60年代の後半、501のディテールには様々な変更が行われました。これらの変更の多くは、その後、数十年以上大きな変更なく続けられているものが少なくありません。
この時登場した仕様は、現代のジーンズに継承される完成度の非常に高いものが多いと言えると思います。
本記事では、ビッグE(含むタイプ物)において、前期と後期に見分けるポイントともなっているディテールを紹介します。
Vステッチ、ウエストシングル
501XXとビッグE前期(含むタイプ物)は、トップボタン右脇のステッチが下からボタンの方に折り返して入れられているのが特徴の一つです。
ステッチがV字状になっていることから、Vステッチと呼ばれています。折り返しの角度は個体差があり、深い物(鋭角)や浅い物(角度が大きい)ものもあります。
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501 Big E V-stitch |
フロント・トップボタン脇が、Vステッチの場合、ウエストバンドの裏側の上がシングルステッチとなります。
ヴィンテージ市場では、「Vステッチ、ウエストシングル」または、「Vステッチ、腰裏シングル」と呼ばれることが多いです。
このディテールは、先代モデル501XXから引き継がれているディテールです。
これらのステッチング処理は製法(工程)と関連性があります。
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平行ステッチ、ウエストチェーン
ビッグEの後期頃から、トップボタン脇が縦に二本の平行ステッチに仕様が変更になりました。通称、平行ステッチと呼ばれています。
平行ステッチの場合、ウエストバンド裏は、上下共チェーンステッチになります。
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Vintage 501 Big-E Parallel Stitch |
このステッチディテールは、70年代の66以降、現行品でも見られるディテールです。
ヴィンテージ市場では、「平行ステッチ、ウエストチェーン」または、「平行ステッチ、腰裏チェーン」と呼ばれることが多いです。
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- ##hand-o-right## 備考
- 現行品のUSモデル501STFは、2013年に主にステッチ関連の仕様変更が行われ、トップボタン裏脇が、それまでの平行ステッチからVステッチに変更になりました。このステッチ仕様変更は、ヴィンテージ501XXのステッチ仕様を模倣しています。尚、ウエストバンド裏の上は、シングルではなくチェーンステッチです。
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ウォッチポケット裏ステッチ変更
フロントの右ポケット上にあるウォッチポケット(最近はコインポケットと呼ばれることが多い)の裏のステッチは、501XXではシングルステッチでした。
ウォッチポケット裏は、耳(セルビッジ)が付いている物とない物があります。
下は刻印Wの最初期ビッグEのウォッチポケット入り口裏です。セルビッジが見えます。
少し分かりづらいですが、白い耳部分と紺の境界に沿って、シングルステッチが入っています。
501XXでは、耳付きが比較的多く見られますが、ないものもあります。セルビッジ付きか否かは、年代とは関係はありません。
こちらは、501XX-501のウォッチポケット入り口裏です。シングルステッチになります。
ビッグE前期の途中頃から、ウォッチポケット入り口裏は、チェーンステッチに変更になりました。
下は、Vステッチ、ウエストシングルの501 タイプ物のウォッチポケット入り口の写真です。黄色のチェーンステッチです。
Vステッチ、ウエストシングルのものでは、ウォッチポケット裏は、シングルの物とチェーンの物があります。
平行ステッチ、ウエストチェーンでは、ウォッチポケット裏は、チェーンステッチの場合が多い(ほとんど)です。
まとめ
ウォッチポケット裏シングルステッチ、Vステッチ・ウエストシングルは、501XXのステッチ仕様を受け継いでいます。
ステッチビッグEの501では、Vステッチと平行ステッチが、ほぼ同数程度の比率です。(または、後者の方がやや多い。)
また、平行ステッチでは、オレンジ色のステッチの比率が多くなり、オレンジオンリーも相対的に多く見られます。66以降のモデルでは、オレンジステッチのみが圧倒的に多いです。
これらのことから、VステッチがビッグE(含むタイプ物)前期、平行ステッチが後期と考えられています。
Vステッチの501 ビッグEで、ウォッチポケット裏のシングルとチェーンの両方が見られることから、本仕様変更は、ビッグE前期の途中に行われたと考えています。
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