注目の新製品505Cが発売となりました。リーバイスジャパンTwitterアカウントのカバーフォトは、現在、505Cのバナーになっています。
2016年秋冬コレクションの主力として、力を入れて販売していくものと思います。
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リーバイスジャパンのオンラインストアにも、505C商品ページ が掲載されています。
505C商品ページを読んで、正直、ストーリーがあまりにもこじつけられた感じの印象を持ちました。
先に申し上げると、本記事で書くことは、505Cのモデルについてではなく、505Cのマーケティング・アプローチ、ストーリーについてのことです。
505Cのようなスリムフィットで新しさを感じさせるジーンズの新作を発表、市場に投入し、力を入れて販売することは、歓迎すべきことだと思います。
ジーンズはファッションアイテムであり、流行もあります。時代の流れにあった市場のニーズを満たした製品を開発することは重要です。
インターネット上には多くの情報があります。それらの情報の中には、偏った解釈、見方もあります。また、ある事例、歴史などを関連づけた説明もあります。
しかし、それらがある程度以上正確に事実に基づいていなかったり、妥当な解釈とは言えない・偏った解釈のものも少なからずあります。
インターネット上の情報は、そのまま受け入れるのは注意が必要なことも少なくありません。
505Cもその事例の一つと言えなくもないと思っています。
505Cのメインコンセプト、メッセージは、"THE '70S ROCK JEAN, CUT FOR TODAY"です。
「現代的なカットにした70年代のロックジーンズ」的な意味です。
このメッセージに関しては、製品メッセージとしては理解できます。
「リーバイス®の東海岸進出をきっかけに誕生したジップフライ」
「現代的なカットにした70年代のロックジーンズ」のメッセージからさらに話を発展させて、505をカウンターカルチャーのシンボルと位置付けたり、歴史と関連させることについては、あまりにも無理やりこじつけている感が否めません。
カウンターカルチャーは、wikipediaの説明では60年代初めから70年代中頃までの間に起こった、既存の社会概念、社会構造に異を唱える文化・活動です。
カウンターカルチャーとジーンズは、深い関わりがあります。しかし、それは505に限った話ではありません。
関連ブログ記事:
リーバイスのドキュメンタリーフィルムの60年代から70年代にかけての若者文化とジーンズの関わりについての話です。
[##check## Levi's As America: A Riveting Icon パート4]
505が登場した1967年は、カウンターカルチャーの後半で、ヒッピー文化が若者の間で一大ムーブメントなった時代です。
ヒッピーの発祥の地は、サンフランシスコです。ヒッピー文化を代表するのは、ベルボトム、化繊のパンツです。
東海岸の若者を主なターゲットにした551ZXXやその後継モデル505と、カウンターカルチャーの関連性は薄いです。
ヒッピー文化の盛り上がりの後半は、刺繍やペイントなどのカスタムが流行りました。
1973年に、リーバイスはデニムアートコンテストのスポンサーとなり、カスタムジーンズの作品を募集しました。
[##check## 70年代、80年代、そして今]
501ZXXは、「ジップフライジーンズの原点」ではありません。
ライバルのLeeは、1930年代からジップフライのジーンズを製造しています。1947年にブルーベルのジーンズブランドとして登場したラングラーも、ジップフライバージョンの11MWZを遅くとも1950年代初めには投入しています。
「リーバイスのジップフライジーンズの原点」でもありません。
501ZXXよりも前にレディース・ジーンズの701は、ジップフライになっています。
1950年代初めには、リーバイス・メンズのデニムパンツで、ジップフライもあります。
「505の原点が501ZXX」と言うのは言えなくもないですが、505品番変更前のロット番号551ZXXは、501ZXXの後継ではありません。
501ZXXは、551ZXX登場後も並行して製造されています。551ZXXが、505に名前が変わった時、501ZXXは502に名前が変わりました。
502の原点は、501ZXXです。
説明には「501ZXXがワイドなシルエットで、東海岸のファッションとしてあまり受け入れらなかった。551ZXXは細身で、505はスリムストレートフィット、そして今年505Cへとその系譜を継承し続けている。」とあります。
写真には、1967年の505は、SLIM FITと記載されています。
505は、501より若干細身ですが、極端に細いわけではありません。
下の写真は、LVC67505(写真左)と2012年製501STF(写真右)を並べてものです。写真右側は501STFを一回洗濯して縮んだ後のものです。
シルエットは、どちらもスタンダードなストレートです。
505Cは、明らかなスリムフィットですが、505は60年代、70年代、そして今も基本的に近年を除けば、極端に太くも細くもないスタンダードなストレートです。
505Cが、505Cのメインメッセージ、"THE '70S ROCK JEAN, CUT FOR TODAY"であるコンセプトに異論はありません。
実際、現代的な洗練されたデザインで、良い感じの細身のスリムフィットジーンズだと思います。
しかし、その505Cのストーリーに、「505は、カウンターカルチャーのシンボル」、「60年代、70年代の505がスリムフィットとなっている」といった点は、どう考えても事実無根です。
追記:
60年代の505の各部を実際に測定し、シルエット考察を行いました。ご興味のある方は、是非、ご覧ください。(スリムフィット、スリムストレートではもちろんありません。)
[##check## 60年代の505の各部サイズとシルエットについて: 505Cとの比較]
505Cのメディアの報道なども、リーバイスジャパンのストーリーに沿ったものだと思います。
なんだかな〜と思っていたのですが、阪急うめだ本店さんのブログには、以下のような紹介になっています。
阪急うめだ本店 売り場インフォメーション婦人服
「リーバイス」
現代的なスリムストレート
“505C”登場!
このタイトルと説明は、とても的を得ていると思います。
書かれている内容は、大きくは違わないのですが、タイトルや言い回しで受ける印象は随分異なります。
501CT発表時も、阪急うめだ本店さんのブログは、とても上手に501CTについて説明されていたことが記憶に残っています。
「これらの“505C”が手に入るのは、西日本地区の百貨店ではうめだ阪急のみ。」とのことです。
お近くの方、よろしければ、是非、お立ち寄りください。
よろしくお願いします!
2016年秋冬コレクションの主力として、力を入れて販売していくものと思います。
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リーバイスジャパンのオンラインストアにも、505C商品ページ が掲載されています。
505C商品ページを読んで、正直、ストーリーがあまりにもこじつけられた感じの印象を持ちました。
先に申し上げると、本記事で書くことは、505Cのモデルについてではなく、505Cのマーケティング・アプローチ、ストーリーについてのことです。
505Cのようなスリムフィットで新しさを感じさせるジーンズの新作を発表、市場に投入し、力を入れて販売することは、歓迎すべきことだと思います。
ジーンズはファッションアイテムであり、流行もあります。時代の流れにあった市場のニーズを満たした製品を開発することは重要です。
インターネット上には多くの情報があります。それらの情報の中には、偏った解釈、見方もあります。また、ある事例、歴史などを関連づけた説明もあります。
しかし、それらがある程度以上正確に事実に基づいていなかったり、妥当な解釈とは言えない・偏った解釈のものも少なからずあります。
インターネット上の情報は、そのまま受け入れるのは注意が必要なことも少なくありません。
505Cもその事例の一つと言えなくもないと思っています。
違和感を感じる505Cのストーリー
「現代的なカットにした70年代のロックジーンズ」的な意味です。
このメッセージに関しては、製品メッセージとしては理解できます。
- [message]
- ##exclamation-triangle## 備考
- パンクロックに影響力を持つRAMONESのメンバーが穿いていたことについて焦点を当てているもので、70年代、505がロックジーンズの代名詞となっていたというほどではないと思います。
「リーバイス®の東海岸進出をきっかけに誕生したジップフライ」
1960年代後半は、音楽や映画、そしてカルチャーなど様々なことが劇的に変化した年代で、505™はカウンターカルチャーのシンボルとして、多くのポップアーティストやロックスターに愛されてきました。原点を探れば、1954年に発売された501®ZXXに辿り着きます。
505™はカウンターカルチャーのシンボル???
「現代的なカットにした70年代のロックジーンズ」のメッセージからさらに話を発展させて、505をカウンターカルチャーのシンボルと位置付けたり、歴史と関連させることについては、あまりにも無理やりこじつけている感が否めません。
カウンターカルチャーは、wikipediaの説明では60年代初めから70年代中頃までの間に起こった、既存の社会概念、社会構造に異を唱える文化・活動です。
カウンターカルチャーとジーンズは、深い関わりがあります。しかし、それは505に限った話ではありません。
関連ブログ記事:
リーバイスのドキュメンタリーフィルムの60年代から70年代にかけての若者文化とジーンズの関わりについての話です。
[##check## Levi's As America: A Riveting Icon パート4]
505が登場した1967年は、カウンターカルチャーの後半で、ヒッピー文化が若者の間で一大ムーブメントなった時代です。
ヒッピーの発祥の地は、サンフランシスコです。ヒッピー文化を代表するのは、ベルボトム、化繊のパンツです。
東海岸の若者を主なターゲットにした551ZXXやその後継モデル505と、カウンターカルチャーの関連性は薄いです。
ヒッピー文化の盛り上がりの後半は、刺繍やペイントなどのカスタムが流行りました。
1973年に、リーバイスはデニムアートコンテストのスポンサーとなり、カスタムジーンズの作品を募集しました。
[##check## 70年代、80年代、そして今]
501®ZXXは何の原点?
原点を探れば、1954年に発売された501®ZXXに辿り着きます。「原点」と言うのは、何を意味しているのか、私には分かりません。
501ZXXは、「ジップフライジーンズの原点」ではありません。
ライバルのLeeは、1930年代からジップフライのジーンズを製造しています。1947年にブルーベルのジーンズブランドとして登場したラングラーも、ジップフライバージョンの11MWZを遅くとも1950年代初めには投入しています。
「リーバイスのジップフライジーンズの原点」でもありません。
501ZXXよりも前にレディース・ジーンズの701は、ジップフライになっています。
1950年代初めには、リーバイス・メンズのデニムパンツで、ジップフライもあります。
「505の原点が501ZXX」と言うのは言えなくもないですが、505品番変更前のロット番号551ZXXは、501ZXXの後継ではありません。
501ZXXは、551ZXX登場後も並行して製造されています。551ZXXが、505に名前が変わった時、501ZXXは502に名前が変わりました。
502の原点は、501ZXXです。
505はスリムフィット?
説明には「501ZXXがワイドなシルエットで、東海岸のファッションとしてあまり受け入れらなかった。551ZXXは細身で、505はスリムストレートフィット、そして今年505Cへとその系譜を継承し続けている。」とあります。
写真には、1967年の505は、SLIM FITと記載されています。
505は、501より若干細身ですが、極端に細いわけではありません。
下の写真は、LVC67505(写真左)と2012年製501STF(写真右)を並べてものです。写真右側は501STFを一回洗濯して縮んだ後のものです。
シルエットは、どちらもスタンダードなストレートです。
505Cは、明らかなスリムフィットですが、505は60年代、70年代、そして今も基本的に近年を除けば、極端に太くも細くもないスタンダードなストレートです。
505Cが、505Cのメインメッセージ、"THE '70S ROCK JEAN, CUT FOR TODAY"であるコンセプトに異論はありません。
実際、現代的な洗練されたデザインで、良い感じの細身のスリムフィットジーンズだと思います。
しかし、その505Cのストーリーに、「505は、カウンターカルチャーのシンボル」、「60年代、70年代の505がスリムフィットとなっている」といった点は、どう考えても事実無根です。
追記:
60年代の505の各部を実際に測定し、シルエット考察を行いました。ご興味のある方は、是非、ご覧ください。(スリムフィット、スリムストレートではもちろんありません。)
[##check## 60年代の505の各部サイズとシルエットについて: 505Cとの比較]
505Cのメディアの報道なども、リーバイスジャパンのストーリーに沿ったものだと思います。
なんだかな〜と思っていたのですが、阪急うめだ本店さんのブログには、以下のような紹介になっています。
阪急うめだ本店 売り場インフォメーション婦人服
「リーバイス」
現代的なスリムストレート
“505C”登場!
1967年に発表された“505”は、カウンターカルチャーのシンボルとして、ポップアーティスト、グラフィック・デザイナー、ロックスターが自己表現のために、裂いたり、切ったりして着用。ローリング・ストーンズのアルバム“Sticky Fingers”のカバーに登場し、その後もロックの波にのって、ステージ上で穿くジーンズとしても認知されました。デボラ・ハリーはきれいめに穿き、ラモーンズはユニークなダメージをカスタマイズして穿き、“505”は、ニューヨークの若者層を中心に絶大な人気を得て、リーバイス®のもう一つのアイコンに。
このタイトルと説明は、とても的を得ていると思います。
書かれている内容は、大きくは違わないのですが、タイトルや言い回しで受ける印象は随分異なります。
501CT発表時も、阪急うめだ本店さんのブログは、とても上手に501CTについて説明されていたことが記憶に残っています。
「これらの“505C”が手に入るのは、西日本地区の百貨店ではうめだ阪急のみ。」とのことです。
お近くの方、よろしければ、是非、お立ち寄りください。
よろしくお願いします!
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