"Travis" ##link##]
1983年: コーンミルズは、60インチ幅の織り機を使用したXXXデニムの生産供給を開始します。
考察
1983年は、コーンミルズが狭幅(29インチ)赤耳デニムの生産を中止した年だと認識しています。量産効率の高い広幅デニムは、501以外のデニム製品では60年代の後半から採用されていましたが、501は伝統ある狭幅の赤耳デニムを使用し続けていました。80年頃から広幅デニムを使用したと思われるアウトシームが赤耳でなく脇割りの501の存在が確認されています。
ここで言う60インチ幅の織り機を使用したXXXデニムは、501専用の生地のことを述べているように思います。
1983年: リーバイス501の創造的なコマーシャルシリーズが、初めてヨーロッパで放送開始となります。
これらのコマーシャルは、クラシックなアメリカンロックミュージックに、ノスタルジアでロマンスのある内容のものなどが特徴です。
リーバイスのテレビコマーシャル
80年代のリーバイスコマーシャルは、芸術性の非常に高いもの、ユーモラスに溢れるもの、ロマンチックなもの、センチメンタルなものなど、秀作が沢山あります。音楽も有名な曲が使用されていることが多いです。以下のコマーシャルは、フランスのアカデミー賞受賞フィルム作家のMichel Gondry氏が制作したものです。
2004年のギネスブックによると、この「薬局(Drugstore)」は最も多くのアワードを受賞したTVコマーシャルだそうです。しかしながら、フィルム中の一部のシーンが問題となり、北米では一度も放送されたことはないとのことです。(Wikipediaより引用)
このCMは、本当に芸術性が高いです。見所も本当にたくさんあります。最後、エンディングのテロップもかなり効いています。
80年代のコマーシャルは、501の特徴であるボタンフライやシュリンクトゥフィットをさりげなくアピールに入れているものが多くあります。
関連記事:
[伝説となったロス五輪CM ”501 Blues" ##link##]
高まるヴィンテージ人気、LVC登場
1992年: 世界中でヴィンテージリーバイスジーンズへの興味が高まったため、リーバイス社は、Capital Eジーンズを米国で発表します。
これは、リーバイスジャパンによるヴィンテージ復刻モデルの成功に続いたものです。
1993年: リーバイス社は、米国で最古のリーバイスジーンズを見つけるコンテスト、"Send Them Home Search"をスポンサーします。
優勝したペアは、1920年代の後半のものでした。
1996年: Capital Eの成功により、新たにヴィンテージのリプロダクションのシリーズ、”Levi's Vintage Clothing"のラインが、全世界で発売開始となりました。
1996年にLVC(Levi's Vintage Clothing)は正式に発足しました。80年代の後半に日本で古い年代の501やデニムジャケットの特徴を模倣したモデルをリーバイスジャパンが販売し、人気となりました。ヨーロッパでも同様のコンセプトのモデルが登場しました。
1997年: リーバイスは、推定年代1890年頃の501ジーンズを25,000ドルで購入します。
1998年: リーバイス501誕生125周年を祝いました。
2003年: リーバイスは、ブルージーンズ発明130周年を祝いました。
以上、本記事は、リーバイス本社のサイトに掲載されている"HISTORY OF THE LEVI'S 501 JEANS"を訳し、備考として注釈・コメント、画像などを追加してとりまとめたものです。
全てをカバーするのに5記事に分けての投稿となりました。
501の歴史はジーンズの歴史であり、アメリカ文化との関わりが深いことを改めて感じました。ここまで読んで下さった方、長文にも関わらず、お読みいただき、ありがとうございました
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