本記事は、以下の記事の続きです。
[##check## 501 タイプ物とは? ディテール・特徴について]
記事内で引用した501タイプ物について頂いたコメントを再度紹介します。
Q. 1960年代後半はダブルネームやタイプ物、BIG Eなど、年代がかぶることはあるのでしょうか? それともダブルネーム→タイプ物→BIG Eと移行してるのでしょうか?
A.
60年代後半の501の通称モデルについて、以下のように時系列に並んでいると考えられている場合も少なくないと思います。
1. 最終501XX
2. ダブルネーム
3. タイプ物
4. ビッグE
最終501XXとダブルネームは、トップボタン裏刻印が英一文字であることが特徴の一つです。
他のディテールとの関連性とボタン裏刻印6などで、フライボタン裏に刻印Eが使われていることなどから、トップボタン裏の英文字と番号が平行して使われていたような期間はない。または、あったとしても非常に短かったと推定しています。
最終501XXとダブルネームの年代は、一部かぶっていた可能性もあります。501XXの表記終了後、ダブルネーム表記になった可能性も高いです。
英文字刻印のダブルネーム、タイプ物、ビッグEの数自体も少ないこと、共通の古いディテールを備えるので、これらは同年代に生産されたと考えます。
また、ダブルネームの刻印は、JとKがほとんどであり、501XXで見られた刻印W, E, L, Sではダブルネームの存在はほとんど見つかっていません。
刻印Jでパッチ表記がタイプ物の存在も確認しています。刻印Jでは、ダブルネームの後にタイプ物を作った可能性もありますが、ディテールは基本的に同年代です。
タイプ物は、Vステッチだけでなく、平行ステッチの物も少なくありません。
ダブルネーム、タイプ物、BIG Eが年代順に綺麗に分かれて作られたと仮定した場合、ディテールを含めると以下の様な順番になると思います。
シナリオ1
1. ダブルネーム
2. タイプ物(英文字刻印)
3. タイプ物(数字刻印Vステッチ)
4. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)
5. ビッグE(英文字刻印)
6. ビッグE (数字刻印Vステッチ)
7. ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
4の後に5が登場するということは、基本的に考えられません。
ダブルネームの製造年はどんなに早くても1966年です。(67年の可能性が高いと思っています。)ビッグEの最終は早くて70年、遅くて71/72年までです。
その期間に上記の順番に綺麗に並んで製造される。そして、ステッチなどのディテールが後の年代で復活するというのは、大きな矛盾があります。
以下の様なシナリオもあるかと思います。
シナリオ2
1. ダブルネーム
2. タイプ物(英文字刻印)
3. ビッグE(英文字刻印)
4. タイプ物(数字刻印Vステッチ)
5. ビッグE (数字刻印Vステッチ)
6. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)
7. ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
タイプ物の生産が終わって、ビッグEが作られ、再びタイプ物が生産され、ビッグEに移行することを繰り返すというのは、非常に考えづらいです。
刻印に関わらず、モデル名とディテールの関係に規則性があるのであれば、上記の可能性もないとは言えませんが、実際にはディテールとモデル名の関連性はないです。
(例:タイプ物であれば、ボタン裏数字刻印、Vステッチ、ウエストシングル、コインポケット裏シングルと決まっているなど)
ディテール的には、1、2、5は同じ特徴を備えています。それを考慮すると、以下の様なシナリオが考えられます。
シナリオA
1. ダブルネーム、タイプ物(英文字刻印)、ビッグE(英文字刻印)
2. タイプ物(数字刻印Vステッチ)、ビッグE (数字刻印Vステッチ)
3. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)、ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
シナリオB
1. ダブルネーム
2. タイプ物(英文字刻印)、ビッグE(英文字刻印)
3. タイプ物(数字刻印Vステッチ)、ビッグE (数字刻印Vステッチ)
4. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)、ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
ディテールの年代から考えると、上記のシナリオAかBの可能性が高いと思います。
質問の直接的な回答としては、ディテールを考慮すると、年代がかぶらるとしか考えられません。
続いて、以下の質問に順次、返答致します。
タイプ物は、数字刻印だけでなく、古い年代の英文字刻印のものもあります。また、Vステッチだけでなく、後の年代のディテールである平行ステッチもあります。
言い換えると、ダブルネームと同じディテールを備えるタイプ物やビッグEもあります。また、タイプ物のディテールと同じディテールを持つビッグEもあります。
パッチ表記以外には、タイプ物固有のディテールはないと思います。
尚、タイプ物はイエローステッチが混在していることが多いです。これは、ビッグE期でも古い年代の特徴になります。
ビッグE最終期は、オレンジのみ、または、ほとんどオレンジのみの物が中心です。ビッグE最終期には、タイプ物は作られていなかった可能背が考えられます。
501XXは、テーパードがほとんどかかっていないのがシルエットの特徴です。
ビッグEの初期(含むタイプ物)頃から、シルエットはテーパードが比較的強めにかけられた現代的なシルエットに変更になりました。
通常、ダブルネームと英文字のボタン裏刻印のタイプ物とビッグEは、501XXと似たテーパードがほとんどかからない太いシルエットの物が多いです。
数字刻印でも初期のタイプ物やビッグEは、501XXと同様の物もあるかもしれませんが、タイプ物とビッグEの多くは、テーパードがかかって、細めのシルエットになっています。
尚、シルエットについては、同じモデルでも、大きめのサイズであれば、細いと感じることはありません。
モデル間のシルエットの傾向としては、数字刻印に変更後、ほぼ同時期頃にテーパードを比較的強めにし、全体的に細めのシルエットに変更となったと考えています。
[##check## 501 タイプ物とは? ディテール・特徴について]
記事内で引用した501タイプ物について頂いたコメントを再度紹介します。
頂いたご質問について、順次、具体的に考察、見解を返答致します。
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Q. 1960年代後半はダブルネームやタイプ物、BIG Eなど、年代がかぶることはあるのでしょうか? それともダブルネーム→タイプ物→BIG Eと移行してるのでしょうか?
A.
60年代後半の501の通称モデルについて、以下のように時系列に並んでいると考えられている場合も少なくないと思います。
1. 最終501XX
2. ダブルネーム
3. タイプ物
4. ビッグE
最終501XXとダブルネームは、トップボタン裏刻印が英一文字であることが特徴の一つです。
他のディテールとの関連性とボタン裏刻印6などで、フライボタン裏に刻印Eが使われていることなどから、トップボタン裏の英文字と番号が平行して使われていたような期間はない。または、あったとしても非常に短かったと推定しています。
最終501XXとダブルネームの年代は、一部かぶっていた可能性もあります。501XXの表記終了後、ダブルネーム表記になった可能性も高いです。
英文字刻印のダブルネーム、タイプ物、ビッグEの数自体も少ないこと、共通の古いディテールを備えるので、これらは同年代に生産されたと考えます。
また、ダブルネームの刻印は、JとKがほとんどであり、501XXで見られた刻印W, E, L, Sではダブルネームの存在はほとんど見つかっていません。
刻印Jでパッチ表記がタイプ物の存在も確認しています。刻印Jでは、ダブルネームの後にタイプ物を作った可能性もありますが、ディテールは基本的に同年代です。
タイプ物は、Vステッチだけでなく、平行ステッチの物も少なくありません。
ダブルネーム、タイプ物、BIG Eが年代順に綺麗に分かれて作られたと仮定した場合、ディテールを含めると以下の様な順番になると思います。
シナリオ1
1. ダブルネーム
2. タイプ物(英文字刻印)
3. タイプ物(数字刻印Vステッチ)
4. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)
5. ビッグE(英文字刻印)
6. ビッグE (数字刻印Vステッチ)
7. ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
4の後に5が登場するということは、基本的に考えられません。
ダブルネームの製造年はどんなに早くても1966年です。(67年の可能性が高いと思っています。)ビッグEの最終は早くて70年、遅くて71/72年までです。
その期間に上記の順番に綺麗に並んで製造される。そして、ステッチなどのディテールが後の年代で復活するというのは、大きな矛盾があります。
以下の様なシナリオもあるかと思います。
シナリオ2
1. ダブルネーム
2. タイプ物(英文字刻印)
3. ビッグE(英文字刻印)
4. タイプ物(数字刻印Vステッチ)
5. ビッグE (数字刻印Vステッチ)
6. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)
7. ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
タイプ物の生産が終わって、ビッグEが作られ、再びタイプ物が生産され、ビッグEに移行することを繰り返すというのは、非常に考えづらいです。
刻印に関わらず、モデル名とディテールの関係に規則性があるのであれば、上記の可能性もないとは言えませんが、実際にはディテールとモデル名の関連性はないです。
(例:タイプ物であれば、ボタン裏数字刻印、Vステッチ、ウエストシングル、コインポケット裏シングルと決まっているなど)
ディテール的には、1、2、5は同じ特徴を備えています。それを考慮すると、以下の様なシナリオが考えられます。
シナリオA
1. ダブルネーム、タイプ物(英文字刻印)、ビッグE(英文字刻印)
2. タイプ物(数字刻印Vステッチ)、ビッグE (数字刻印Vステッチ)
3. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)、ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
シナリオB
1. ダブルネーム
2. タイプ物(英文字刻印)、ビッグE(英文字刻印)
3. タイプ物(数字刻印Vステッチ)、ビッグE (数字刻印Vステッチ)
4. タイプ物(数字刻印平行ステッチ)、ビッグE (数字刻印平行ステッチ)
ディテールの年代から考えると、上記のシナリオAかBの可能性が高いと思います。
質問の直接的な回答としては、ディテールを考慮すると、年代がかぶらるとしか考えられません。
続いて、以下の質問に順次、返答致します。
タイプ物のディテールの特徴、生産期はいつからいつまで、シルエットの特徴、ダブルネームやBIG Eとの相違など、説明いただけると幸いです。
タイプ物のディテールの特徴
タイプ物固有のディテールの特徴は、パッチ表記に通称タイプ表記と呼ばれる文字がプリントされていることです。タイプ物は、数字刻印だけでなく、古い年代の英文字刻印のものもあります。また、Vステッチだけでなく、後の年代のディテールである平行ステッチもあります。
言い換えると、ダブルネームと同じディテールを備えるタイプ物やビッグEもあります。また、タイプ物のディテールと同じディテールを持つビッグEもあります。
パッチ表記以外には、タイプ物固有のディテールはないと思います。
尚、タイプ物はイエローステッチが混在していることが多いです。これは、ビッグE期でも古い年代の特徴になります。
ビッグE最終期は、オレンジのみ、または、ほとんどオレンジのみの物が中心です。ビッグE最終期には、タイプ物は作られていなかった可能背が考えられます。
シルエットについて
501XXは、テーパードがほとんどかかっていないのがシルエットの特徴です。
ビッグEの初期(含むタイプ物)頃から、シルエットはテーパードが比較的強めにかけられた現代的なシルエットに変更になりました。
通常、ダブルネームと英文字のボタン裏刻印のタイプ物とビッグEは、501XXと似たテーパードがほとんどかからない太いシルエットの物が多いです。
数字刻印でも初期のタイプ物やビッグEは、501XXと同様の物もあるかもしれませんが、タイプ物とビッグEの多くは、テーパードがかかって、細めのシルエットになっています。
尚、シルエットについては、同じモデルでも、大きめのサイズであれば、細いと感じることはありません。
モデル間のシルエットの傾向としては、数字刻印に変更後、ほぼ同時期頃にテーパードを比較的強めにし、全体的に細めのシルエットに変更となったと考えています。
質問したwhimvimoneです。とても勉強になりました。また、いつも丁寧で親切なご対応に感謝申し上げます。
返信削除今回の内容から思ったことは、単純にカテゴリー分けするのではなく、ディテールから読み解くということですね。
そのディテールの分析がヴィンテージの醍醐味でもあり魅力ですね。
いつもありがとうございます。
PENDLETONの記事も前のめりになって読ませていただきました。
自分はエレファントのバンダナにも興味がございまして収集しております。
お時間がある時に、こちらもディテールの変化など記事にしていただけたらうれしいです。
whimvimoneさん、コメントありがとうございます。モデル名は、後年のヴィンテージ市場で名付けられたものです。また、後から判明した情報によって、推定年代やその他が変更することがあります。70年代の製品に66という名前が付けられているのも面白いところだと思います。
返信削除おっしゃる通り、ディテールを分析するのが基本です。ディテールによって分類できることはあります。ヴィンテージリーバイスのモデル名は、パッチ表記を用いたものが多いのですが、60年代後半は要注意だと思います。
ヴィンテージのディテールの分析は、魅力の一つですよね!
Pendletonやエレファントブランドのバンダナもご興味お持ちなのですね!!私もペンドルトンとヴィンテージ・バンダナ(もちろんエレファントを含みます)に強い魅力を感じています。
バンダナの考察はしばらくやっていなかったのですが、検討します。
今後ともよろしくお願いいたします。